「はぁッ…..」
布に酷く滲む血….
意識が朦朧としている…
フェリシアーノ達を呼ぼうとしたが、手が動かない。
声を出すのも一苦労だった。
菊が出す声は息が荒くなっていった
まだ、朝五時____。
起きているはずがない。
血が滲んだベッドの上に意識を失うたった一人の患者…。
「菊?様子を見に来たが…..」
「っ?!」
朝六時に患者室へと現れたのはアーサーだ。
菊が倒れている事に気付いて咄嗟に駆け寄る
「菊!大丈夫か?!」
必死に菊を呼ぶ….
その声が聞こえたのだろう
ドサッと菊が身体を起こす
「ん……アーサーさん….?」
「菊!」
安心した声が響く。
しかし、今の菊は安全ではない….。
近付いたらいけないのだ。
菊には別の様々な奇病を患っている。
それがいつ、症状に出て来るかは患者ですら分からない。
不明なままなのだ。
「ふッ….はぁッ」
息が荒く口を抑えている菊の姿が目に入る。
「ど、どうしたんだ?」
背中をさする____。
菊は途切れ途切れにこう答える
「血がッ….欲しいッッ…」
「血…..?」
(吸血鬼みたいだ….)
(それとも奇病のせい….としか考えられないな….)
そう考えているうちにドサッとアーサーを追い込む…。
「菊!!」
その声を聞いてか、菊が頭を押さえ込む….
やってはいけない…と思っているんだろう。
だけど、身体は言うことを聞いてくれない….。
「はぁッッ….はぁッ」
「菊!!」
必死に叫ぶ
意識を取り戻してほしいぐらいに….
「アーサーッ…さッん」
「菊…一先ず落ち着こう….良いな?」
優しい声でそっと指示をする。
「はッい….」
「よし、いい子だ」
息が荒い菊を横に背中をさすり心配の声を出す。
酷い貧血だった….
(鉄分ゼリーとかそんなものがあれば良いんだが….)
(今は菊を放って置く方が駄目だ…)
そうして、ふとアーサーに吸血鬼の物語が頭に過ぎる。
脳内インスピレーションした途端に
「よし、これならいけるな….」
と声を出す。
「菊」
「….?どうかしましたかッ…?」
「少し失礼するぞ…」
「え…?どういう_____」
チュッ….
アーサーが菊に軽い接吻を交す。
菊には初めてのシチュエーションだ。
「どうだ?菊、貧血状態は治ったか…?」
「あ…..えぇ…はい?」
突然過ぎるあまり、頭が追い付かない….
「ははっ、でも、これは本命じゃない…」
「本命は後からやるからな」
ニコッと笑って病室を出た。
「……..」
「ッッ?!////」
本命の意味が分かった途端、菊の顔が赤く照れ上がった….
「ふぅ….」
椅子に腰を掛ける
「どう?お兄さんの情報役に立った?」
ニヤニヤと笑うフランシスを余所目にアーサーは
「まぁ、な」
と、まぁまぁ役に立ったという腹立つ顔をしている。
「てか!」
「菊ちゃんとキス良いな~」
「お兄さんもしたかった♡」
「ははっ、お前には当分無理だろうな」
軽い挑発….というものだろう
「はぁ?!」
それにまんまと乗らされるフランシスも大概だ。
アーサーはあの時、フランシスからの情報を頼りに心の中で
(えーと…あの髭が言うには….)
(成程…..遺伝性吸血症と言うのか….って…)
(菊とキス…..?!)
と思っていたらしい….。
コメント
8件
きゃーーー好きだにゃん⭐︎ なんで治ったんだろうねぇ…にゃん⭐︎ 吸血鬼菊ちゃん…いいね…ネタになりそう(( ちょっと墓掘ってくるにゃん⭐︎
朝菊ですね美味しい美味しい😋 本命…ッ!!??是非ともみたい