「アイビー!!今日は固糖持ってきたよ!」
「え!?ほんと!?あの貴重な菓子!?すごい!!」
「へへ……サトウキビを集めに集めて1ヶ月……僕の努力は報われた……」
「!!!おいしい!!!スカビオサありがとう!大好き!」
「どういたしまして!僕にもちょうだい」
あの後から僕とアイビーは菓子を食べながら村脱走計画を練っている。
まぁ、所詮子供のお遊び、というのは2人とも承知済みだ。
そう、これは鬼ごっこと同じだ。
だが、捕まれば罰がある。
捕まらなければ寿命が来るまで2人で暮らす、捕まってしまえば……2人で死ぬ。
なので脱走の際には短刀を持ち寄る。
「……僕、アイビーの事殺せるかな……」
「私もスカビオサ殺せるか不安になってきた……」
2人とも愛した人に殺されたいという要望があり、殺し合う、という形になったが、やはり愛したものを殺すというのは残酷で。
「こんな村に生まれなければよかったなぁ……」
とつくづく思う。
「……そう?私はあまりそう思わないけれど」
「何故?」
「だって、この村に生まれなければスカビオサに出会うことも、スカビオサと脱走ごっこをすることも無かったでしょ?そんなのつまらないもの」
あぁ、だから彼女はずるいんだ。
時々見せる、小悪魔のようなイタズラな笑顔、ふわりと雲のような笑顔、そして餌を求める獣のような笑顔……というよりは顔つき。
彼女が見せる顔は時によって違うから、僕を飽きさせない。
「多分、僕がアイビーに飽きることは無いんだろうなぁ……」
「飽きたら首絞めちゃうかも」
「怖いこと言わないでよ」
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