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─角名視点─
宮兄弟。
これは稲荷崎の人間なら、誰でも知っている有名な双子だ。
でも、みんなは知らない双子の秘密を、俺は知っている。
それは双子の片方宮侑が、宮治 のことを恋愛的な意味で好きだってこと。
そして、最近その侑に恋人ができたらしい。
それは治ではない、別の人だった。
───
事の発端は、部活の休憩中。
いつもは休憩時間でもサーブ練習をしている侑が、一目散にバスケ部の先輩の元へ行き、それは楽しそうに話しているのだ。
侑がバレー部以外の人間で、あんなに懐いているのは見たことがなかった。正直その距離にも驚いた。
明らかにいつもの侑ではなかったので、気になって様子を見ることにした。
先輩は、侑の頬で遊んでみたり、金髪をくるくるとねじってみたり。
侑は侑で、頬を赤くするばかり。
傍から見たら、それはまるで恋人同士だ。
ふと、隣の銀髪に目を向ける。
(..えー、)
まさに鬼の形相。眉間に皺を寄せて、めちゃくちゃ睨んでる。
(え、そういうかんじ?)
治は侑のことは、なんとも思っていなかったはず。
前から「独占欲強いなー」とは思っていたけど、ここまでのことは無かった。
そもそも、侑は治にべったりで、侑に恋人ができること自体、初のことだけど。
(てことは、侑に恋人ができて、やっと気づいたとか?)
治も意外と鈍いところがあるから、有り得ない話ではない。
治なら侑のことをなんでも知っているし、あの人との関係も知っているかもしれない。
もっと不機嫌になる覚悟で、恐る恐る話しかけてみる。
「え、と、侑ってさ、付き合ってる人いたっけ?」
「..知らん」
(いや、絶対嘘じゃん…)
本人に聞くのが手っ取り早いと思い、 ちょうど戻ってきた侑を呼び止める。
すると、耳まで真っ赤にさせて、もじもじしながら侑は答えた。
「彼氏、できたんや」
「うん、まあでしょうね」
「え、もしかしてバレとった?」
バレバレだわ。あんなの見せられたら、お前の鈍感な片割れでも気づいてたよ。
「あのね侑。ああいう事は、2人きりの時にやった方がいいよ。ほら見て、お前の片割れ、めっちゃキレてる。」
「えぇ、やってぇ..あっちがやってくるんやもん。てかなんでサムがキレんねん。」
「てかさ、侑って治のこと好きだったよね?何があったのさ。」
「あー、..っと..」
その時、ちょうど休憩時間の終了を知らせるタイマーが鳴った。
「今日2人で帰ろうよ。その時聞かせて。」
「おん」
─────
「で、何があったの?」
「えっとな、_」
「はぁ?セフレって..俺知らなかったんだけど」
「あれ、言っとらんかったっけ?」
「言われてないよ。..治とのセフレ関係が辛くなってやめたんでしょ?じゃあ、正直に好きだって言えばいいじゃん」
「それが言えたらずっと前に言っとるし。出来んから困ってんねん」
「なんで?治も侑のことそういう目で見てるでしょ。普通兄弟に勃たないし」
「…確かにそやんな..。でも、もし拒絶されたら絶対立ち直れん」
「ていうかさ、なんで他の人と付き合ってんの。もしかしてその人と治を重ねてるんじゃないよね?」
「…なんでわかんねん..」
「お前..ほんとバカ」
「関西人にバカはご法度やで。…でも、その人のこともちょっとは好きやねん 」
「ふーん。このまま治を諦めちゃうの?」
「諦めた訳ちゃうけど、今は先輩で満足やねん。…俺は治じゃなきゃあかんし、満たされんって分かっとるのにな」
「そっか」
恋愛って難しいな。ぽつりと小さな声で呟く侑。今までみたなかでここまで元気がないのは初めてだ。
「今度2人で話した方がいいよ」
侑からの返事はなかった。それは元々そうしようと思っていたからだと思う。
それからは、たわいもない話で謎に盛り上がり、さっきまでの重い空気も忘れるくらい騒がしかった。
別れ際、少し不安そうな顔をして見せた侑に大丈夫だよ、と背中を押してやる。すると侑はそれに答えるように元気な返事を返してくれた。
侑はやっぱり元気な笑顔が似合う。俺はお前らが幸せなら何でもいいから、はやく仲直りしてきてよ。
────
ずっとかけてなくてすいません😭
このお話はあと1、2話で完結予定なので、最後まで付き合ってもらえると嬉しいです✨
コメント
8件
え、まって見るの遅れた!ごめん…😭 もう少しで完結しちゃうのか…それまで存分にこの話を見なきゃ🥰角名はやっぱ大役だなぁ、いい仕事しかしない✨続き楽しみにしてるね🫶💕
めっちゃ尊すぎ…🥰治嫉妬してるのほんと好き、、角名がいい仕事してる!この話一番好きです…❣️続き待ってますー😊
あと1、2話で完結なん!?驚きや…終わって欲しくないのと続きが気になるが混ざっててごちゃ混ぜ(?) 角名ぁぁぁ頑張れ(??)やばあああいモブ侑(?)で嫉妬?してる治が好きすぎる。💕続き楽しみー!!😊😊