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バンバンと銃声が響き渡る。その音が止むと同時に倒れ伏す人間。日本刀を持った赤髪の男、”フォティア”がその人間の首を斬り落とす。それを確認した俺はヘッドセットマイクの通信をONにし、報告した。
「こちら”メラーキ”。撃破目標及びその一派殲滅完了。応答願う」
『こちら”アモル”。こちらからも生体反応なしを確認した。廃ビル近くに”フラヴス”が車を停めているから帰っておいで』
「了解した」
マイクをオフにして前方にいる血塗れの2人を見やる。これで自分たちは無傷なのだから恐ろしい。
「アモルより伝令。フラヴスが車停めとるから帰ってこいとさ」
「了解。しっかし、暴れがいのねぇ奴らだよ」
「仕方がないさ、”オルフェン”。こいつらは所詮使い捨ての駒扱いされている奴ら。大元は更に強いはずだって”ケルレウス”も言ってた」
「はよ帰らへん?そろそろ血の匂いが限界なんやけど」
充満する血の匂いで頭がクラクラしてきたので2人より先にビルを出た。その後にはフォティアとオルフェンが着いてくる。廃ビルの角を曲がれば見慣れた車。俺らは迷わずそれに乗り込む。
「おかえり〜!!お疲れ様!!」
「つ”っか”れ”た”ーーーー!!!!」
「腹減った………」
「眠い…」
車に乗りこめばすぐにオフモード。前線組の俺らは血がついたままぐでっとシートにもたれ掛かる。
「もー、3人とも血塗れじゃん!!帰ったらちゃんとお風呂入るんだよ〜!!ファブリーズもしてよね!!」
「あっきぃオカンじゃん……」
「ごめんってあっきぃ〜」
コードネームを使わない素の呼び名。オフモードでしか呼べない仲間たちの名前を呼べるこの時間が好きだ。
そしてふと、おチビ組2人がいないことに気づいた。
「あれ?ちぐけちゃは?」
「俺が家出る時はアクセス遮断室にいたよ。乗ってくか聞いたけど”残ってる”ってさ」
「目悪くしてんなよ〜」
「まぁまぜ、落ち着いて。2人は俺らより肉体的負担は少ないけど精神的負担が多いから仕方ないさ」
まあ、パソコンバチバチ叩いて敵の情報盗む天才ハッカーとグレランぶっ飛ばしてビルごと破壊する最終手段担当が小柄ツインズだとは思わないだろうな……。
「あ、そういえば今日のご飯ハンバーグだって」
「「「よっしゃぁぁぁぁ!!!!!!」」」
ご覧の通り前衛組ことぷりまぜあっとは肉が好き。肉料理の日はだいたい戦争である。それを見越したけちゃがかなり多く作ってくれるのだが。
そうこうしているうちに家…俺らの基地に着いた。
「「「「ただいまーーー!!!!」」」」
「「おかえりなさーい!!」」
家を出る時は俺らと同じ仕事着だったのにいつの間にか部屋着姿になっているちぐとけちゃ。アクセス遮断室は基地の中でも奥にあるため移動にかなり時間がかかるのに既にいるということは待っていたという認識でいいのだろうか。いや、むしろそれ以外ないだろう。
「3人ともお風呂入って血落としてきてね〜。ご飯準備してるから〜!!」
「仕事着は洗濯機の中突っ込んどいてね〜」
洗面所にはご丁寧に俺らの部屋着が既に置いてあった。世話焼きだなと思いつつもありがたく思う。大分前風呂上がりに服を出すのがめんどくさくなってパンイチで歩いたらめちゃくちゃキレられた事を思い出した。
湯船は丁度いい温度で、銃を持ち続けて凝った体をほぐしていく。どちらかの趣味なのか森林の香りのする緑の入浴剤が入れられていた。
「毎度思うがいい湯加減だよな〜。あの2人はどこまでこっちのことを読んでるのやら」
「お見通しって感じだよな。構成員情報に書いてあるのかって錯覚しそうなくらい毎度丁度いいよな」
「多分長年の経験やろ。1回情報見せてもらったけどそんなこと書いてなかったぞ」
「ほへぇ…。マメな奴らだなぁ」
「感謝しかないな…」
広さも相まって何時でも温泉を感じられる。マメというか優しさなのだろう。
風呂から上がり、着替え終わればようやく飯の時間。けちゃ特製のハンバーグは肉汁が溢れてジューシーで美味い。バクバク食べてしまう。
「うまっ!!やっぱけちゃ天才!!」
「さいっこー!!」
「幸せ………」
「そ、そんなに嬉しい?いっぱい食べてくれるの見ると作りがいあるけどさ〜…」
「あー!!けちゃが照れてる!!可愛い〜!!」
「俺も負けてられないな〜!!俺もいっぱいご飯作ろー!!」
任務なんて関係ない和気あいあいとした風景。俺らが表社会で失った笑顔をここで見つけることができた。家族じゃないけど家族みたいな関係性の俺ら6人。出会った目的はそんなに喜ばれるものではないけれど、大切な仲間を俺は絶対に欠けさせない。
もう、何も失いたくないから。
コメント
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あの6人に何があったのだろうか・・・