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こんばんは。作者です。
前まで狂気の全年齢版を出していたのですがこれもセンシティブになってしまったので全年齢版は勝手ながら消させて頂きました。すみません🙇🏻♀️今回はそのお詫びも兼ねて少し長めに書きました。
注意
・太宰さん愛され
・腐注意(今回もモブ太&国太)
・異能についての自己解釈あり
・矛盾点があるかもしれませんがそこは見なかった事にして下さい。
それではどうぞ。
✣✣✣✣
国木田達が探偵社から去った数分後、他の社員達も青森に向かっていた。太宰や国木田達の心配で和やかに話せる雰囲気では無いこの状況で、乱歩の持っているパソコンに一通の文が送られて来た。そしてその文を読み始めて直ぐに眉を顰める。
「どうかしたの?」
それに気が付いた鏡花が彼に問う。
「見てみなよコレ」
パソコンを皆に見えるように置き直す。画面には文字の羅列が映っている。
“ありがとうございます。お利口な猫が戻って来ました”
先程の依頼人からのものと思われる文にはそう書かれてあった。
「凄く性格のイイ野郎だねェ」
その文を見て与謝野は眉間に皺を寄せた。
「それに私達に向けての挑発だけじゃなくて太宰さんの状態も遠回しに伝えてきてる」
「・・・戻って来ました、ね。太宰の精神を限界まで壊して津島家に閉じ込める事に成功した可能性が高いな」
このタイミングでの文の意図は挑発のひとつだろう。確かにその挑発は効いており社員の不安や心配を増加させる種となっていった。
その時、今まで口を閉ざしていた賢治が乱歩に疑問をぶつける。
「そういえば・・・何で僕達は国木田さん達と別で青森に行くんですか?」
乱歩は出来の良い生徒を褒める様に言った。
「良い質問だ賢治。その理由の答えは”僕達は国木田達と同じ様に津島家に向かうのではなく、ある研究所に向かうから”だ。僕の推理だとあと三十分程でこの世の異能者・・・否全人類が消滅する。それを阻止するには僕達は必ず次の一つの事をしなくちゃならない。それは、太宰を救出する事。これをこなせば人類消滅は免れる」
乱歩は一通り話すと、質問はある?と首を傾げた。すると、勿論あるさ。と与謝野が口を開いた。
「太宰を救出するって彼奴一体何をされてんだい?」
「その質問、実は今から向かう研究所の話にも繋がってるんだよね。僕達が向かう研究所では異能力の研究が行われている。最終的には人類を滅ぼす為の、ね」
「・・・!真逆」
鏡花がその言葉の意図を察した様に息を飲む。
与謝野も気付いた様で苦虫を噛み潰したような表情をして拳を握りしめていた。
「そう。昔は未だ幼く研究対象ではなかった太宰は今回太宰の父親が再度太宰を捕まえた事により、その研究対象になってしまった。が、幸いな事にその研究は”未だ”始まっていない」
「それに今回起こりうる最悪の事態は」
─太宰の異能が開放されてしまう事だ。
「異能の・・・開放?」
「嗚呼。太宰の父親は己の異能を使って太宰を狂気に堕とし、本来の異能を開放させるつもりだ。太宰の父親は対象を狂気に堕とす異能を所持している。人によって個人差はあるが、二、三度受ければ必ず正気を失う。発動条件は対象の意識を自分に向ける事。これは太宰が攫われる前に置いていった情報だ」
乱歩は一呼吸おいてまた話を再開した。
「話を戻すね。普段使っている異能は理性によって本来発動する効果の半分くらいに抑えられている。だから太宰の異能が開放されれば異能無効化が触れたものを無に返す異能に変化してしまうんだ」
乱歩の話を最後まで聞いていた鏡花はある一つの事に気が付いてしまった。
「・・・人間の身体は本来の異能を発動出来るようになってもその強大な力に耐えられない」
「そう。本来の異能を取り戻せばそれと同時にその者は必ず死ぬ」
─この儘じゃ太宰が死ぬのは時間の問題だ。
✣✣✣✣
「あっはは凄いぞ修治!昔のお前なら屹度もう壊れている頃だよ」
男の異能は対象を狂気に堕とすというもので、本来ならば二回異能を発動させれば大抵の者は狂気に堕ちる。が太宰は違った。ほんの少しの理性を保って何が何でも狂気に堕ちないようにしていたのだ。
「・・・そう、ですか」
そう答える表情は硬い。一歩踏み外せば人類消滅と言う大きな責任を太宰は果たす為に唯ひたすら耐える。
「でも修治その頑張りも、もう無駄だよ」
男は太宰の目線に合わせる様にしゃがみ込んだ。男の憐れむような瞳と太宰の黒く濁った瞳が交わる。
「嗚呼、綺麗だよ。修治」
男が異能を発動条件させると同時に太宰の瞳は闇に染まり狂気に堕ちる。
─筈だった。
男の異能が発動するよりも先に青白い光が部屋中を包み込む。
「貴方、私を・・・見誤りましたね?」
太宰の白く細い手が男の腕を掴んでいた。
太宰の手足を固定していた手錠と鎖を見ればいつの間にか外されて、地面に無造作に置かれている。
「私に手錠は効きませんよ?」
ほら、と自由になった手を見せびらかす。
「何故抵抗するのだ修治。お前一人が抵抗したって何も出来やしないじゃあないか。・・・あまりお前にこんな事はしたく無いのだがね仕方が無い」
そう無感情につぶやき、太宰に掴まれていない方の手でメスを取り、彼の腹を刺した。太宰は鋭い痛みに顔を歪める。あまりの痛さに手の力が抜けそうになったが、太宰はその痛みを耐え忍び、メスが抜けないように男の腕を掴んだ。
「えぇ。知って、いますよ。ですがそれは─」
─此処に居るのが私”だけ”の場合の話です。
✣✣✣✣
「敦、乱歩さんから敦が先に津島家に乗り込め。との指示が出た。太宰の居る場所は地下室だ。俺達も後で行く。敦は急いで太宰の元へ向かっていてくれ」
「分かりました! 」
敦の手足はまるで月の下を走る虎の様に変化していく。そして地を蹴り上げた。すると、もうそこに彼の姿は居なく、その衝撃で紅葉だけがふわりと宙に舞い上がっていた。それを見ていた国木田は後輩の成長に少し口元を緩めた。
「谷崎、俺達も行くぞ」
「はい!」
✣✣✣✣
敦はひたすら走り続け漸く津島家に侵入する事が出来た。
国木田さんは太宰さんが地下室に居ると言っていた。ならば僕が今しないといけない事は一つだけ。一刻も早く太宰さんを救出する事だ。
敦は家の中を見渡し地下に繋がりそうな道を探した。
「階段!屹度この下に地下室がある筈だ!」
階段を下りてみれば、目の前に広がるのは大きな鉄扉。それを両手でこじ開ける。扉が開き先ず視界に映るのは腹を刺されて血を流している恩人の姿。途端、敦の頭にカッと血が上った。
「その人から離れろ!」
太宰を刺していた男は敦の存在に気が付き、先程から引き抜こうとしていたメスから手を離した。
「誰かと思えば探偵社の虎の子か・・・丁度良い」
男は敦の方を見てニヤリと嗤う。
「敦君、逃げろ!」
太宰が焦った様に言った。だが、敦の意識は完全に男に向いており、聞こえていない。その時だった。
─ 閃光手榴弾ッ!
眩しい光が皆の視界を埋め尽くす。
急なそれに敦が戸惑っていると扉の方から聞き馴染みのある声が聞こえた。
「敦!太宰を連れてこちらに来い!外に逃げるぞ!」
「は、はい!」
閃光手榴弾によりまだ動けずにいる男が動ける様になる前に太宰を背負って敦は谷崎と国木田の背を追いかけた。
「先程谷崎には話したがお前にも説明しておく。あの男は人を狂気に堕とす異能を所持しているそうだ。異能発動条件は”対象の意識を自分に向けること”だ。そしてこの異能を二、三度受けた者は簡潔に言えば死ぬ」
“死ぬ”その言葉を聞いた敦は大きく目を見開らいた。
「死ぬって何故ッ!」
「落ち着け。今から詳しく説明する。俺達の使う異能は理性によって本来の力の半分程度に抑えられている。だがあの男の異能を受け、理性が失われる事によって、身体は強大な力に耐えされず死ぬと言う事だ」
「それで国木田さんは閃光手榴弾を・・・ありがとうございます。助かりました」
「研究所へ向かえば乱歩さん達と合流出来るみたいだよ。そうすれば意識を向ける対象も増えて、あの異能には掛かりずらくなる筈だよ」
男の強力な異能に絶望していた敦をフォローする様に谷崎が言った。
「だからといって警戒を怠っても良いという事では無いがな」
「アッハハ・・・」
国木田達が話終えると奥の方に見覚えのある人影が見えた。
「来たかい!こっちだよ」
「遅くなってすみません。与謝野女医」
「取り敢えず太宰をこの上に寝かせておくれ傷の程度を確認する」
彼女は持って来たシートの上に太宰を寝かせ、テキパキと治療を始める。腹だけでなく腕にも出来た痛々しい傷を見て与謝野は苦しげな表情をした。
「これで止血は出来た。妾は此奴が起きる迄此処にいるから、アンタ達は先に研究所に行ってな。そこに乱歩さん達もいるよ」
国木田達は了解の意を示し、乱歩達の居るという研究所に向かった。
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