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レイラー「さっきから話にでていた計画のことですね。どんな計画ですか?」
めめ「それはですね…能魔者のための村を作つくることです」
いえもん/レイラー「え!?」
俺とレイラーの声が重なった。
めめ「能魔者というのは人間でありながら能力や魔力を持った存在です。同じ人間からは迫害され、魔族や魔獣などの人外からは敵である人間として殺される。孤立しやすく、誰も味方がいない。そんなの理不尽じゃないですか。私はそんな現状を変えたいんです。能魔者がお互いに助け合える環境を作ります。そのために、能魔者だけの村をつくりたいんです」
俺とレイラーはさっきと変わらず驚いたままポカンと目を見開く。能魔者同士で助け合える環境。俺は昔能魔者になり迫害され始めた頃、そんな夢のような場所があればどんなにいいことかと嘆いていた。自分の居場所が欲しい。今はそんな叶うはずのない望みは捨てたつもりだったが、いざ現実として目の前に現れると、どこか期待をしてしまう。
レイラー「でも、師匠。能魔者の数はとても少ないですよね…?」
彼女の言う通りだ。能魔者というのは、その強い力が目立ちよく噂として流れるが、その数自体はとても少ない。俺も噂では幾つも聞いたことがあるが、実際に会ったことがあるのは、自分自身とこの二人を除いて一人しかいない。
めめ「ええ、ですから村と言っても数十人もいかない小さいものになるでしょう。本当は防御面から国をつくりたかったですが、戦闘力の規模や制圧できる土地の範囲から村になると思います」
レイラー「もしかして師匠が旅をしていた理由はその能魔者の目星をつけるためですか?」
めめ「御名答です。流石私の弟子ですね」
めめがそうレイラーを褒めると、彼女はとても誇ろらしげに笑った。
いえもん「でも、驚きました。まさか半強制的に闇の契約をして他人を支配する人が、能魔者同士助け合える環境をつくりたいというなんて」
めめ「貴方は別件の鎌の問題がありますからね」
レイラー「全然反省してないじゃないですか!」
俺がそう言うと、二人に反撃されコテンパンにされた。次の日体中が痛かったのはまた別のお話である。
村をつくる、といってもその村民が三人しかいないというのは笑ってしまう話なので、まずは村民となる能魔者を探すために旅をすることになった。今はその旅の準備と、壊れた鎌の修理の手伝いをしている。
レイラー「いえもんさん、そこにある黒い魔石を取ってください」
俺がそれを渡すと、彼女はそれまでかき混ぜていた手を止め、紫色の液体が入っている小さな黒い鍋にそれを入れた。魔石はどろりと形を崩し、彼女が棒のようなものを使ってそれをまたかき混ぜる。一度液体がピカッと輝き、混ぜ棒によってそのとろりとした液体が鎌の刃こぼれした部分に運ばれる。鎌が液体に触れると、鎌がまた光り出し、それが収まった頃には刃こぼれはなくなっていた。これが魔力と言うものの力なのか。何とも不思議な力である。
レイラー「便利かと思うかもしれませんが、材料が恐ろしく貴重で高価ですよ」
数日間ここで過ごして思ったことがある。とても高品質で貴重な魔石を幾つも持ち、こんな危なさそうな森の中で一人で暮らすレイラーはとても強い魔力者なのだろう。恐らく彼女が尊敬し師匠と慕っているめめも、それ以上に強いと思う。まったく恐ろしい人たちに巻き込まれてしまったものだ。
レイラー「師匠、鎌が修理できました」
めめはレイラーから鎌を受け取り、しばらくそれを見たり振り回してみたりして、出来栄えを調べる。
めめ「完全に元に戻ってます。完璧です。ありがとうございます」
めめ「では、皆さん。そろそろ準備もできたので出発しましょうか」
いえもん/レイラー「はい」
めめのその言葉に反応するかのように、漆黒の刃が窓から入ってきた日光に反射し、キラリと光った。
…次回に続きます。危ない危ない。危うく出す出す詐欺になるところでした。私事ですが、主が友達に頼まれて部活の助っ人をすることになってしまいまして…。ただ今練習に参加して多忙な日々を送っています。投稿頻度は下げる予定はありませんが、コメ返やテラーを見る回数が減ると思います。お許しください…。
そしていよいよ村民探しの旅にでますね!我ながら前置きが長かった…。
今回は補足するところがないので特に説明しません!魔法要素はありましたが、設定が細かすぎてややこしくなるのでまたどこか別の機会に話します。
それじゃあ今日はこの辺で!また来てね!