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77 - Ep67 落雷戦線

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2024年03月11日

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 僕とミカエルが正義の国へ神威で飛ぶと、そこは雷雨で覆われ、目を丸くする光景が広がっていた。

「なんで……内乱が起きているんだ……!」

 正義の国の兵士たちは、ゴチャゴチャの隊服同士で、隊も何もなく内乱を引き起こしていた。

 龍族の一味強襲時に、一度戦力を貸してくれていた正義の国の兵士たちは、闇龍ガンマにより、全員正義の国へ戻されているのはまだ分かっている。

 その人たちが何故争い合っているんだ……。

 それに、ホクトやルシフェルの姿もない……。

「君……もしかしてヤマトくんかい……?」

 すると、僕らの後方の樹木が話し掛けてきた。

「え!? 樹!?」

「いやいや、ごめん……。俺、ヴェンドだよ」

 ヴェンドさんは樹木に変身していた。

「僕もいるよ〜……」

 ヴェンドさんの背後からずるっと出てきたのは、守護神ブルーノさんだった。

「この騒動は……一体何があったんですか……?」

 すると、僕たちを木の影に隠して話を始めた。

「自由の国に救援に行って、一味の奴と岩龍を止めて、ルビーが心配だからって俺もヤマトくんに着いて行って守護の国へ向かっただろ? 俺はそこから既に記憶がないんだが、気が付いたら正義の国も元通りで、各戦地に赴いていたはずの兵士たちも戻っていたんだ」

 そうだ、ヴェンドさんは、守護の国でカエンさんの仙術魔法 神螺の暴走に巻き込まれて子供になっていた。

 しかし、闇龍ガンマによって守護の国の全ての人間は、黒い沼の中に吸収されていたんだ。

 雷の神 ロズが持って来た正義の国の大地もそのまま吸収していたから、正義の国へ戻す時に大地や人も全てを闇の空間から移動させたのだろう。

「でも、みんなが困惑しているのも束の間、いきなり激しい雷雨に見舞われ、気が付いたらこの有様なんだ……」

 雷雨の正体は、雷の神 ロズの暴発が引き起こしていることだろうが、どうして内乱に発展しているんだ……。

 ヴェンドさんの話も容量を得ない……。

「一先ず、雷の神の元へ行ってみましょう」

「ロズならこっちだ……。剣豪に近寄るなと言われて僕たちは見ていることしかできなかったんだが……」

 ホクトに止められていた……?

 と言うことは、暴発は食い止められているのか。

 僕たちは、急いで雷の神 ロズの元へと向かった。

「ヤマト……遅い……」

 そこには、珍しく顔を強張らせ、今にも破裂しそうな、氷漬けにされているロズと、震えているホクトの姿があった。

 ルシフェルもホクトに魔力を注いでいるようだが、暴発が進むにつれて破裂は増そうとしている。

「なんとか間に合ってよかった……」

 しかし、問題は残っている。

 雷の暴発を止める条件には、強力な水魔法・岩魔法・そして光魔法が必要なのだ。

 水魔法を使える者はいないし、岩魔法もヴェンドさん一人だけでは心許ない……。

「ヤマト、忘れちゃったんですか?」

 こんな窮地だと言うのに、ミカエルは相も変わらずとぼけた顔を僕に向けてきた。

頼るのではなかったのですか?」

 そして、ハッとさせられる。

 そうだ……僕たちだけでなんとかしようとしすぎだ。

 僕は、またしても同じ過ちを繰り返すところだった。

 “雷神魔法 サンスプリード”

「この国の全兵士に告ぐ。雷の神を救出する。その為に、この国の全水魔法使いと岩魔法使いは直ぐに集まってくれ……!!

 僕は、強制的に意思を送った。

 暫くすると、海洋隊を束ねたルビー一向はゾロゾロと隊士たちを集めてやって来た。

 しかし、ゾンビのように未だ暴走する集団。

ホクト、抑えるのはもういい! 暴走している人たちを押さえておいてくれないか……!」

「ま、待ってくれ……! クイナちゃんもいるんだ……。何故か、雷魔法を扱う者たちだけがあんな風になってしまっていて……」

 そうか、合点が行った……。

 雷の神の暴発は、『雷魔法使いに伝播』していたんだ。

 だから意識を取られて、魔物のような思考になってしまっているんだ……。

「そこまで知性がなくなっていると……ホクトだけじゃ無傷で抑えておくのは厳しいな……」

「ヤマトくん……僕が行くよ……」

 そして、ブルーノさんの顔付きが変わる。

「自然の国でも早々にやられてしまったしね、何も出来ないまま終わるのはもう嫌なんだ……」

 そう言うと、ホクトと共に意識が魔物と化してしまった兵士たちの元へと駆けつけて行った。

 しかし、これで準備は整った。

「お兄ちゃんと手を組むなんて嫌だけど……この国を守る為だから仕方なくやってあげる……!」

「ふふ、本当はルビー嬉しいんじゃないの?」

 そう小言を言い合うと、互いに兵士たちを二分割させ、バチバチと雷を帯びたロズを囲った。

「それでは、水魔法を思い切り放ってください!」

「海洋隊、水の兵士たちに告ぐ! この海洋隊ルビーに続いて、最大魔法を放ちなさい!!」

 ウォー!! と、大歓声の中、続々と水魔法が放たれ、ロズの周りは水でバチバチと感電して行く。

「ヴェンドさん!」

「さあ、こっちも行くよー! 岩魔法、発射!!」

 そして、岩魔法の兵士たちもこぞって魔法を発射。

 ロズは、みるみる内に岩の中に閉じ込められた。

「ルシフェル……準備はいいね?」

「あ、ああ……!」

 そして、パキッ……パキッ……と、岩が崩れ始める。

「今だ!!」

「光魔法 ブラックヘル!!」

 そして、岩の中の闇を消す光魔法が放たれる。

「光神魔法 エイレス!!」

 僕も、光が途絶える前にすかさず、ロズを巡る雷の暴発の封印を解くことに成功した。

 七神の暴発は……これにて全て止められた……。

「やりましたね、ヤマト」

「あ、あぁ……。なんとかなった……ね……」

 周りの兵士たちも、連戦からの膨大な魔力消費で疲弊している姿を見せていた。

 次第に暗雲は晴れ、日光が照らされた。

 僕たちは、終焉から免れることが でき 

 気付いたら、僕たちは暗闇の中にいた。

「あれ……!? ここは……!?」

 辺りには、僕とミカエル、ルシフェル、四方守神の四人と悪魔ルインがいた。

「この空間は……ガンマの暗黒の中だね……」

「ガンマの魔法の中……!? なんで急に……!?」

「バベル……悪い知らせだ……」

 そして、暗闇の中でガンマの声が聞こえる。

「アゲルが……暴発を始めた……」

 そして、その場の全員に緊張が走る。

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