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薄暗い地下室の床に、彼女は横たわっていた。 いや、もう「彼女」と呼べるかどうかも怪しい。
首から下が、ゆっくりと波打っている。
皮膚というより、熟れすぎた内臓の集合体みたいに。
赤黒い筋膜がビクビクと痙攣しながら、ところどころで裂けては
ぷしゃぁ……と薄い血漿を噴き出している。
指先だったはずの部分は、もう完全に溶け落ちて
代わりに、太い血管の束が何本も束ねられて、むき出しの神経みたいに
ピクピク、ピクピクと独立して動いている。
その先端からは、透明に近い粘液が
じゅる……じゅるるる……と糸を引いて垂れ落ち、
床に溜まった赤黒い溜まりに混ざって、
ぐちゅっ、ぐちゅぅ……と小さな泡を立てる。
腹部が大きく膨らんだ瞬間、
内側から何かが強く押し返してきた。
ぱちんっ!
皮膚が一気に裂けて、
中からどろりと溢れ出たのは、
半分固まりかけた脂肪と、
まだ脈打っている腸のループ。
それが床に落ちるや否や、
ぬちゃっ……ぐちゅるるるっ……と
粘っこい音を立てながら広がっていく。
彼女の口――いや、もう口とは呼べない穴からは
絶え間なく、
ごぽっ、ごぽぽっ……と血混じりの泡が湧き上がり、
舌の代わりに蠢いているのは、
細かく分かれた血管の先端だった。
それが震えながら、
ちゅぷ……ちゅぷぅ……と空気を吸い込むたび、
喉の奥から
ぐちゅぐちゅぐちゅぅぅ……!!
という、肉が肉を貪るような音が響く。
最後に、彼女の眼窩から
ぽとっ……と落ちたのは、
もはや眼球ではなく、
ゼリー状に崩れた硝子体と、
まだ微かに収縮を繰り返す虹彩の残骸。
それが床に落ちた瞬間、
ぷちゅっ……と小さな破裂音を立てて
周囲の血溜まりに溶け込んでいった。
……まだ、動いてる。
全部が、全部が、
ぐちゃぐちゃに混ざりながら、
ゆっくり、ゆっくりと
新しい形を探している。