テラーノベル
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元貴の重荷になりたくない。
タイミングが悪くて、邪魔だなんて、思われたくない。
俺は、だから敢えて、連絡もしないし、帰るとも言わなかった。
side wki
会場に着くと、テーブルは思った以上に賑やかだった。
年上の共演者がすぐに日本酒を勧めてくる。
ビール、カクテル、焼酎……次々に手に渡っていくグラス。
「ちょっとちょっと、若井くん、飲めるんだ? じゃあ、これも!」
「そんなに強くないんですけど……あはは」
笑って応じながら、断りきれない空気に流されていく。
ふと、横を見ると、涼ちゃんが黙って見ていた。
「……大丈夫?」
「え、うん、まだ……全然平気」
そう言ったけど、たぶん顔は真っ赤だったと思う。
視界が揺れて、言葉が少し遅れて聞こえる。
涼ちゃんはにこりと笑って、日本酒をまた注いでくれた。
「今夜くらい、飲んじゃおうよ。どうせ帰っても、つめたいんでしょ〜?」
……涼ちゃんの意地悪な言い方。
涼ちゃんは、俺が元貴の家で半同棲をしていて、
恋人同士ってことを知ってる。
…今年が明けてから、元貴が冷たくて、うまく甘えれてないことも。
「……うん。つめたい。」
酔った俺は、いつにも増して、忙しくて、
もはや、家で顔を合わせるより、テレビや広告で見る方が多いような
恋人のことを想いながら、日本酒を一気に飲み干した。
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コメント
5件
ぁまえたくてもぁまえられなぃ 、 少し複雑だけどちゃんと愛してる 、 みたいなかんじすきです、
冷たくされても甘えられてなくてもどんな状況でも大森さんを想ってる若井が一途過ぎて抱きしめたくなります…!
更新のスピードが本当に早すぎますすっごい…… 若井さんが大森さんに冷たくされていて、うまく甘えられていないことまで知ったうえでの涼ちゃんの少し意地悪な発言…… ここぞとばかりにたくさんお酒を飲ませて……涼ちゃんからしたら絶好の機会ですもんね…… 今日は元貴のことを忘れて楽しもうなんてことにはならず、どこまでも大森さんのことだけを想っている若井さんほんっとうに大好き~~~!!!