どうも、前回は私の回想で終わらせてしまって申し訳ない。
あとメタをぶち込んで申し訳ない。みんな大好きハンジさんです。
これ以上問題児が増えませんようにと願っていたが、その願いは成就したのか
気になっている方もいるだろう。
安心してほしい、今のところ問題児はモブリットだけだ。
良いのか悪いのか…と考えながら、仕事がひと段落ついた私は
タバコ休憩を取るために靴箱を開ける。
タバコが身体に悪いことは知っているが、もう身体以外の全てが悪いのでどうでもいい。
その時、開けた靴箱から紙切れが落ちる。
まさか…生徒からのラブレターか?
そう思い私はその紙切れに描いてある文字を読む。
“放課後、会議室に来てください”
これは、ラブレターともとれるが…
十中八九モブリットの仕業だろうな、とため息をつく。
別にラブレターを期待していたわけではない。
私は前世では女だったし、未成年に手を出したら豚箱に直行だ。
今日はどんな服を着てくるのか…少し気になってしまっている 自分もいる。
だがモブリットの事は心配だ、とても。
心がふたつある。
そんな胃が痛い放課後があっという間にやってきた。
誰もいない(厳密にはモブリットがいる)会議室の扉を、一思いに開ける。
「どうもこんちわグーテンターク!!!!」
「声デカいですよ、バレて退学になったらハンジ先生のせいです」
「そんな殺生な…」
さて今日のモブリットの服装はというと…
オーソドックスなゴシックロリータ、ゴスロリだ。
やはりこういうのが好きなのだろうか、着ている頻度が多い気がする。
いや、多くあってほしくないのだが…
「じゃーん、どうですか。新しいのです。」
「新しいの?全部黒くてフリフリだから何がなんだか…」
「それは禁句ですよ」
私の目からはどれも同じドレスに見える。
だが、モブリットみたいなゴシックロリータオタクからしたら
全部月とスッポンくらい違うのだろう。知らないが。
私はふと気になったことがあるので、
それを本人に聞いてみることにした。
「…なんで私に女装を見せたがるの?」
「いつかハンジ先生の理性を破壊してやります」
「はぁ?」
理性を破壊するって、そうなったら私は豚箱行きだって分かるだろ。
もしかして豚箱にぶち込んでやるつもりでこんな事を?
やはり前世で色々迷惑かけてしまったから怒っている?
「………ごめん」
「なんで謝るんですか?」
「だって…私を刑務所行きにさせたいってことじゃないか」
「そ、そういうことじゃないですって!」
モブリットは慌てて首を横に振る。
じゃあどういうことなのか、そう聞いてみると彼はこう答えた。
「ハンジさんのことが好きなので」
「えぇ?」
「こうやって可愛い服とかえっちなコスプレとかしてれば、いつか抱いてくれるかなって」
「抱かないが?」
モブリットは可愛い元部下であり現教え子だ。もちろん大好き。
だがそれは恋愛的な感情じゃない。
当の本人はというと、秒で否定されたのが気に食わなかったのか
会議室の机の上に座りながら、足を組んでむっつりしている。
なぜ机の上に座りたがるんだ。
「そんなこと言ってられないくらいメロメロにさせてやりますよ」
「君、本当にキャラ変わったねぇ…」
「人類の存続がかかっている組織で副隊長やってたら、誰でも自分を抑えるものですよ」
「じゃあこれが素の状態ってこと?初めて知った、知りたくなかった。」
「どーせ私はヘンタイですよ」
まさか調査兵団に私(巨人フェチ)とミケ(匂いフェチ)の他に変態がいたとは…
しかも前世のモブリットは女装とかに目覚めなかったわけで、
要するに女装フェチとかでもなんでもなく、ただの変態だったというわけだ。恐るべし。
「そういえば10月31日のハロウィンイベント、ハンジ先生は来るんですか?」
「行かないって言っても来いって言うでしょ」
「そうですね、じゃあ行くってことで決まりですね」
「そうだね…人前であんまり過激なコスプレはダメだよ。」
はーい、と話を聞いているのか聞いていないのか分からないような返事をし、
唐突に目の前で着替え始めるモブリット。
「わーーーっ!!やめんかアホ!」
「あーっ、アホって言ったぁ。可愛い教え子兼部下に!」
「人前で着替え始めるバカがどこにいるんだ!!」
「ここにいますよ、まったくハンジ先生はウブで困っちゃいますね」
これもお決まりの流れで、私は毎回足がもつれそうになりながら部屋を出て
思い切りフルパワーで扉をピシャリと閉める。
全く、モブリットはいつもこうだ…けど、これが平和ってことなのかもな。
私達が巨人を駆逐してなければ味わえなかった日常だ。
少し大変だが、私はこの日常が好きだ。
ハロウィンイベントか…
頼むからモブリットは過激なコスプレはもちろん、女装もしてほしくないが。
そうなるとモブリットのアイデンティティが丸潰れになってしまうのか?
シスターとかナースとか魔女とか…そこら辺かな。
ある程度予想さえ出来ていれば、いざ実物を見た時も平静を保てる。
けど教え子がえっちなコスプレしている所を思い浮かべるなんて、
私も立派な変態じゃないか!
「…モブリット」
「なんですか?」
「変態って…連鎖するんだね…」
「そうですね」
絶対話聞いてないな。
少しすると、着替え終わったモブリットが会議室から出てくる。
制服着てたら、本当にただの男の子なんだけどなぁ。
女装とかコスプレをしていたら、本当にただの変態にしか見えない。
やはり外面というのは大切なんだと、改めて思い知る。
「ハロウィン、ハンジ先生も仮装して来るんですか?」
「いや?なんかいい衣装でも見つけたらやるかもね」
「せっかくなら私が去年着たやつ貸してあげますよ、サイズは多分まだ…」
「いやいやいや!サイズとかの話いいから!それ以前の話!!」
女装の押し売りはやめてくれ!そう心の中で叫ぶ。
自分が好きなものが他の人も好きとは限らない。
だから棲み分けをしながらそれぞれ悠々自適に楽しむべき…
…人前で着替え始めるなとか、
そういうマナーを書いたノートでも作って渡してやるべきだろうか。
隙あらば恋人繋ぎをしようとしてくるモブリットの手を振り払いながら、
私はいつものように物思いに耽る。
〜好評じゃないけど続く〜
〜おまけイラスト〜
コメント
1件

この小説のモブリットでエゴエゴアタクシという曲のmemeを作りました。 https://d.kuku.lu/kbv5e2528 良ければどうぞ!