コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
次に目覚めたのはその見続けたいと願った空の上だった。今にも掴めそうな星はどれだけ手を伸ばしても掴めず虚しいものだった。
そして、手を伸ばして気づいた
『手が…腕が…透けてる…』
それのお陰で自分が幽霊である事に気がついた自分の手を空にかざすと瞬く星は透明な自分を気にする様子もなく輝きを増す。
(あぁ、死んだんだなぁ…)
改めて認識すると不思議な感覚だ。
小さい頃に観た映画が僕に死後の世界を想像させた。ふとそんな事を思っていると下からサイレンが聞こえた。救急車と人溜まりができ、とても近寄りたくはなかった。
が、こんな事体験成仏したら出来ないんだろうなって思ったら好奇心が湧いてきて、ふわふわと人混みの後ろは行き覗いた。
見なければ良かった。
引かれたあとの僕の体はもう助からないと分かるくらいではあった。足が曲がっていたり… 流石に気持ちが悪くなった。すぐに自分の体をみるのをやめてその場を離れた。
『なんで死んじゃったんだろ…だって僕まだ大人にもなってないし色々な事したかったよ…』
呟いても誰も聞こえはしないこの声が無性に嫌で、悲しくて、苦しくて…
泣いた。
誰も慰める人はいない。ただ1人で。
ふと強く擦っていた目を開けると光っているものが見えた。
『(…?)』
近くまで寄ると、それは自分のスマホだった。僕と空を繋いだ、物…
今それは意味の無いものなのに、持たなければならないという衝動に駆られた。
触れれないと思ったスマホはついにその重さを感じる事は叶わなかったが、持つことは可能だった。
丁度画面が光った。何かの通知だ。
『誰だろう…』
(早く帰ってきて、ご飯冷めるよ)
死んだと知らずの母さんだ。
途端に目頭が熱くなった。
『ごめん、ごめん…もう帰れない…』
幽霊が涙を流すことが出来るんだってはじめて知った。夜空の中に溶け込む誰にも当たらない雫。誰の前でも流さなかった。
『(今くらい泣いてもいいだろう)』
誰も気づかない、気づいて貰えない1人で嗚咽を漏らしながら泣いていた。