「わたしさー!死のうと思うんだ~!」
湿気も加わった燃えるような暑さにまた私の燐人、レイカがバカなことを言い始めた。もうこのセリフを何度聞いただろう。最早なれるまできた私はもうおかしくなっているのかもしれない。
レイカ「いやね!?いつもの冗談じゃないから!」
ああ、本当に私の燐人の知能は終わったのかもしれない。セミの煩いコーラスにかまちょと化したレイカは面倒くさいの極みなのだ。
「はいはい、それで何かあったの?」
明らかに「面倒くさい」を主張した声音で訪ねると時間を無駄にした。心からそう思った。
レイカ「だって面倒なんだもん。勉強やだし受験もやだしぜ~~~んぶやだ!だから死ぬ!私の決意はかたーい!」
「…………。予定とか決めてんの?」
レイカ「(* >ω<)…………アッ!( ´゚д゚)」
「だめだこりゃ…」
レイカ「じゃあ1週間後に死ぬわ!だからアオハル手伝いやがれください!」
「いやだよ」
レイカ「なんでっ!?」
「私らあったばっかりだよ?」
そう、帰宅中に偶々この謎の人物に出会い、勝手に話しかけられたのだ。初対面に死ぬっていわれて会話が成立する、となると私もかなり疲れてるんだなと感じる。
レイカ「であったら友達!」
「友達許可証ないから友達じゃないよ」
レイカ「え~…。みんな頑張って友達作ってるんだね…。なら私友達要らないや!だって死んじゃうもん!」
「一応聞くけど心残りとかないわけ?」
レイカ「めんどい手順踏みたくないけどアオハルしたい!」
「他当たって」
レイカ「無理!だっていろんな人にそうやったら通報されかけたもん!」
他の人にやってた。しかも何回も。只でさえ回らない頭をパンクさせながら回し、内容を理解しようとし、脳がそれを拒む。
「そりゃ通報されるでしょ。」
レイカ「マヂで!?」
「大マジで」
レイカ「ふふん!レイカさんは学びましたぞ!」
「もっと早くそうして欲しかったかな。」
レイカ「そういえば知ってる?えっと…」
「…るう。」
レイカ「知ってる?るうちゃんちゃちゃんちゃん!」
「なにを?」
レイカ「知らない人に「死ぬ前にアオハルしたいから手伝ってください!」って言い続けると通報されちゃうんだよ!」
「それさっき私が教えてあげたやつだね」
レイカ「マジマジで!?るうちゃちゃ天才!」
「いやなにその呼び方」
レイカ「いやだった?」
「そんなことは無きにしもあらず…。」
レイカ「よく分からないけど良いんだね?」
るう「はぁ…手伝うよ」
レイカ「え、なに?」
るう「だから手伝うよって!」
レイカ「なにを!?」
るう「アオハル!」
どうも見ていられなかった。情が湧いた訳ではない。これでは暑さではなく共感性羞恥で私が死んでしまう。
レイカ「じゃ友達だね!友達許なんたらはるうちゃちゃが作って!」
るう「あれ冗談だったんだけど…」
レイカ「ねねねねみて!!!」
ただでさえでかい声が更にはしゃいで叫ぶ。私の耳はセミのコーラスと煩くて仕方がない友達に破壊されそうだ。いやいや曇り空で照りつけはしていない太陽のある空を見ると
レイカ「虹!虹だよるうちゃちゃ!!!!」
るう「虹好きなの?」
レイカ「うん!ゲーミングな色してるから!」
普通逆なような気もするが。なぜだかこの騒がしさに慣れてきてしまった。1週間ぐらいの友達ごっこは料金でもとればいい金稼ぎだ。少しぐらいいかもしれない。
『君が消えるまで後1週間』
コメント
1件
ほんとにありがとう こういう話好きだよ…