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阿須は照れながらそっぽを向いた。
彗はその様子を見ていつもの事なので、
情報共有をする。
「で、何かありそうだった?近くに怪しいヤツとか。 」
「いねぇ。ただ、さっき子供らが何かに乗って森の方へ向かっていったやつがいたのを見たって言ってた。だから、多分森の方に逃げたんだろうけど、流石に俺でも追いかけられねぇから、やめた。」
「一応、俺の隊は出したよ。阿須がもう行ってると思ってたけど。その判断だったか。」
「ナイス。追いかけるの何も多分逃げてから時間経ってるからな。隊に探索行かせた方がいい。」
阿須はそう言い、家の屋根から降りた。
何も言わずに歩き出す阿須に彗は驚いた。
「ん?阿須、どこ行くの?」
「蒼達のとこだよ。あの周辺の人にも聞き込み。後、俺は出雲のとこ行ってくる。」
「でも、出雲忙しいって言ってたぞ。」
「一緒に住んでんだから、休み時間ぐらい把握してら。じゃあな。」
そういい一瞬で阿須は見えなくなった。
相変わらず阿須は何を考えてるのか分からない。
「ただいま、出雲。」
「おかえり、阿須。大変なことになってそうだね。」
出雲と阿須は同じ家に住んでいる。
阿須は、頭をかきながらだるそうに出雲に話した。
「和国が攻撃受けたのは久々だ。ちょっと気ぃ抜いてたからまじやべぇよ。」
「だろうね。俺も一応調べてるんだ。多分黄昏だと思う。」
黄昏。正体不明の集団だ。ただ目的だけは把握済みで、黄昏は4つの国を自分のものにし、領域を広げていくのが目的だそうだ。黄昏のメンバーはほとんど自分の国の天王様や代表から追放された者ばかりで、復讐者もいる。そして、黄昏メンバーのリーダーは阿須を求めていることを出雲や教師隊は知っている。阿須本人には言わず、守護をしろという命令だけ出ているので、阿須にはまだ伝えていないようだ。
「黄昏って、あれだろ?追放者集団だよな?確か。どーせ、弱いんだろ。」
ソファにボスッと勢いよく座る阿須に、出雲は真剣な顔をして伝えた。教師として、もちろん偽だけれど、家族として。
「阿須、甘く見るなよ。下手したら死ぬ。監視カメラを見たら、少しだけ映っていたんだ。きっとあれが黄昏。弱いわけないと思う。阿須は確かに強いけど、真剣にやってね。」
出雲は阿須の性格をちゃんと知っている。だからこそ、これは出雲しか言えないことだった。
「はいはい。俺の親じゃねぇんだから、愚痴愚痴言うなよ、うるせぇな。黙って俺の後ろに立ってろ。」
出雲は呆れたようにため息をついた。
「阿須、確かに俺はお前の親じゃないよ。けど、お前の本当の親だったらこんなに言ってくれないだろ?ありがたいと思えよ。命令通りに従う。それでいいんだ。」
「俺の親…、そんなの覚えてねぇよ。俺の実の親なんか。家族はお前と彗だけだ。」
阿須は素直じゃない。ちゃんと出雲と彗のことは家族のような存在だと感じているらしい。
それでも阿須はハッキリ言おうとはしない。
「いいか?阿須。おいかけふだけじゃだめだ。しっかり周りを見て行動しろよ。」
「はいはい。わかりやしたよ。外、また行ってくる。」
阿須はまた外出しようとし、玄関へ向かった。
出雲は慌てたように伝え忘れたことを阿須に伝えた。
「あ、そうだ。阿須。いいか?蒼は守ってやれ。」
「なんで?」
「一族がでかいって言うのと、蒼は金持ちで少し特殊なんだ。黄昏に狙いの対象にはなってる。あいつの能力は魂を埋め込まれてるから、あれが奪われたらあいつは月花とも呼ばれなくなる。ただの下人だ。守ってやって欲しい。蒼もそれを恐れてはいるから。」
阿須は少し、悩み
「ちっ、誰があの女を守るかよ。自分の身は自分で守れっつーの。」
「まぁ、蒼の事好きなんだろ?守ってやらないといい印象持たれないぞ〜。」
阿須はその言葉を聞いて、カー!っと真っ赤になりながら
「う、うるせぇ!!!!!!!」
と大声で叫びながら家を出ていった。
「全く。正直じゃないし、照れ屋だな。俺はお前を信用してるからな。阿須。」
出雲はそう言い、自分がやっていた仕事に戻った。
続