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高級そうな低いテーブルをはさんで、片側に美咲と麗子、向かい合って麻里と武司がソファに座った。
紅茶を飲みながら、麻里は改めて、この家族の成り立ちを聞かされた。まず麗子が言う。
「もう武司君から聞いていると思うけど、あたしたちはいわゆる同性カップルなの。で、アメリカから取り寄せた精子で人工妊娠して生まれたのが武司君なのね」
「産んだのはあたしの方よ」
美咲が口をはさんだ。
「タケちゃんはあたしのお腹を痛めて産んだ、あたしたち二人の可愛い息子なの」
武司から前もって聞いていたとは言え、微笑しながらあっけらかんと話す二人の「母親」の雰囲気に麻里は気圧されていた。以前から知りたかった事をひとつ、思い切って質問してみる事にする。
「あのう、もし訊いてよければなんですが。その役割分担みたいな事は、どういう理由で決めたんですか? つまり、お二人のどちらが子どもを産むかという事は?」
美咲がやはり、あっけらかんとした口調で言った。
「単に早い者勝ち。あたしの方が先に妊娠したの」
「は、早い者勝ち?」