テラーノベル
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この2人やっぱりどっちともひっそり恋してるのが最高だと思うんよね……
自分の気持ちを完璧に自覚してからというもの、俺の高校生活は、文字通り「茨の道」と化していた。
だってそうだろ!? 今までは普通に「話しやすい隣の席の奴」として接していられたのに、一たび『俺はこいつが好きだ』と認めてしまってからは、菊のすべての挙動が心臓へのダイレクトアタックになるのだ
おはようの挨拶一つで耳が熱くなるし、お昼休みに目が合うだけで
「あ、ヤベ」
と視線を逸らしてしまう。重症だ。完全に恋に狂ったヘタレ男である
だが、問題は俺のヘタレっぷりだけではなかった。
……気のせい、だよな?
ここ数日、菊の様子がどこかおかしかった
いつもなら、俺が他愛のない話を振れば
「ええ、そうですね」
と柔らかく微笑んで相槌を打ってくれるのに、最近はどこか上の空なのだ、
それどころか、お昼休みに俺が
「今日も一緒に食おうぜ」
と声をかけようとすると、
「すみません、今日は少し図書室に用事がありまして……」
と、すっと視線を下げて教室を出ていってしまうことが増えた。
拒絶、されてる……?
その事実に気づいた瞬間、胸の奥が冷たい手で雑に握りつぶされたみたいに痛んだ。
まさか、俺が裏で
「菊可愛いなー」
とか
「手繋ぎたいなー」
とかキモい妄想をしてるのが、ツンデレの態度から透けて見えちまったんだろうか。
それとも、あの雨の日の相合い傘で、俺の爆音の心臓の音がバレて引かれたのか……?
「クソッ……」
放課後の教室。夕暮れのオレンジ色の光が差し込む中、俺は誰もいない自分の席で、机に突っ伏して盛大にため息をついた
もう友達の距離に戻ることもできないくらい、俺の気持ちは膨らみきっている。だけど、菊に嫌われるくらいなら、この気持ちごと心の奥底に埋めてしまおうか。そんな女々しい思考が頭をぐるぐると駆け巡る
ガララ、と静かに教室の引き戸が開く音がした。
どうせ忘れ物を取りに来た他のクラスの奴だろうと、俺は顔を伏せたまま動かなかった。だが、その足音は真っ直ぐに、俺のすぐ隣――廊下側の、右隣の席へと近づいてくる。
さらり、と紙の擦れるような音がして、聞き慣れた、だけど最近ずっと聞けずにいた声が、すぐ近くで降ってきた。
「……アーサーさん、まだ残っていらしたのですね」
「っ、……菊!?」
バッと勢いよく顔を上げると、そこにはカバンを肩にかけた菊が立っていた…
夕日に照らされたその表情は、どこか気まずそうで、だけど少しだけホッとしたような、複雑な色を帯びている。
「お前、図書室の用事は終わったのかよ」
わざと少しぶっきらぼうに言うと、菊は困ったように眉を下げて、自分の机の端をきゅっと握りしめた。
「……嘘です」
「は?」
「図書室に用事なんて、ありません。嘘をついて、避けるような真似をして、申し訳ありませんでした……」
菊の口から飛び出した直球の告白に、俺の思考は完全にフリーズした。
やっぱり避けられていた。その現実にショックを受けるよりも先に、菊の耳の裏が、夕日の赤さとは明らかに違う、鮮やかな紅色に染まっているのが目に飛び込んできた。
「お前……なんで……」
「……ずるいです」
菊が、ぽつりと小さな声を漏らす。その焦茶色の瞳が、真っ直ぐに俺を射抜いた。そこには、いつもお行儀のいい菊からは想像もつかないような、強い感情が揺らめいている。
「アーサーさんは、いつもそうです。急に私の領域に入ってきて、優しくして、お弁当を美味しいと言ってくれて……。それなのに、最近は急に目を合わせてくださらなくなって、よそよそしくて……」
菊の声が、微かに震えている。
「私ばかりが、アーサーさんのことを考えて、おかしくなりそうでした。これ以上一緒にいたら、自分の気持ちを抑えられなくなりそうで……だから、距離を置こうと、思ったのです。……私、本当に、みっともないですね」
自嘲気味に笑う菊の言葉の意味を、俺の脳みそが必死に処理しようとフル回転する。
これ以上一緒にいたら、自分の気持ちを抑えられない? 距離を置こうとした?
それって、つまり。
待て待て待て!!! これ、もしかして両想いってやつじゃねぇの!?!?
心臓が、今日一番の、いや、人生一番の爆音で鳴り響き始めた。
すれ違って、勝手に絶望していたのは、俺だけじゃなかったんだ。
いやーーーーーーほんっっっとに!!!!
アーサーがただ恋してると思いきや、菊さん実は重めというか、結構アーサーより前からときめいているという……!!!
ぐふふ腐腐腐……(((((
んじゃねー
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