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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第56話 〚少し早い、楽しい予感〛(全体)
10月に入って、空気が少しだけ冷たくなった。
昼休みの屋上は、風が心地よくて——
そこには、
澪、海翔、玲央、えま、しおり、みさと、りあ。
7人が円になって座っていた。
真ん中には、コンビニのお菓子。
「ポテチ被ってない!?」
「それ私の〜!」
そんなやり取りが、当たり前みたいに交わされる。
澪はそれを眺めながら、
胸の奥が静かに落ち着いているのを感じていた。
(……平和)
海翔は澪の隣で、
無意識に袋を開けて差し出してくる。
「これ、澪好きでしょ」
「……うん、ありがとう」
それだけで、少し照れる。
その時。
「ねえねえ!」
急に声を上げたのは、えま。
「まだ10月3日だけどさ、ハロウィンパーティーやらない?」
一瞬、空気が止まる。
「早くない?」としおり。
「でも楽しそう」とみさと。
「仮装?」と玲央。
りあが目を輝かせる。
「……やってみたい」
その一言で、流れが決まった。
「賛成!」
「絶対楽しいじゃん」
「写真撮ろうよ」
澪は少し迷ってから、
小さく手を挙げる。
「……私も、やりたい」
海翔がすぐに頷いた。
「俺も」
「じゃあ決まり!」
えまが立ち上がる。
「放課後、衣装見に行こ!」
屋上に、明るい笑い声が広がる。
放課後。
7人で並んで歩く帰り道は、
いつもより少し騒がしくて、少し特別だった。
(こんな時間が続けばいい)
澪はそう思いながら、
ハロウィンのことよりも——
「一緒に笑えている今」を、
大切に胸にしまっていた。
でも、
その楽しさの裏で。
まだ、完全には消えていない影があることを、
澪はうっすら感じていた。
——それでも今は。
この時間を、信じたかった。