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隣で必死に言葉を紡ぐ華の横顔を、律はじっと見つめていた。
――財閥のお嬢様。
最初はそうとしか思えなかった。
けれど今、毅然と父に向かって自分を庇う華の姿は、ただの「令嬢」ではなかった。
(……桜坂さん、こんなに強い表情をするんだ)
胸の奥が不意に熱くなる。
気づかないふりをしてきた感情が、ゆっくりと顔を出そうとしていた。
泰三は黙したまま二人を見つめていたが、やがてわずかに頷いた。
「……ふむ。少しは変わったようだな、華」
そう言い残し、ゆっくりと踵を返した。