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健康診断が終わり、二週間が経った頃。久し振りの晴天に、多くの生徒が頬を緩めていた。グラウンドに関しては、部分的にぬかるみが目立ちはしたものの、皆気にせずに外で遊んでいる。そして、その皆には勿論のこと、大野も含まれていた。
「いけーーー!!!」
ボールを蹴ると同時に、それぞれがゴールをめがけてはしっていく。直後、男子たちの歓喜の声が響き、大野のシュートが決まったようだった。次は負けりないぜと笑う杉山も悔しがる各々もどこか楽しそうな様子で、さて2回戦だという時、大野はふいに、胸に違和感を覚えて思わずその場に立ち止まった。
「っい、?!」
それはたった数秒間のことで、痛みはすぐに治まるも、戸惑いが顔に出ていたのだろうか。杉山が大野に話しかけた。
「どうした大野。二回戦、やらないのか?」
顔を上げると、杉山が不思議そうにこちらを見ている。他のメンバー達に至っては既に集まっている様子だった。
「あぁ、悪い杉山 。」
すぐ行く、と参加の意志表明をし、大野は皆の元へと走って行った。わいわいと話しているうちに胸の痛みは、いつの間にか忘れさられていた。
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暫くして、授業の開始5分前を知らせる予冷が鳴り、運動場に人はいなくなった。其々が教室で次の授業の準備をしているなか、杉山は大野に話しかける。
「大野、お前。忘れ物でもしたのか?」
「いや、してないけど。」
微塵も心当たりの無い疑いがかけられ、大野は困惑した。杉山は真面目な様子であるが故に、ますます理由が分からないのだ。
なんで?と聞いてみると杉山は、 さっきサッカーしてる時、お前様子変だったからさ と言った。少し遅れてそれを理解し、今度は 大野が問いかける。
「なあ杉山。お前、ここら辺が痛くなったことあるか?」
なんというか、こう…鋭い痛み?と、自身の左胸を指差しながら放った言葉に、杉山は顔を顰める。
「いや、ないけど…。まあ、気のせいじゃないか?」
ほら、俺ら風邪もひかないしよ!と続けると、大野も納得したようにして笑った。
「確かに、インフルもまだかかったことないもんな!」
「だろ?」
タイミングよくチャイムが鳴り、算数の授業が始まる。その日は割り算を学ぶところだった。49÷6=8余り1、49÷7=7、、、筆が迷いなく進み、方眼ノートには丸をつけるだけの状態となっていった。
やがて5時間目の授業が終わり、帰りの準備を始める。サッカーの約束を結び、二人は帰って行った。