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死にたい子は死ねない子

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死にたい子は死ねない子

12 - 学校生活#4

♥

16

2023年05月07日

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 新しい1週間が始まる。この前の1週間は色々ありすぎた。中学校生活が始まり、友達ができ、ロウデフが他界した。そして新しい出会いもあった。この1週間は何があるのかと、不安と恐怖で胸をいっぱいにして登校した。

「おはよ!恭子ちゃん!」

「おはよ、香、」

 香ちゃんの顔を見ると無意識に不安が消え嬉しさが身体中を満たす。でも恐怖は消えず、もしかしたら香ちゃんとの別れが来るのかもしれないと言う感覚に変わる。

「土日は何してたの?」

「新しい使用人さんが来たから、案内したり仕事を見たりしてたわ。」

「へー、、ってちょっと待って!?使用人!!!執事ってこと?めっちゃお金持ちじゃん!」

「女性だからメイドかな?」

「また遊びに行ってもいい?」

「もちろん。大歓迎よ。」

 教室に着いた途端、香ちゃんはフラフラと早足でトイレに向かう。 まだ1週間。この先が思いやられる。やる事は山ほどあるが、あまり人との関わりを持っていない分小学校より息苦しくない。

「大丈夫だった?」

 北海君の声、それに引っ張られるように振り向く。

「うん、香ちゃんが家まで来てくれたんだ。この前はごめんね、そっちこそ大丈夫だった?」「俺は大丈夫だ!無事ならそれで良かった。」

 そう言って直ぐ友達のところに向かう。最後少し顔をこわばらせたのは多分吐き気でもしたのだろう。

午前授業が終わり香と弁当を食べ昼休みとなった。

「山梨さん!ちょっといい?」

初めて聞く声だ、呼ばれた方を向くとそこには男の子が立っていた。

「ごめんね、誰だったかしら?」

「ひっでぇ、|秋田《あきた》!同じ図書委員会の!」

そうだった。すっかり忘れていたが、図書委員になったのだった。

「それで?」

「今日俺たち当番だから、図書室で貸し借りとかのメモしないといけないんだ。」

「分かったわ。行きましょ。」

「あっ、ああ、」

 そのまま2人とも無言で図書室に向かう。窓の外から聞こえてくる、グラウンドで遊んでいる他のクラスの人の声、近いようで遠くにある。なぜか少し、懐かしく思えた。

「そういや、なんでお前は図書委員になったんだ?」

「別に、なんとなくよ。」

「へー。」

「これ借りてもいいですか?」

「おっけ、クラスと名前教えて。」

「ーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「はーい」

 ん?あれ?なんだろうこの違和感は。なぜか少し変な空気だ。不思議と想いが昂る。気味が悪い。

「よーし、こんな感じで仕事するんだ、分かったな。」

「ええ、うん、分かった。大丈夫よ」

「ははっ、本当に大丈夫か?」

 謎の違和感に包まれ、午後の授業は全く頭に入らなかった。

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