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#シークレットベビー
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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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西原衣都
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猫塚ルイ

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「お前今、七鳳組の若頭と行動してるんだろ?」
「…………っ! どうして、それを……」
「奴らは全部調べあげてるんだよ……稲見組の幹部連中……特に、高遠って奴は七鳳組の若頭を目の敵にしてる。だから、そいつと居るお前に目をつけた」
「そんな……」
想汰の言葉が本当なら、もしかして今起きているこの騒ぎも全部自分が原因なのでは無いかと羽衣子は気づく。
「それに、そいつには子供もいるよな?」
「!」
「奴らはお前と子供、両方を狙ってる。七鳳組の若頭の弱点だからって」
「そんな……」
「俺がお前に借金を残したのも……盗聴器を仕掛けたのも……全部、高遠の指示なんだ……俺はアイツに借りがあるから逆らえなくて……それで……」
「…………」
羽衣子は何も言えなかった。
想汰の話していることが、どこまで本当なのか分からないから。
ただ、これまで何度も裏切られてきたからこそ、全部を鵜呑みにすることが出来ない。
信じたい気持ちと疑う気持ちが胸の中でぐちゃぐちゃに混ざり合い、黙り込んでしまう。
そんな羽衣子の表情を見た想汰は自嘲するように笑った。
「……そりゃ、すぐには信じられないよな。当たり前だ、俺、お前に最低なことばっかしてきたし…………だけど、俺はお前のことを狙う奴らを許せねえ……とにかく、七鳳組の若頭の周りは危険すぎる。このまま側にいたら命に関わるかもしれない」
「……っ」
「今ならまだ逃げられる。俺が安全な場所に連れてってやる」
想汰は羽衣子へ一歩近づき、
「羽衣子、俺と一緒に逃げよう」
そう言いながら手を伸ばして羽衣子の手を掴もうとした、その時、
「羽衣子!!」
名前を呼ぶ声と共に羽衣子の身体は想汰から引き離された。
そして次の瞬間、羽衣子の身体は強い力で引き寄せられ、
「……京極、さん……?」
気付けば昴の腕の中で、守られるように抱きしめられた羽衣子は呆然と目を瞬かせる。
チラリと見上げれば昴の表情はいつもの柔らかな笑みなど欠片も無く、鋭く細められた目で想汰を睨み、張り詰めた空気を纏い、まるで別人のようだと羽衣子は感じてしまう。
だけど、何よりも驚いたのは、
(京極さん、私のこと……)
名前で呼ばれたこと。
“吾妻さん”でも、“貴方”でもなく、“羽衣子”と呼ばれたその事実が羽衣子の胸を強く打つ。
「アンタは、七鳳組の……」
「京極だが?」
想汰の言葉に低い声で返した昴には明確な敵意が滲んでいた。
昴は羽衣子を抱き寄せたまま一歩前へ出る。
「そういうお前は、羽衣子の兄、吾妻 想汰だな?」
「……だったら何だよ」
二人の視線が真正面からぶつかり、空気が更に張り詰める中、昴は一切目を逸らさず怒りを抑え込むよう低く吐き捨てた。
「いいか、金輪際羽衣子に近付くな。分かったらさっさと行け」
「…………っ」
想汰の眉が苦しげに歪むと悔しそうに奥歯を噛み締め、それでも反論はしなかった。
そしてただ羽衣子を真っ直ぐ見つめる。
「……羽衣子、俺の言ったこと、よく考えろよ」
それだけを言い残した想汰は踵を返すと足早に去って行く。
やがて完全にその姿が見えなくなると昴は羽衣子に視線を向け、
「貴方は……本当に危機感が無さ過ぎる……間に合って良かった……無事で良かった……」
「…………っ!」
安堵の表情を浮かべると、真正面から羽衣子の身体を包み込むように抱き締めた。
普段はどんな時でも冷静で感情を大きく乱すことなど滅多にない昴が、今は呼吸を乱しながら強い力で羽衣子を抱き締めている。
その腕に込められた力から、どれだけ必死に探していたのか、どれだけ不安だったのかが嫌という程に伝わり、胸の奥がじわりと熱くなった羽衣子はそっと彼の服を掴んだ。
「……京極、さん」
「――っ」
その声に昴はハッとしたように身体を強張らせ、数秒遅れて我に返ったようにゆっくり腕を離すと気まずそうに視線を伏せる。
「……申し訳ありません。少し取り乱しました」
その言葉に羽衣子は小さく首を横に振る。
「いえ、私の方こそ、ごめんなさい……その、心配をかけてしまって……」
「……貴方が無事なら、それでいいんです」
その時だった。
「若頭、吾妻さん!」
慌てた足音と共に無事に希海を確保出来た皐月と人混みに揉まれて羽衣子とはぐれてしまった辰樹が駆け寄ってくる。
そして昴の前に立つや否や、皐月と辰樹はすぐさま深く頭を下げた。
「申し訳ありませんでした!」
「任されていたにも関わらず、吾妻さんとはぐれてしまい、本当に申し訳ございません!」
そんな二人の謝罪に羽衣子は慌てて間へ入る。
「京極さん! お二人は悪くないです! 元はと言えば私が希海くんの手を離してしまったことが一番の原因で――」
「吾妻さん」
「……っ」
静かな声に遮られ、羽衣子は言葉を止めた。
昴は皐月と辰樹へ視線を向けた後で小さく息を吐き、
「……今回は……二人が無事だったから、それでいい」
「若頭……」
「但し、同じ過ちは二度と犯すな。分かってるな?」
『はい!』
「この騒ぎでショーは中止のようだから、今日はもう帰るぞ」
その言葉に張り詰めていた空気がようやく少し緩む。
昴は改めて羽衣子へ視線を向けると、今度は先程よりも穏やかな声で口を開いた。
「行きましょう」
「……はい」
屋上では安全が確認されたというアナウンスが流れ始めたことで客たちも落ち着きを取り戻し、人の流れも穏やかになったところで五人は屋上を後にし、駐車場へ向かうエレベーターの中で昴は、
「皐月と辰樹は希海を連れて先に帰ってくれ。吾妻さんは話がありますから、私と一緒に来てください」
皐月と辰樹に疲れてウトウトしている希海を任せると、羽衣子だけを連れて自身が乗って来た車へ向かって行った。
車の前までやって来ると、
「乗ってください」
昴に促されるまま助手席へ乗り込んだ羽衣子。
程なくして昴も車へ乗り込み、エンジンをかける。
そして、羽衣子がシートベルトを締めたタイミングで車はゆっくり動き出した。
どこへ向かっているのか車は一定のスピードを保ちながら進んでいき、羽衣子は流れゆく景色を窓から見つめていく。
ふと隣に視線を向けると昴は前を見据え、静かにハンドルを握っていた。
その横顔は落ち着いて見えるのに、先程自分を抱き締めた時の必死な様子が頭から離れない。
暫く沈黙が続いた後、羽衣子は意を決したように口を開いた。
「あの……話って……」
その言葉に昴は視線を前へ向けたまま静かに答える。
「先程、貴方のお兄さんが言っていた言葉の意味を教えてください」
「……っ」
その瞬間、羽衣子の心臓が大きく跳ねた。
“ 羽衣子、俺の言ったこと、よく考えろよ”
去り際に想汰が口にしていた言葉のことを聞いているのだろうと考えた羽衣子は唇をきゅっと結び、その隣では昴が急かすこともなく、ただ静かに羽衣子が話し出すのを待っている。
その沈黙が逆に、「話してください」と告げられているように感じた羽衣子は、
「……兄は、稲見組の幹部の人たちに脅されていること、高遠という人に逆らえないこと、それから……その人たちが私を狙っているということを、話していて……それで……今のままでは危険だから、一緒に逃げようと、言われました……」
ポツリと零すように想汰から聞いたことを話し始めた。
「高遠という人は……京極さんをすごく目の敵にしてるみたいで……だから、一緒にいる私や希海くんを利用出来るって考えているみたいで……」
最後の方は掠れた声になる。
「それを聞いて……今日の騒ぎも……私たちのせいなんじゃないかって……」
そこまで言った時、車がゆっくりと速度が落ちていき、昴は通りがかった自然公園の駐車場へ入り静かに車を停めた。
そしてエンジンを掛けたままハンドルに添えていた手をゆっくり離すと、真っ直ぐ前を見据えたまま口を開いた。
コメント
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うわあああ第45話読み終えたよ〜!!😭💕 昴が「羽衣子」って名前で呼んだ瞬間、マジで胸がギュッてなった!!普段クールな人が取り乱して抱きしめるシーン、エモすぎてもうダメだよ…🥺💖 想汰の話も気になるし、高遠って奴が何者なのかもっと知りたい!でも何より昴の「無事で良かった」に全部詰まってる感じがたまらんかった〜✨ 次回も楽しみにしてるね!!🌸