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サンフィアは真紅のローブに身を包んでいる。初めは単なる防具程度だと思っていた。だが、どうやら自身の魔力を高める効果が備わっているらしい。サンフィアの呟きとともに、ローブそのものも眩きを見せているからだ。
「へぇ……エルフが使えるだなんて、珍しいですわね」
「あの光が何か分かるのか?」
「アレはバフ《一時的強化》と呼ばれるモノですわ。エルフ自身と真紅のローブが相まって、魔力が高められているということになりますわね」
「強化者とは別の?」
「そうですわね。おそらく、あのローブを着ていることで一時的に高められているのでは?」
ミルシェが言うように、サンフィアの気配が変わったように思える。
「フウゥ……」
手持ちの槍は使わず、両手を重ねて精神を集中させている。
サンフィアは幻影魔法で時を凌ぐと言った。しかし、防御主体の彼女が示したのはバフによる魔力強化。この時点で気づくのは、幻影魔法そのものには相手の攻撃を防ぐ効果は無いということだ。
魔力強化で幻影を出し続けられるだけらしいが、何にしても大した精神力なのは違いない。
「アック様っ! 頭上の空が大変なことになっていますよ!?」
「何だ、ルティ? 大変って何が――」
どこから攻撃を受けているのか不明だが、威力が失われていく炎系魔法が連続して幻影にぶつかっているのが見える。
「継続した幻影が防御壁の役目を担っているのか……」
「ウニャ? シーニャとドワーフが攻撃していたのは壁だったのだ!?」
シーニャの驚きを見つつ、ミルシェに再び魔法をかけさせることに。
「よし、ミルシェ! 今のうちにもう一度防御魔法を展開しろ!」
「で、ですけれど……」
「心配するな! おれが追加で付与してやる」
「――わ、分かりましたわ」
不安そうな表情を浮かべながらミルシェは両手を天に向けてかざす。そして、もう一度防御魔法を上空に展開させた。それに加えるように、おれからも『マジックシールド』を発動して付与。これならたとえ魔導兵であろうとも、大ダメージを負うことは無くなるはずだ。
「イスティさま。防御はいいけど、イスティさまから攻撃は仕掛けないなの?」
「ん? それは魔物に対してか? それとも魔導兵に?」
「全部に決まっているなの」
「……フィーサはどっちを斬りたい?」
ここまで言うならフィーサに任せてみるか。
「魔導兵より簡単に斬れそうなのは魔物なの。でもでも、イスティさまの国を滅ぼしたのが魔導兵なら、ゴーレムの方を斬りまくりたいなの!」
「やっぱりそうなるよな。ハイクラスな魔物はシーニャとルティに任せて、魔導兵はおれと斬りまくるか!」
「はいなの!」
ここに至るまでまだまともにフィーサを使っていない。とはいえ、故郷を何とかする為にも神剣フィーサブロスを使いこなすことにする。
「シーニャとルティ! おれの元に来てくれ!」
「ウニャッ!」
「は、はいっっ!! 今すぐに~」
回復を備えた二人にはハイクラスモンスターに突っ込んでもらい、おれとフィーサは魔導兵を一掃することにした。
「……ウゥッ、クウッ……我はここまでだ」
回復こそ使えないが、ミルシェにはサンフィアを守ってもらう。強靭な精神力とバフでサンフィアは幻影を出し続けていたが、さすがに限界がきたようだ。
「――お任せされましたわ! どこかに隠れた方がいいかしら?」
「……いや、おれについて来ればいい。ひとまずサンフィアを介抱してやってくれ」
「ええ。お安い御用ですわ」
「――で、シーニャとルティには我が物顔で闊歩している魔物を倒してもらう。やれるな?」
「ウニャウ!! シーニャ、アックの為にやるのだ!」
「こ、これは気合を入れまくりますよぉぉぉ!! ふおぉぉぉぉぉ!」
シーニャとルティという新コンビで思いきり暴れてもらう。
「それじゃあフィーサ。魔導兵の気配を感じ次第、行動を起こすぞ!」
「はいなの!」