研修当日
菜乃佳 「おはよう」
由梨 「あ、おはよう!」
集合時間が近づくにつれて、
クラスのみんなも集まってくる。
乃愛 「同じクラスだよね? LINE交換しない?」
菜乃佳 「うん、いいよっ」
乃愛ちゃんと私は席が少し離れていて
あまり話す機会がなかったため、
仲良くなってみたいと思っていた。
愛海 「私もいい?」
乃愛ちゃんの隣にいた愛海(まなみ)ちゃん
ともLINEを交換した。
乃愛 「あ、早瀬くん」
愛海 「え、どこ?どこ?」
乃愛 「あのコンビニのところ」
愛海 「ほんとだ、さすが乃愛」
早瀬は、海斗くんの名字だ。
─ もしかして、乃愛ちゃんは早瀬くんの
ことが……
田中先生 「えー、今日は天気もよくて、 無事に研修を行うことができそうです。
目的地に着いたら、必ず班で写真を撮るのを忘れないように。
何かあったら、すぐに担任の先生か、近くの先生に言ってください」
先生から説明を受け、班活動が始まった。
私たちは、地図を見ながら目的地へと
向かって行く。
次の集合時間は、12:30。
あと3時間は班で自由に行動することが
できる。
美羽 「ここって右であってる?」
莉久 「どれ?」
莉久は美羽の手元にある地図を覗き込む。
莉久 「うん、右で合ってる」
私たちは、順調に道を進んで行く。
そして、一本道を抜けて大通りに出た。
桜 「ねぇ、見て!海!」
莉久 「うわ、ほんとだ!すご」
右を向くと、太陽に照らされてきらきらと
光っている海が見えた。
菜乃佳 「綺麗〜」
海斗 「なぁ、あそこに先生たちいない?」
美羽 「ほんとだ!集合場所あそこかな?」
私たちは、自転車に乗って移動し、
見晴らしの良い場所に辿り着いた。
美羽 「いくよー。はい、ちーず」
《パシャ》
それから、あっという間に時間は過ぎ、
私たちは集合場所に向かう。
田中先生 「班のリーダー、道具を取りに来てー」
この時間は、ボランティアとして
砂浜のゴミ拾いをすることになっている。
桜 「持ってきたよー」
由梨 「あ、ありがとう」
桜 「男子ー、はいこれ」
美羽 「ねぇ聞いて…!莉久くんと連絡先交換できた!」
菜乃佳 「え!」
由梨 「ほんと?!」
桜 「よかったじゃん!」
美羽が内緒話をするように、
私たちだけに聞こえる声で教えてくれた。
恋バナが盛り上がり、わいわい話を
しながらゴミ拾いをする。
先生 「そろそろ片付けするぞー」
14:36
由梨 「結構回れたね」
美羽 「ねっ」
私たちは、最後の目的地に辿り着いた。
海斗 「あ、優馬」
優馬 「おー、海斗!」
優馬は 隣のクラスで、海斗の 友達だ。
優馬 「あ、写真撮ろうか?」
桜 「どうする?」
せっかくなので撮ってもらうことになり、
美羽が優馬にスマホを渡す。
優馬 「はい、ちーず」
《パシャ》
優馬たちと別れて、 集合場所に戻る。
由梨 「楽しかったね」
美羽 「ね!」
菜乃佳 「あ、乃愛ちゃん」
私に気付いた乃愛ちゃんが、手を振る。
私も手を振り返す。
愛海 「それ買ったの?」
乃愛 「ねぇ、これ早瀬くんが奢ってくれた」
愛海 「え!早瀬くんが?」
乃愛 「うんっ」
愛海 「よかったじゃん!え、どういう流れで?」
愛海ちゃんが興味津々に質問し、
乃愛ちゃんが嬉しそうに笑って話す。
─ いつか、私も恋をする日が来るのかな
この時はまだ知らなかった。
これからのこと。
そして、彼のことを…