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「この辺か…」
吸血鬼の討伐を命じられ、人気の少ない街に来たのだけれど。
「…やっぱり人はいなさそうだな…」
吸血鬼によって命を奪われた街の人たち。
生き残った人らは別の街へと逃げるように移り住んだ。
渡された写真に映る2人?2匹?の吸血鬼。
どちらも容姿端麗で、確かにこんなイケメンに迫られれば女性はイチコロだろうな。
いや、男もか?
襲われたというのは聞いたけど、彼らという確証はないらしい。
命からがら逃げた人から聞いた人物像とは程遠い。
昼間にこの街を下見として見に来てるのは念の為の防衛策だ。
「何か手掛かりでもあればな…」
人のいない街に棲んでどういうつもりなんだ。
「人間の真似をしてどうする気だろ」
人間になんかなれないくせに。
「……」
俺の家族は吸血鬼に殺された。
血を吸い尽くされ、砂のように消えていった両親。
襲われそうになった俺を助けようとして殺された弟。
ショックが大きく家族を殺した吸血鬼の容姿は覚えていない。
覚えているとしたら2人だったということだけ。
深く被ったフードで顔も全く見えてなかったから、記憶の片隅に残っているのは血のように濃く紅い四つの目だ。
俺みたいな人たちを増やさない為にも吸血鬼狩りになった。
自慢ではないがそれなりに腕は立つし、依頼されるくらいには信頼も信用もある。
私情でここまで頑張ってきたのは誰にも言っていない。
なんて、考え事しながら余所見をしていたら誰もいないと思っていた人とぶつかった。
「わ、っ…ごめんなさ……ッ!!」
顔を上げた瞬間に身構えた。
人ではない空気感に。
そして、
「あれ?まだここに人間残ってたの?」
「ノアー?なんかあっ……ハンター?」
「そうみたいです」
足元で砂利を踏む音がする。
無意識に恐怖を抱いている、のか。
目の前に現れたのは写真に映る2人だった。
昼間だというのに何もせず平気で出歩いている。
フードとニット帽なんてもの、日除けにもなりはしない。
「(やばい)」
直感。
本能。
全てが警鐘を鳴らしていた。
「(こいつら、俺じゃ無理だ…ッ)」
しかもハンターであると悟られている。
穏便には済ませることはできそうにない俺はゆっくりと後退りした。
「ハンター…?なんのことですか?俺はこの街を見に来ただけのただの観光客ですよ?」
武器類は宿に置いてきてしまった。
観光客を装うにはお粗末な嘘。
肩にかける鞄に入っているのは必要最低限、出掛けた先で困らない程度の物しか入っていない。
「(今まで見てきた吸血鬼の中で断トツにやばい奴らだ…っ)」
太陽に弱いとか、十字架やニンニクが嫌いだとか。
迷信にも程がある。
いや、太陽には弱いらしいのだが。
こいつら”人間”のように振る舞ってやがる。
「嘘つかんくてもいいって。お前から隠しきれない殺気を感じてるし」
「あーやっぱ俺たちに向けてたんですね、それ」
翡翠色の目をして水色がかった薄灰の髪の男と、瑠璃色の目をして紺色がかった髪の男は俺を目を細めて見た。
敵と認識してしまった以上、殺気を抑えなければならないのにどうしても俺はそれができなかった。
それでよく友人にも怒られる。
「……ん?てか、もしかしてこいつ」
「?……あれ?きみあの時の?」
「……俺に吸血鬼の知り合いなんていない」
少しずつ距離を離す。
ここは戦略的撤退をした方がいい。
勝てない勝負は命を危険に晒すだけだ。
「(俺はまだ死ねない。家族の仇を討つまでは)」
「ん〜⁇見たことあるぞ」
「誰でしたっけ?」
話を勝手に進めようとする2人の視線が一瞬外れた瞬間、地を蹴った。
「こんなすぐエンカウントすると思わんだろ…っ」
足は速い方だ。
不意を突かれたあいつらから距離を取れば。
それにこの見た目怪しい感じの容姿なら奴らも血を吸いはしないだろう。
殺されるかもだが。
「おい待てって」
「っひ、⁈」
「きみ足速いねぇ」
「な、っ⁈」
「「思い出そうとしてんだから逃げんなよ」」
両腕を掴まれ近くの廃屋と化した壁に叩きつけられた。
「ぁがっ!?」
後頭部を打ち付け、視界が眩む。
脳震盪を起こしたようだった。
がくりとその場に座り込み、顔を隠すように被っていたものが奪い取られる。
「あ!やっぱり!」
「きみあの時の子どもか!」
ぼやける視界で見上げた時、さっき見た翡翠色や瑠璃色をしていた瞳が深紅に変わっていた。
「ぁ…?」
見覚えがある。
心をざわつかせるような既視感。
「あの時、捕まえ損ねて眷属にできなかった子だ。見違えたね」
「ホント、おっきくなったな」
親戚のような苛立つ言い方に、後頭部が余計に痛む。
「きみ、名前は?」
『きみ、名前は?』
「は…」
「俺らのモノにならねぇ?」
『俺らのモノにならねぇ?』
「あ…」
呼び起こされた記憶。
家族を皆殺しにしたあいつら。
「……、っ!!、ぉま゛え、ら゛ぁっ!!」
「うわ急に動いたら危ないよ。頭打ってんだから」
「脳震盪起こしてる時はじっとしてろよ」
起き上がろうとした体は動かない。
その場に縫い付けられたかのように。
しかも声も出せなくなった。
「おっと人に聞く前にまずは自分が名乗らなきゃね」
にこりと優しく笑ったそいつ。
「俺はクロノア。で、こっちは」
「らっだぁです☆」
ウインクをされた。
「……その名乗り方やめた方がいいですよ。ほら、引いてる」
「引いてねぇだろ。ただ喋れんだけで」
はくはくと息だけが漏れる口。
「名前教えてもらいたいけど、きっとすぐに口は割らないだろうな」
「俺ら気に入った人間しか血ぃ吸わないし。眷属にもしないしな」
信じられないと奴らを見上げる。
人間のことは餌としか思ってないような種族のくせに。
「俺たちにも好みってものがあるからね」
「誰彼構わず襲わねーって」
俺の目を見てそう察したのか、聞いてもないことを答えてきた。
「きみは俺たちの好みドンピシャなんだよ」
「そ、ガキん時眷属にして俺ら好みに育てようかと思ったのに、あん時はクソ邪魔入っちまったしな」
俺の弟を、助けてくれたハンターをゴミを見るかのように虫かのように殺したクセに。
「っ、!っつ!!」
なんとか逃げおおせた卑怯者の俺に執着する意味が分からない。
「まぁ、俺たちが育てなくても、しっかり好みに育ってくれたみたいですけどね」
「いやぁ、運命ってやつ?」
減らず口を叩く奴らを睨み上げることしかできない。
唇を強く噛み締め、口の端がぷつりと切れ痛みで己を律するしかなかった。
ここで理性を失っては元も子もない。
冷静に落ち着かなければ奴らの思うツボだ。
「「……」」
急に黙った奴らを見上げる。
目が深紅に変わる瞬間を見てしまったのだ。
何に反応したんだと思った時、地面に俺の血が落ちた。
「(し、まった)」
奴らの形のいい唇からのぞく牙が眼前に迫り、両脇の首筋に鋭い痛みを感じた時には意識を失っていた。
肌を刺すような冷気で目が覚めた。
「ん…」
後頭部がズキリと痛む。
ぼやけた視界を何度か瞬きをして正常に戻す。
「ここは…」
牢屋のような場所。
鉄格子と石のタイル。
「捕まったのか…」
寝かされるベッドはこの場に似つかわしくないほど柔らかいマットをしていた。
「俺…、、!っ、痛゛ッ」
首筋に走る痛み。
「か、ま、れた…?」
血の気が引いていくが、吸血鬼に噛まれただけでは人間は眷属にはならない。
所有印をつけられただけだ。
他の者に奪われないように、気に入った人間を自分たちのモノにする為の吸血鬼のルールらしい。
この所有印をつけられた人間はその印をつけた吸血鬼からは逃げられない。
マーキングされてしまったら、どこにいても見つけられる。
眷属にする為には何をするのかまでは知らない。
吸血鬼は気に入った人間しか眷属にしない。
俺はその例を見たことがないから、分からないのだ。
「お!起きてるぜノア」
「あホントですね」
牢屋越しに俺を見る奴らを睨み返す。
よくよく見れば着ていた服は脱がされ、ワイシャツのみの姿になっている。
利き手には手錠がベッド柵にかけられ、利き足には枷とそれに繋がる鎖がベッドの足元に繋げられていた。
「……あんたら悪趣味だな。俺みたいなの眷属にしても、餌にしてもなんの得にもなんねぇぜ」
鍵を開けて中に入ってくる奴らに体が強張る。
肌を刺すような殺気と似た感覚。
人間には出すことのできない人ならざる者の空気。
「何言ってんの?俺たちの好みだって言ってるでしょ」
「うわっ…」
鎖を引っ張られベッドに倒れ込む。
「自分の容姿分かってねぇのな」
3人分の重さがかかるベッドが軋んだ。
「あ、生憎、そうい、うのとは無縁だったからな…」
顔を隠してる為なのか、あまり人は寄ってこない。
友人がいつも俺の知らない奴らと喧嘩腰に言い合いになるのを遠くから見ることが多く、関わりを持つ人としたらその友人と親しい人たちだけだ。
「セコムがいるみたいだし」
「モンペもな」
「⁇」
なんのことか分からずきょとんとした。
「あー、その無防備な顔も可愛い」
「なんにも知らないってのは罪だな」
「無知なのを穢すのが愉しいんでしょ?」
「そりゃ言えてる。堕とすのが醍醐味みたいなもんだしな」
「なん、の、話だよ…っ」
屈するわけにはいかない。
仇と分かった以上、寝首を掻いてでも殺す。
「え?そんなの決まってるでしょ」
「そんなんお前を眷属にすることに決まってんだろ」
「─────ッッ!!」
暴れることができずに睨み返すことしかできない。
こいつらに恐れている。
飼い殺されると、恐怖を感じている。
「か、簡単には、眷属にできない、はずだっ!! 」
「「できるよ」」
「は、ぁ…?」
戸惑って声が上擦る。
「「うわ、今の声エロッ」」
両隣の奴らが声を低くした。
「「吸血鬼が人間を眷属にする方法は、」」
「「所有印をつけた人間に自分の体液を注ぎ込むこと」」
聞いたことがない。
でまかせのような言葉信じない。
「そ、んなの、嘘だっ…!」
「嘘じゃねぇよ」
「本当だよ」
奴らは楽しそうに俺のお腹を撫でた。
そこに、なにかあるかのように。
「で、名前呼べないと不便だしそろそろ教えてもらいたいんだけど」
「お前の名前」
真名は名乗れない。
名乗ったら、奴らの玩具同然になってしまう。
「大丈夫だよ。名前聞いても無理矢理言うこととか聞かせないし。人形みたいなきみを眷属にしても面白くないし」
「そ。呼ぶのに不便なだけだから。嫌がるお前を眷属にした方が面白いし」
口を一文字にして睨み付けた。
絶対に言わないと。
「「ふぅん?」」
ワイシャツの中に翡翠の男の手が入ってきた。
冷たさにびくりと肩が跳ねる。
そっち気を取られていたら太ももを瑠璃色の男に撫で上げられた。
人としての体温は全くない、人外の冷たさだ。
「っ、ぅ…ッ」
「うーん、でもなんか名前微妙に覚えてんだよな…」
「思い出せそうですか?」
「ここら辺まで出てる」
自分の喉の辺を指差す男。
「…と、」
動揺で体が強張りかける。
「と、と………とら、?」
「トラ?」
大丈夫。
悟られてない、それにそれは俺の愛称だ。
「………!…あ、俺思い出したかも」
「えマジで?ノア記憶力いいもんな」
俺に向き合った翡翠の男が目を細めた。
「確か、」
「トラゾー」
びくっと小さく体が固まった。
それを見た奴らが三日月のように口角を上げた。
気付かれた。
バレた。
知られた。
悟られた。
「トラゾー」
「おー、そういや血ぃ吸ったトラの親がそう呼んでたな」
「らっだぁさんはそう呼ぶんですか」
「こっちの方が俺はしっくりくる」
「まぁどうでもいいですけど。トラゾーが呼ばれて悦べばなんでも」
どうしよう。
もう逃げれない。
だったら、
「「させるかよ」」
口の中に仕込んでいた自決用の毒を奪い取られた。
「人間って怖いね。命簡単に捨てれちゃうんだから」
「だったら俺らの餌になれよってな。ま、死んだ人間の血なんてクソ不味ぃけど」
首元にある噛み痕を愛おしそうに撫でてくる奴らに涙が落ちる。
「ゆ、る、して、…俺、を、ここ、から、だし、て…ッ」
叶わないと分かっているのに。
乞うたところで、理解してもらえるわけがないのに。
「「………」」
吸血鬼とは思えない穏やかで優しい笑みを浮かべた奴らは、甘く囁くように答えた。
「「だーめ♡」」
「あ゛ッ♡も、ゆる、ひ、て、っ♡♡せーぇき、ッ♡ぃら、なぃぃ゛♡♡!!」
逃した魚が転がり込んできてくれた。
お陰で探す手間も省けたし。
印をつけることができなかったから、トラゾーのこと探すのにだいぶ苦労してた俺たちへのご褒美かな?
それにこんな俺たち好みになってくれてるなんて思わなかったし。
「要らないじゃないでしょ?まだいっぱい注いであげるからトラゾーはちゃんと全部飲んでよ、ココで♡」
俺らのモノを嫌々言いながら締め付けてるトラの綺麗な緑の目から涙が落ちていく。
見つけた時から変わってない意志の強そうな緑が、こんな簡単に快楽で滲むなんて。
「咥え込んで離さないのトラだろ♡俺らの眷属になったらずっと可愛がって守ってやるからな♡」
「ひぁぁ゛あっ♡♡!!」
俺たちの精液を注がれ膨らむお腹を後ろから撫でる。
らっだぁさんも同じように前から撫でていた。
「こんな気に入った人間最初で最後だわ」
「ですね。俺たち好き嫌い多いし、こんな最高な人間いるって思ってなかったですしね」
ノアの翡翠の目が濃い深紅になる。
多分俺も同じ色になってる。
「ゃ、やっぁぁあ♡!」
奥まで入ってソコを突くと可愛い顔をしてメスイキした。
「眷属っていうより嫁にした方がいいか?」
「そっちの方がしっくりきそうですしね」
何も出ないくらい責められたトラは震えながら俺らを押し返そうとしていた。
「はな、せ、ッ♡ば、かぁ゛っ♡へん゛、たいッ♡あくしゅみ゛ぃ…♡♡!」
荒い息で稚拙な暴言をまだ吐けるトラゾーにぞくりと背筋が震えた。
もっと苛めて啼かせてやりたい。
トラの柔らかいナカで大きくなる自身。
もっと責めて悦ばせてやりたい。
「〜〜゛~~゛~♡゛♡♡ッ!!」
「眷属にすんの勿体無いな」
「同族に堕として俺たちのモノにしましょうか」
「同族にすれば、死なねぇし。血も吸い合えるしな」
「トラゾーに吸血の仕方教えてあげないとですね」
「ヘッタクソだろうなぁ♡」
「上手に吸えないで拗ねるトラゾー可愛いでしょうね♡」
俺たちの間でハートを飛ばしながら啼き喘ぐトラゾーの首元の噛み痕を撫でる。
緑の目には俺らしか映ってなくてハートが浮かんでいる。
まだ微かに血が滲む噛み痕を撫でた。
「「ははッ♡ホント可愛い♡♡」」
「ぃやぁぁあ゛あ♡♡!!」
叫ぶように喘ぐ目の前の可愛い子は堕ちかけてるみたいで、緑の綺麗な目にはグラデーションのように深紅が混じっていた。
ぬくぬま
#喜多音!
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