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〜ミルフィーユ〜
私には幼馴染がいる。そいつは小さい頃は私よりも背が低く、泣き虫で、いつも私の後ろでおどおどしてる私が守らなければいつか何処かで倒れているのではないかと小さいながらに思っていた。
そんな私たちは、もう高校生。
小、中、高校もなんだかんだいって同じになった。
高校入学し、高3になって初めて幼馴染と同じクラスになった。
久しぶりに近くになった幼馴染は幼稚園の時の小さく、かわいかったころとは違く、どちらかと言うとイケメンになっていた。
幼馴染は体育の時には女子からの注目をあび、楽しそうに男友達と体育を受けている。
そんな幼馴染は私にべったりなことが多い。高校でも、家でも。流石に授業中はべったりはしない。
それだからか女子からの視線は痛々しい…ということもなく。
なぜかにこやかに笑ってこちらをみている。なぜかはわからない。
高3ということで、受験がある。受験勉強をして、来るその日に備え、みんな勉強を頑張っている。
あともう一カ月後。受験がやってくる。その日まで準備だ。
………
受験が終わり、みんな一段落した。
受験によりスルーしてしまった、バレンタインを取り返すため、みんな好きな人や彼氏にチョコを渡している。
私は彼氏などは居ないからバレンタインというイベントは正直いらないのではと思った。でも、その思いは胸に秘めておこう。
とりあえず毎年渡してるしと幼馴染には渡そうと思った。
手作りなどはせず、市販のものだが、毎年喜んでくれている。
今年はミルフィーユにしようかな、と考え、ケーキ屋さんに向かった。
無事にミルフィーユを買うことができ、ラッピングをして、明日学校で渡そうとその日は寝た。
学校。男子達は浮かれて地に足がついていないかのようだった。
渡す相手を教室内で探す。
…もう帰ったのかな?
放課後の教室内には幼馴染はいなかった。
まあ、明日も会えるだろうし、帰ろうかな。
なぜか廊下に人だかりができている。なんだ?と思い、その中心に向かってみる。中心にいたのはチョコを押し付けられている幼馴染だった。どうやら好きな人以外にはもらわないんだ。と断っていたらしい。
あ、校内で一番人気の女子も断られてる。そんなに幼馴染が好きな人っていい人いるのか。
てか、好きな人にしかもらわないってことは私のミルフィーユもいらないんじゃないか?と思ったが、その想いを胸に押し込み、その足で帰った。
帰路の途中、後ろから幼馴染の声がした。
一か八かでミルフィーユいる?と聞いてみた。
『いらないわけなくないか?もらうねありがとう!』
…あれ?こいつ好きな人にしかもらわないって言ってなかったっけ?
ふと疑問に思い、言ってみる。
やっぱり気づいていなかったのか…とあからさまな顔つきをしている。
受け取る手つきは、いつもと同じなのに、なぜか胸がざわついた。
彼は、ずっと前からそうだったみたいな顔で笑った。
私が気づかない間に、全部準備していたみたい。
その意味を理解した瞬間ぶわっと顔が赤くなった気がした。
ミルフィーユの層ような思い出の数々、外堀を埋めた高さ、ほんのり甘いクリームのような恋愛。
晴れて私たちは大学に受かり、恋も叶った。
ミルフィーユの層のように、
知らない間に積み重なっていた時間があった。
私はそれを、今になって噛みしめている。
ミルフィーユを一緒に食べながら小さなお祝いを2人だった。
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