第17話「森の戦火」
🚀 シーン1:自然党派の拠点
ゼインとナヴィスは、リオナに案内されながら、自然党派の隠れ里へと足を踏み入れた。
巨大な木々の間に、木造の住居や展望台が立ち並び、フラクタルの力で維持された“生きた都市”が広がっている。
空には青白く輝く結晶が浮かび、微弱なエネルギーを放出していた。
「……都会の碧族とは、随分違うな」
ゼインは、周囲の木々や空中を舞う光の粒を見上げながら呟いた。
「俺たちは“地球と共に生きる”ことを最優先している」
リオナは、翠色の瞳を輝かせながら答える。
「人間のように資源を浪費するのではなく、自然のサイクルを利用してフラクタルを循環させるのがこの集落の流儀だ」
「……だから、お前らは“人間を軽蔑している”わけか?」
ゼインの問いに、リオナは一瞬目を伏せた。
「正確には、“信用していない”だけさ」
ナヴィスは黒髪を無造作にかき上げながら、辺りを見回す。
「ここはいいな……ただの隠れ里じゃない。ここは“守る価値がある”」
その言葉に、リオナは微笑んだ。
「気に入ってくれたなら何よりだ。だが、ここも決して安全とは言えない」
彼女の言葉に、ゼインは眉をひそめる。
「どういうことだ?」
その瞬間——
爆発音が森の奥から響いた。
🚀 シーン2:ヴェール・バインドの襲撃
「——来たか」
リオナは低く呟き、森の奥へと視線を向ける。
ゼインとナヴィスも、その方向を見ると——
森の影の中から、黒い装甲を纏った兵士たちが進軍してくるのが見えた。
「ヴェール・バインド……!」
ゼインが身構えると、リオナはフードを深く被った。
「奴らは、我々の存在を知りながら、今まで静観していた。だが、おそらく——」
「新兵器を試す気だろう」
彼女が言い終わる前に——
「——撃て!」
ヴェール・バインドの隊長が号令を下し、
空間を焼く青白い光線が、一斉に森へと放たれた!
「っ!」
ゼインは即座に**《オーバーライド》を発動し、敵の一部の武器を機能停止させる。**
しかし——
光線は森の木々に直撃し、まるで時間が止まったかのように“枯れ落ちていく”。
「……なんだ、これは?」
ナヴィスが目を見開く。
「これは……生命力を奪う兵器だ」
リオナが静かに呟く。
「我々の森を、殺すために開発されたものだ」
「《ライフ・エクスチェンジャー》——生体エネルギーを吸収する兵器」
リオナの言葉に、ゼインの拳が自然と強く握り締められた。
(ヴェール・バインド……ここまでして碧族を潰すつもりか)
「くそっ……!」
彼は、黒いジャケットの裾を翻しながら前へ出た。
「ナヴィス、リオナ……ここは守るぞ!」
🚀 シーン3:戦場の炎
「いいぜ、やってやろう!」
ナヴィスは**《リバースバリア》を発動し、敵の攻撃を反射しながら前線へ飛び込む。**
リオナもまた、《エデン・バースト》を展開し、ヴェール・バインドの兵士たちを弾き飛ばした。
「《オーバーライド》!」
ゼインは敵の装甲を無力化しながら、一気に駆け抜ける。
「お前ら、ここで引き返せ!」
しかし——
「……お前らがこの森を守ろうとするなら、それは“反逆”と見なす」
隊長がそう言い放つと、背後の大型兵器が青白い光を帯び始めた。
「っ……まずいな」
ゼインが歯を食いしばる。
その時——
「面白いことになってるじゃないか」
——ジェイコブが、笑いながら戦場に降り立った。
銀色の髪が月明かりに輝き、青い瞳が光を帯びている。
「お前、また……!」
ゼインが驚く間もなく、ジェイコブは指を鳴らした。
「《ゼロ・ラグ》」
次の瞬間、彼の動きが加速し、一瞬で隊長の背後を取る。
「さて、俺も混ぜてもらうぜ?」
彼はニヤリと笑いながら、フラクタルを展開する。
森の戦場が、新たな局面へと突入する——。
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