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番外編53『貴族からの無茶振りで舞台に!?』前編
ある日のこと――。
屋敷にまたオネェの舞台のオーナーが尋ねてきた。
『なるほど…。舞台の主役ですか。』
カチャン…。飲んでいた紅茶をお皿に置く。
『そうなのよ、貴族に無茶ぶりさせられちゃってね。その貴族ほんと嫌な奴なのよ。悪魔執事の主に無茶振りをして舞台に出演させろ、いくら悪魔執事の主だからってなんでもできるわけがないからなって。』
『へぇ…?私の主様にそんなこと言うなんて…その貴族の人許せませんね。』
『ルカス、落ち着きなさい。』
『ふふ、でもお姉ちゃん喧嘩売られたら買うもんね?昔からそうだし。』
『まぁそうね…。それで、どんな舞台なんですか?』
『えぇ。あ、まず舞台は私がプロデュースしたやつだから安心してね。』
私は台本を渡す。
『シンデレラ』
『シンデレラ…?』
『えぇ。このシンデレラ役を貴方に頼みたいって貴族が言うのよ。まぁ、麻里衣ちゃんなら大丈夫だと思うけど…。』
『……。』
『なぁ、ベリアン、主様って今学生だったよな?一応仕事で探偵だけど、演劇なんてできるのか?』
『いえ、主様からそのような話は聞いてないですね…。』
『でも、剣術も護身術もできる主様だしもしかしたらできるかもよ?』
『引き受けてくれるかしら…?』
『…貴族からの頼まれ事なら…拒否権などないと存じ上げておりますわ。分かりました。お受けします。』
私はニコッと微笑む。
『ありがとう!麻里衣ちゃん!明日から早速お稽古だから、明日早速劇場で待ってるわ!』
オーナーは嬉しそうに去っていく。
『主様、よろしかったのですか?お嫌なら断っても…。』
『ふふ、大丈夫よ、ベリアン。』
『うん、だってお姉ちゃん、高校で演劇部の部長だもん。』
『えぇ!?』執事一同
『は、初耳ですよ…?』
『あら、言ってなかったかしら?部長とは言ってもそんな大したことじゃ……』
『またまたお姉ちゃん謙遜しちゃって。お姉ちゃんが主役やった劇は全部成功してるんだからそれに入賞したこともあるし。』
『…ふふ、演劇部の私を本気にさせたこと……その貴族に思い知らさないとね。ふふ…』
『あーあ。お姉ちゃんに火がついちゃったみたいだね…。演劇部魂ってやつが…。』
『フルーレ、本番までに用意して欲しいものがあるんだけど…』
『衣装ですね?お任せ下さい!』
『ありがとう。じゃあ明日に備えてもう寝るわね。』
私は台本を読みながら階段を上る。
『ぶつぶつ…。ぼそぼそ。』
『主様の舞台が見れるなんて楽しみだね。ベリアン。』
『えぇ。とても。』
次の日――。
『待ってたわよ!麻里衣ちゃん、来てくれてありがとう!あら、執事のみんなも来たのね?』
『僕も主様の劇見たいですから!』
『ふふ、ムーちゃんも来てくれたのね、早速入って入って!』
『初めまして、この度主役を務める麻里衣です。』
私は役者の方々にペコッとお辞儀をする。
『初めまして、麻里衣さん。貴方のことは噂で聞いています。数々の事件を解決してきた探偵だと…。』
『いえいえ、そんな大したものでは…。』
『そんなことありません。ここにいる者、私含めて貴方のことを尊敬しているのですよ。』
『麻里衣さん、災難でしたね…貴族に無茶ぶりさせられるなんて…。』
『いえ、慣れっこですわ。』
『ご挨拶が遅れました。私は意地悪な姉役を務めるナンシーです。同じくこちらが…。』
『ナツです。よろしくお願いします。』
『そして彼が王子様役の……。』
『ヨ、ヨアンです。よろしくお願いします。』
『みなさん、よろしくお願いします。』
『お、俺麻里衣さんとずっとお会いしたかったんです。』
『ふふ、嬉しいです。今回はよろしくお願いしますね。』
ニコッ。
『きゅん!➼♡』
うみ
20,479
『あー、あいつ堕ちたな。』
『お姉ちゃん美人な上に可愛いから…。』
『では、顔合わせも済んだことだし、早速稽古を始めるわよ。』
『お姉ちゃん、頑張ってね!』
『えぇ。ありがとう。』
百合菜達は観客席の方へ向かう。
演劇練習中――
『では、麻里衣ちゃん、準備はいい?』
『はい。』
私は目を閉じる。
『今日もこの広いお屋敷のお掃除……はぁ。
私も…。今夜開かれる舞踏会に行きたいな…。でも、私には綺麗なドレスも、星のように輝く宝石も持ってない…。王子様…貴方に一目でもお会いしたい――。』
(お姉ちゃん凄い…役になりきってる…。)
『流石ね、麻里衣ちゃん。』
『シンデレラ!』
『!!お、お姉様…。』
『貴方が舞踏会に行けるとでも思ってるの?その見窄らしい服で王子様に会おうだなんて。』
『ほら、まだ掃除が残ってるわよ。今日1日あなたは家の掃除よ。いい?』
『はい、お姉様…。』
語り手『シンデレラは毎日のように義姉達に虐められていました。母親も亡くなり、父親も病に倒れ、亡くなった。そんな彼女の唯一の願いは舞踏会に行って…王子様に出会うことだけ――。』
『今頃…お姉様達は舞踏会に…。私にも綺麗なドレスがあったら…。』
『その願い、私が叶えてあげるわ。シンデレラ。』
『!貴方は……?』
『心優しく綺麗な女の子の味方の魔法使いよ。舞踏会に行きたいのね?』
『は、はい。』
『ではあなたに相応しいドレスを用意してあげる。ビビデバビデブー!』
すると煌びやかで綺麗なドレスが現れた。
『これが、私…?』
『とても綺麗よ。シンデレラ。さぁ、ガラスの靴をお履き、あなたの運命の人が待ってるわ。でも、気を付けてね。0時の鐘が3回鳴る前にお城からは出るんだよ。魔法がとけてしまうからね。』
『わかったわ!ありがとう!魔法使いのおばあさん!』
語り手『こうして、馬車に乗り、シンデレラは舞踏会に向かうことに。』
『今夜は王子様の婚約者を決める大切な舞踏会よ。あぁ、早く会いたいわ……。』
『あれじゃない?お姉様!』
『なんてかっこいいのかしら…。』
『今夜はお集まり頂き、ありがとうございます。心行くまで舞踏会をお楽しみ下さい。』
『お姉様、ダンスに誘いに行きましょうよ!』
『えぇ。そうね。あ、こっちに来るわよ!』
コツコツ……。
『王子様――。』
王子様は私たちを通り過ぎて後ろにいる娘に声をかける。
『なんて美しい…私と踊っていただけますか?』
『はい、王子様。』
私は王子様の手を取る。
『カット!一旦休憩よ。流石だわ、麻里衣ちゃん。台本は昨日渡したばかりなのに…』
『職業柄覚えはいい方なんです。』
『これなら本番もバッチリね。少し休憩にしましょう。』
『はい。』
『お姉ちゃん凄いよ!本当のお姫様みたいだった。』
『ふふ、ありがとう百合菜。これなら本番も大丈夫そうね。』
『可愛かったぞ、主様。こりゃドレス着た主様みたら観客みんな惚れちまうな。』
『そんな事ないわよ…ありがとうハナマル。』
『でもお気をつけください。この舞台を依頼した貴族にどんなことをされるか…』
『ふふ、心配し過ぎよ。』
『そういう訳にもいきません。何かあったらすぐ言ってくださいね。』
『ありがとう。ベリアン。』
そして、毎日本番に向けて稽古は続く。
だが、成功することをよく思わない貴族がなにやら裏で策略を企てているらしい。
『くそ…成功されたらわしの計画が台無しだ…。おい、お前。劇場の舞台のセットを細工しろ。 事故に見せかけて大怪我させるようにな。絶対に成功させるな。』
『かしこまりました。』
『これで悪魔執事の主も終わりよ……くっくっく。』
月日は経ち、本番まで残り1日――
今日はリハーサルだ。
『ほらほら、恥ずかしがらずに出てきなさいよ。麻里衣ちゃん。』
『っ…。』
私はフルーレが作ってくれたドレスを着て舞台に上がる。
『……///』
『お姉ちゃん凄く可愛い!』
『本当に綺麗だよ、主様。』
『あ、ありがとう… 』
『じゃあ早速リハーサル行くわよ!』
『私と踊っていただけますか?』
『えぇ。もちろんです。』
王子様の手を取り、踊り出す。
『お付き合い頂きありがとう。貴方のお名前は?』
『私は――。』
と、その時――。0時の鐘が鳴る。
『あ……っ。』
(いけない、0時の鐘が3回鳴り終わる前にお城から出ないと…。)
『申し訳ございません、王子様。そろそろ行かなくては――。』
『あ、お待ちください…!』
私は階段を駆け下りる。
『あっ!』
ガラスの靴の片方を落としてしまう。
『っ…!』
王子様の声が聞こえるのを無視し、馬車に乗り込む。
『あ……っ。行ってしまった…。』
私はガラスの靴を拾う。
『……。』
語り手『王子様はその娘を探すために…ガラスの靴に合う娘を探し始めた。』
『一夜の夢…そう、あれは夢。私のようなものが王子様に相応しい訳が…。』
コンコンッ。
『はい。』
『ここが最後の家です。王子様。』
『あぁ。この屋敷の娘は貴方だけか?』
『い、いえ、えっと…』
『王子様!この者は使いの者です。なにか御用ですか?』
『このガラスの靴に合う娘を探している。履いてみてくれないか。』
『えぇもちろん!』
語り手『そのガラスの靴に姉2人は足を突っ込む。だけど、合わなかった。』
『王子、やっぱりいないです。諦めた方が…』
『いいや、私は諦めない。このガラスの靴が合った者を私は妻に迎える。そこの娘。』
『っ…はい。』
『履いてみてくれないか?』
『…かしこまりました。』
語り手『シンデレラがそのガラスの靴を履いた。すると…。シンデレラを魔法の光が包み込み…美しいドレスを身に纏ったのでした。』
『やはり、貴方でしたか。お名前を聞いても?』
『シンデレラ…です。王子様。』
『やっと見つけた…。私の妻になってくれないか。』
『私でよろしいのですか?』
『あぁ。』
『喜んで…王子様。』
私はその手を取る。
語り手『こうして……王子様とシンデレラは末永く幸せに暮らしました。』
『カット!最高よ、みんな!これで明日も大丈夫ね!じゃあ今日は解散よ。明日に向けてしっかり休むようにね。』
『はい!』役者一同
『お疲れ様です、麻里衣さん。明日は最高の舞台にしましょうね。』
『はい、頑張りましょう。』
次の日――。
舞台本番
『さぁ、幕を開けるわよ。執事ちゃん達と妹の百合菜ちゃん達は最前列にいるわ。』
『ありがとうございます。』
『頑張ってね、麻里衣ちゃん。』
『はい、お任せ下さい。』
舞台の幕が開く――。
後編に続く!
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