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体育祭での「公開お題発表」を経て、もはや藍林檎学園の「伝説のカップル」として不動の地位を築いた二人。
高等部5年生ともなれば、周りも色恋沙汰で賑やかになる時期。そんな中、酸いも甘いも(?)知り尽くし、長年連れ添った夫婦のような安定感を放つ元貴と滉斗は、いつの間にか「恋愛相談の神」として、同級生たちから頼られる存在になっていました。
元貴の部屋には、最近付き合い始めたばかりの女子たちが、お菓子を片手に集まっていました。
「ねえ元貴くん、聞いて! 彼が部活ばっかりで全然連絡くれないの……。どうしたら元貴くんと滉斗くんみたいに、ずっと仲良しでいられるの?」
元貴は、涼架直伝のハーブティーを淹れながら、困ったように、でも優しく微笑みます。
「うーん……。僕たちは、言葉にしなくても伝わることが多いけど、それはずっと一緒にいたからで……。でも、やっぱり『ありがとう』だけは、どんなに小さくてもちゃんと言うようにしてるよ。ひろとが僕の耳を気遣ってくれた時とか」
「それだ……! 私、恥ずかしくて言えてなかったかも!」
女子たちは、元貴の持つ独特の「共感力」と、時折見せる滉斗への深い信頼に触れ、「浄化される……」と言いながら部屋を後にしていくのでした。
一方、隣の滉斗の部屋では、むさくるしい男子たちが数人、頭を抱えていました。
「若井……お前、あの体育祭の抱っこ、よくあんな堂々とできたな。俺、彼女と手を繋ぐだけでも心臓バクバクなんだわ。どうやったらそんなに肝が据わるんだよ」
滉斗は面倒くさそうに、自分の教科書を整理しながらぶっきらぼうに答えます。
「……肝とか関係ねーよ。周りの目なんてどうでもいいだろ。大事なのは、隣にいるあいつが今何を求めてるか、それだけだ。……あと、無理してカッコつける暇があるなら、あいつが嫌がることをしない方法を考えろ。俺はそれしかしてない」
「深い……。若井先生、重みが違いますわ……」
男子たちは、滉斗の「一途すぎる哲学」に圧倒され、自分たちの浮ついた態度を反省して帰っていくのがお決まりのパターンでした。
ようやく相談者たちが帰り、嵐が去った後の廊下。
二人は部屋の前の廊下で、ちょうど鉢合わせました。
「……ひろと。そっちも、相談?」
「ああ。どいつもこいつも、そんなに俺に聞いてどうすんだよ……。お前の方は?」
「僕も。でも、ひろとのこと改めて惚気ちゃったみたいで、ちょっと恥ずかしいな」
元貴が耳を赤くして笑うと、滉斗はふんと鼻を鳴らして、元貴の部屋のドアを開けてあげました。
「……人の相談に乗ってる暇があるなら、俺たちの時間を増やしたいんだけどな」
「ふふ、そうだね。じゃあ、今日はゆっくり二人でお茶しようか」
相談者たちには決して真似できない、積み重ねてきた時間の重み。
二人は今日も、誰よりも近い「お隣さん」として、穏やかな夜を迎えるのでした。
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コメント
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もう完璧夫婦じゃん(?)