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ちょんまげが、僕のちょんまげが…あいつらに汚されていく。やめろ、ちょんまげは君達みたいなクズ共と一緒にいていいはずがない。どうすれば、どうすればいい…?このまま僕はただちょんまげがあいつらと一緒に誰かを傷つけているところを見ているだけで良いのか?…ああもう何でよりによってこんな時に良いアイデアが思い浮かばないんだ。僕はどうすれば…
「森!」
急に呼びかけられてはっとする、振り向くとキング達が僕を見ていた。
「え、何…」
「ドッジボールするからお前も来いよ」
ちょんまげの方を見る、にこやかにこっちを見ている。
「うん、分かった」
…考えるのは後にしよう、放課後にパソコン室に行って調べないと。分からないままなのは嫌だから。
放課後
「好きな人 自分のものにする 方法」
授業が終わり、放課後に早速パソコン室に寄って検索してみた。数々のサイトの中で気になるワードが出てきた、…『監禁』?
何となくあまり良い意味ではないだろうと察するも意味を調べてみたら思った通り。でも…これって言い換えればちょんまげがあいつらの目に映ることもなければ、ちょんまげが誰かを傷つけているところも見なくて済む。ちょんまげが、僕だけを見てくれる…?
「っ…!!」
「は、はは……」
必死で興奮を手で抑えようとしても無理だった、何でもっと早く思いつかなかったんだろう…!!そうだよ…僕がちょんまげを守るんだ。ちょんまげを守れるのは僕しかいない、検索した言葉をノートに書きネットの検索履歴を消す。これで大丈夫、ただ…監禁するにしてもどうやって?僕達はまだ小学生だし学校を休むわけにもいかない、せめて…せめてキング達からは離れさせたい。…転校、ちょんまげと一緒に転校か…。お母さんに叱られるだろうなぁ。
「え?」
「だからぁ、お父さんの転勤で家引っ越すの あんたも荷造り手伝って」
まさか本当に転校になるなんて…これはチャンスじゃないか…?
「あ、あのさっ…」
「ん?何?」
「…ちょんまげも、一緒じゃダメかな…?」
さすがに無理があるか…?それはそうだよなぁ、友達も一緒に転校なんて。迷惑でしかないか。
「…どうして?」
やっぱり聞かれるか…ここはもう正直に話すしかない。
「…ちょんまげが、いじめっ子達と一緒にいるのを見るのが耐えられなくて…僕の大切な親友なんだ。もうこれ以上、親友が誰かを傷つけてるところなんて見たくない。だからお願い、一緒に…勉強ならあっちの学校でも努力するから」
僕が苦し紛れに告げると、お母さんは僕を抱きしめた。
「どうしてもっと早く言わなかったの…言ってくれればあんたも羽立くんも傷つかずに済んだのに」
その声には悲しみと少しの怒りが込められていた、ごめんなさいお母さん。
後日、実はちょんまげも自分のしていることにかなり責任を感じていたようでキング達から離れようとしていたことが分かった。でも、友達になってくれた恩は忘れていないらしい。本当に優しいね、ちょんまげは。だからこそ好きになったのかもしれない。僕とちょんまげは一緒に転校することになった。
「キング達と離れ離れになっちゃうね」
寂しそうに話すちょんまげに僕は微笑みながら答えた。
「僕がいるから大丈夫だよ」
するとちょんまげは笑顔でありがとうと返事した。車の後部座席に沢山のダンボールと僕達2人、向かい合って微笑んだ。
あぁやっと…地獄から解放された、これからは僕達2人だけで過ごしていくんだ。僕は早速ちょんまげとの将来設計を頭の中で考えた。