亀裂が入る 第三話、よろしくお願いします
叶は風邪だとあとから知った。俺のが移ったらしい。裸で寝たらそうなるに決まっているのに…。
叶が一週間休むとなり、チームは今パニック状態、有能なエンジニアがいなくなり無能しかいなくなったからだ。会社の歯車がいなくなり、ネジしかいなくなったら歯車は回せない。逆に一人でこのチームを回してる叶も叶ですごいと思うけど、一人だけにこんな大仕事をさせるチームもそろそろ訴えられるだろってレベルでヤバい。まぁ、俺も小さい動きしかしてないのでチームの人たちを悪いとは言えない。
だけど、明日叶が帰ってくるらしい。ただの風邪だったみたいで三日で帰ってくるらしい。チームは喜びに包まれていたが、だけど俺だけは違ったこの三日間みんなの信頼を得ようとして無理な仕事も引き受けようとした、でも人見知りが発動して、結局信頼は取り戻せなかった。
クタクタで家に帰ると、ん…???
🎲「か、なえ…?」
🔫「あっ!おかえりなさい、先輩!!」
困惑して、外へと出ていってしまう。なんで、叶が…。と
ガチャと言う音が聞こえ、叶が家から出てきた、そして急にバックハグをさせられた。疲れ切った体は、叶の暖かい体が癒してくれた。叶の体が異様に暖かいので、まだ熱があるんじゃないかと疑うほど。
🔫「葛葉先輩、なんかさせられました?」
チームのみんなからの信頼がないんだなと改めて感じただけ、あと俺のコミュ力のなさ…も。
🎲「なんもねぇよ…」
といい、俯く。俺は、精神的な苦痛は一人にならないと無くならないタイプ。
🔫「嘘でしょ、先輩我慢辛そうな顔してる。」
こういうときだけ、諦めが悪いのなんなんだよ…。叶は、諦めが悪いタイプではない。だからこそ、嬉しくも、苦しかった。
🎲「……ろ」
🔫「…?」
🔫side
🎲「そういうの、もうやめろ!!!」
急に大きな声を出し、僕の腕を弾き飛ばす。
🎲「もう、放っておいてくれよ…。」
🎲「最初からお前なんか、大嫌いだ!!!」
と、矢のような暴言が僕の胸に突き刺さった。
葛葉先輩とは長い付き合いだけど、こんなに鋭く、冷たい言葉を刺されたのは初めてで
咄嗟に
🔫「ごめん…なさ…」
と謝罪の言葉が出てきた。葛葉先輩はハッとしたような顔をして家に帰っていってしまった。
家に帰ると、久しぶりに父さんが帰ってきていると母さんから連絡があった。そして、二階に連れていかれ父さんに正座させられる。
父さん「そろそろ、結婚を考えたらどうだ。」
と茶を飲みながら言われる。お茶は湯気が出ていたけれど、父さんの圧は冷たく、暖かくはない。
🔫「どうして、そのようなことを…」
と困惑した。別に僕は結婚願望なんてないし、結婚する考えは頭からすっぽり抜けていた。だけど…”僕の立場”は結婚は必然と言えるだろう。でも、結婚する気はないけど、僕にはお兄さんもお姉さんもいない。だから、後継は僕になる。
父さん「お前も22だ。それに会社のことはどうするつもりだ。」
父さん「”社長の息子”として、そろそろ結婚しないと父さんも母さんも安心できない。」
僕はぎゅっと拳を握る。自分だって、母さんのことを知らないくせに…と少しイラっときてしまった。僕は社長の息子、それは十分に理解しているつもりだ。
🔫「僕はそのような考えは一切ございません。」
と自分の気持ちをはっきり伝えた。手汗が止まらない。重圧で押し潰されそうになる。
父さん「いや、お前の事情なんて関係ない、それにお得意さんの娘もお前と同じ歳くらいでな、顔を見せたところ相手は承諾してい…」
僕のことを一切考えていない発言。
🔫「やめてください!!!! 僕は僕の想い他人と幸せになりたいのです!!!」
想い人なんていないけれど、はっきり伝えることが大事。それを教えてくれたのは葛葉先輩。
父さん「この話が上手くいったら、会社はもっとビックになるんだぞ!?!?!?」
やっぱり、会社や金のことしか考えていない。
🔫「やっと帰ってきたと思ったらこんな話ですか!?!?!?」
父さん「とにかく話は決まっている。お見合いは一ヶ月後だ。」
父さん「父さんは一ヶ月後お前が父さんの話を分かってくれると信じているぞ」
と部屋を出て行った。
父さんは昔からそうだったというわけではない。会社を立ち上がる前まではとても貧乏で笑えないほどお金がなかった。そして家族の仲も良好だった。
そう、会社を立ち上がる前まではの話。会社を立ち上げた途端、お金が溢れるように入ってきて父さんの金銭感覚が狂い始めた。
父さんは変わってしまったのだ。母さんにも僕にも優しくしなくなった。母さんはいつしか操り人形のようになってしまった。
そんな時に出会ったのが葛葉先輩、僕を拒む人は初めてで、胸の奥がゾクゾクした。なにより、先輩を犯したあの夜。思ってしまったのだ、好きだなぁ…と。
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終わりです
-訂正-
・R07/03/28
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