“ここ数ヶ月、雨が続いており…..”
“これからしばらくは止むことがないそうで…..”
“我々はこれから先、太陽を見ることはないのでしょうか…”
テレビから垂れ流している音声に耳を傾けながら遅めの朝食を頬張る
外は分厚い雲が空を覆い、ザーザーと音を立てて雨が降っている
ここ数ヶ月間、ずっとその状態が続いている
「最近太陽見てないなぁ、」
わざとらしく大きめのため息をこぼす
突然起こった異常気象
あまりにも長すぎる雨のせいで、水没しているとこもあるらしい
幸い、こちらは海や川から離れているため、しばらくは大丈夫そうだ
“がたがたっ…..ぴんぽーん”
「?…こんな雨の日に…」
誰だろう、と思いながら玄関へ向かう
“ガチャッ”
「うわっ!?なんでそんな格好で…!!びしょびしょじゃん、!」
『えへ、急に会いたくなっちゃって…w』
なんて言いながら頬をかく彼に内心少し呆れてしまう
急とはいえ、かっぱを着るなり方法はあったでしょ、と
「とりあえずタオル持ってくるから、!まってて!!」
彼に風邪を引かせる訳にはいかない
そう思い、彼にタオルを渡し、半ば強引に風呂に入れる
彼の服はないから僕のを貸した
ちなみに朝食はすっかり冷めてしまっていた
冷めてても美味しかったけどね
『っふー、お風呂ありがと!』
「あー、うん…..」
お礼を述べながらふわっと笑う彼
服が中途半端にぶかぶかなせいで目のやり場に困り、すっと目を逸らしてしまった
『…どしたの?』
不思議そうにこちらの顔を覗き込んでくる
「や、なんでもない…あ、お茶入れてくるから適当に座って待ってて!」
『はーい』
適当にふたつのコップにお茶を注ぎ、リビングに運ぶ
「どーぞ」
『ありがと!』
そんなやり取りをしながらも、彼の視線は窓の外へと向けられていた
『…….いつ、止むのかな』
隣からそっと横顔を見た
彼の髪はまだ濡れている
いつもよりも、すとんと落ちた少し長めの前髪
そのせいで彼の目元は伺えない
口元はほのかに笑みを浮かべているが、いつもの花びらが舞うようなそれでは無いのは明らかだ
返答に困った
未だ空は分厚い雲で覆われている
雨は休む気配も無く降り続けている
どんなことを言えば、また前のように
彼と青い空を眺められるのか
爽やかな風を感じられるのか
分からないから沈黙に委ねた
どちらも口を開かない部屋は、霧に覆われていたような気がする
『…..ごめん、変なこと言って…』
「………止むよ、いつかは、きっと」
開く予定のなかった口を開き、根拠のないことを言い出す
「止まない雨はない、君が言ってたじゃん」
それでも何処か、自信のこもった言葉
彼がぱっとこっちを見た
先程は見えなかった目は、驚いたように、少しだけ見開かれていた
そして、
“その言葉がききたかった”
とでも言うように
やっぱり花びらが舞う笑顔を向けて
何も言わずにまた窓の外へと視線を向けた
その横顔はさっきよりもずっと楽しそうで
『~~~♪』
彼は静かに、でも部屋に響くような声で歌い出す
僕も合わせて歌い出した
僕の大好きな曲を
晴れを願い、歌った曲を
2人の思い出が詰まった曲を
今日よりも眩しい未来へ
コメント
10件
これはもしやサニーデイフレンズ!?
人間って体温が39度余ってても 割と立って歩いたり へらへらーってできるものなんだなあって最近気づきました 休日2日間何も出来なかったのに金曜日は学校休んで寝込んでた舞さんですどうもっっ!!!!!(泣)