女の子が、大好きだった。
温かくて、ふんわり柔らかくて、甘い匂いがして、抱き締めるととても気持ちが良い。鈴のなるような高い声も、耳に心地が良かった。
どんな女の子が相手でも、俺はその子のもつ女の子特有の部分を愛したし、どの子も寸分違わず俺を気持ちよくしてくれる対象だった。
だから、自分が、柔らかくもないあいつの身体と繋がった時はひどくショックを受けたものだった。
更に俺を驚かせたのは、他でもなく、その行為がもたらした快感だ。
あいつが言うところには、こういうのにも向き不向きっていうのがあるらしい。
だったら俺には向いていたということなのだろうか。もちろん、あいつのテクニックだとか、俺たちの相性もあるんだろうけれど。
そういうわけで、俺はバカになってしまった。俺たちはもうほとんど猿だった。
ほんの少しの時間でも、合間を見つけては2人、獣のように重なり合った。呼吸を乱して、無我夢中で、だけど声は抑えて、うっかりして背中に爪痕なんか残さないよう気を付けながら。
薄暗い部屋の隅で、ぴったりくっついて、ぎゅっと指を絡めると、言葉にはできないような不思議な感覚に陥った。胸がいっぱいで、息の仕方を忘れそうだった。キスをすると、頭の中がどろどろになって、何も考えられなかった。涙が出そうなくらい、何もかもが気持ち良かった。
***
どう見ても、彼は女の子が好きなんだろうと思った。そもそも俺だって男が特別に好きだってわけじゃない。
けれど、彼のことが好きになった。
メンバーの中では比較的小柄な方だったり、透き通るような色白の肌が眩しかったりしても、彼は、もちろんしっかり紛うことなく男だった。
好きとは言わなかった。言えなかった。
それでも、関係を持ちかけたら意外にもすんなりと彼は俺を受け入れた。
それからはもうなし崩しで、俺たちはただひたすら没頭していた。2人で高みを目指していく、その行為に。
彼は驚くほど俺の一挙手一投足に感じてくれて、そんな姿を見るだけで俺の熱はますます上がった。下半身から脳みそへと、ダイレクトに響いてくる快楽に俺たちは溺れていた。息を継ぐ間もないくらいたくさん口付けを交わし合った。唇やその他触れたところ全部が溶けて混ざるんじゃないかと思うくらいに。
「お前とするの、何でこんなに気持ちいいんだろ?」
と、彼はたまに、突然びっくりするようなことを言う。
「えっ、何、その顔」
「…いや」
「俺、不思議なんだよな。今まで、女の子相手だって、こんなに感じたことないから」
「そりゃあ…」
そろそろ気が付いてくれると良いと思ってたけど、彼はかなり鈍感らしいから。
「俺のことが、好きだからじゃない?」
はっきりと言ってやる。
もちろん、彼がそういう体質だったとか、俺たちのそこの相性がすこぶる良いんだってこととか、お互いの性欲の度合いが同じこととか、理由を挙げたらキリがないけれど。
一番はやっぱり、そういうことなんじゃないのだろうか。
「しょっぴーが俺のことを好きで、俺も、しょっぴーのことが好きだから、気持ちよくなれるんじゃないのかな」
「…なるほど」
そんなにあっさり納得するんだ。何だか笑える。
顔を見合わせて、声を上げて笑いながら、俺たちはまたシーツの波に沈んだ。
そういうことで、いいよね?
ラブイズシンプルウィズユー
コメント
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骨太ぉ〜😆たいくかいけいみたいな🖤💙新味👅