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【鳥籠の中の猫】
冬が来ないままの駅にまっさらな
進路用紙を破いて光の来る方向へ安堵する。月はどうやっても触れないし及川は何をしても戻ってこない。あぁ、夏はいつ来るんだろう。
この世界には3種類の人間がいる。
弱い人間
強い人間
普通の人間
このみっつで構成されている。
今日も私の教室では強い人達が弱い人を傷つけていて、普通の人間はその背景を日常にいつもの生活を続けている。チャイムがなると同時に私は教室を早足で飛び出して2階から4階まで階段で向かった。息切れしながらも今は使われていない被服室の扉を開くと
いつも通り3年の及川敦がスマホを睨んでいた。
「遅せぇよ」
息切れしたままの私の腕を引っ張り抱きしめ、またいつもと同じ行為を繰り返した。
乱れた制服を直しながら外に目をやるとさっきまで真っ青だったはずの空がオレンジ色に染っていた。慌ててスクバを持って被服室を出て階段を駆け下りた。その途中、誰かにぶつかったけどそんなこと気にするん時間なんて無くて、止まらずに駐輪場に向かって走り出した。自転車に乗って校門を出ると、同じクラスのあやねさんときみちかくんが信号待ちでキスをしてた。
でもそんなことお構い無しに自転車を全速力で走らせたせいで、雰囲気は台無しになってきみちかくんが気まずそうに離れていたことから、あやねさんが私の事をすごい形相で睨んでいることが容易に想像できた。
駅に入り改札を抜けると電車がまだ来ていなかったので椅子に座ってスマホを取り出した。あやねさんに謝罪のLINEを入れておかないと、、と思って
今日はごめんね
私のせいで雰囲気壊しちゃって,,
さっきはいそいでて
と、ありきたりなLINEを送った30秒後におっけーというスタンプだけが送られてきた。それと同時に電車も来たので急いで乗り込み空いている席に腰をかけた。