テラーノベル
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翌朝、学校が休みの娘を叩き起し、九時過ぎからゴミ袋を抱えて片っ端から全てのオモチャや文房具を引っ張り出して、ひとつひとつ霊視した。
しかも六時間ぶっ通しで。正直後半は疲労困憊で吐くかと思った。
まずは部屋の入口に無造作にゴミ山のような置かれ方をした、よく使う文房具やシール、スクイーズの選別を始めた。
霊が溜まるのは古びた廃墟ではなく、使われていても掃除が行き届いていない汚部屋が圧倒的に多い。
断捨離は「これからも使う予定があるか」が一番大事である。
「まだ使えるから」と思う物には「持っていて気分が上がるか、もし新しい物を買うとなった時に新しいのを諦めてでも残したいか」と自問自答して劣化や汚れの確認を行う。
私がいつもやっている断捨離の仕方を教え、実践してもらった。
娘が今後中学生になって新しい友達や彼氏なんかを家に招いた時に、部屋にあっても恥ずかしくない物を置きなさいと伝えると、結構な量の不用品が出てきた。
入口付近の収納が終わると、これまた出すのも大変なくらいパンパンに収納されていたベッド下のオモチャ箱に取り掛かる。
実は、昨夜からこのベッド下のオモチャ箱から強い視線を感じていた。
三つあるうち、ずっと一つのオモチャ箱が気になっていた私はそれとなく娘に「この三つの中で怪しいのどれだと思う?」と訊いた。
娘は真ん中の箱を指差した。
「……一番気持ち悪いのは、真ん中の箱」
「正解。ってことは、アンタもしかして何か怪しいもん詰め込んでたの?」
ジロリと睨む。娘がバツ悪そうに視線を逸らした。
右の箱から順番に手を付けて、真ん中の箱を目の前に置くと、明らかに娘が怖がる反応をした。
「え、無理無理、なんか絶対ここにあるじゃん、怖い」
「……怖いと思ってたもんを放置してたってこと?」
「……だって貰い物だし、捨てたら呪われそうで……」
口篭る娘を睨みながら、黙って箱の中に手を突っ込んだ。
手探りでおかしな気配を探す。何個かオモチャを避けたらすぐにそれが手に触れた。
最初に感じたのは激しい怒り。私へというより、娘を真っ直ぐ睨んでいるような強い視線。
それを握って引きずり出すと、何年も前に娘が可愛がってよく使っていた小さめの人形が出てきた。
ひと目で分かる、明らかにあの下駄の次にヤバいやつだ。
でもこれこそ私の叔母が娘に買ってくれた人形で、着せ替えなんかもできる。目がかなり大きく小顔で、手足の関節も動くタイプの人形だ。
最初に貰った時、こんな変な気配は入っていなかったはずだ。
もしかしたら、後から宿ったのかもしれない。
「これ最後に遊んだのはいつ?」と訊けば、バツ悪そうな顔で娘は言った。
「……あのね、最初買って貰って遊んでた時は大丈夫だったんだ。
#オムニバス
雪
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(☆▽☆)
238
でも何回かおままごとして遊んでるうちに、なんかいつもずっと人形から視線を感じるなって思って、急に怖くなって。
それからずっと、このオモチャ箱にしまってベッドの下に隠してた……」
「そんなことだろうと思った。どうすんの?この人形怒ってるよ」
鷲掴みにしている人形からは「暗い所に何年も適当に放置されたことが非常に不愉快」という感情が伝わってきている。
「取っておくならせめて、陽の当たる所に飾っておかないとダメだよ。こういう人形はすぐ宿るから。しかも関節動くし……」
正直捨てる捨てないは娘の意志を尊重したいので、確認の為にと娘に手渡した。
その瞬間、中に宿っていた爪の長い何かが人形から飛び出し、娘の首に向かって手を伸ばした。
咄嗟に、霊力を込めてフルパワーで叩き潰してしまった。しかし、娘の手にそれは触れたらしい。
娘の指から突然血が出てきた。見るとパックリ皮膚が割れている。そこからの娘はパニックだった。
空っぽになった人形を放り投げ、悲鳴を上げて部屋から一目散に逃げてリビングに避難した。
力の加減を間違えて消してしまったので、もう中身はいない。
「……捨てていいんだね?」と再度確認すると「絶対要らない!!ごめんだけど捨てて!!」と叫び返された。
……物を大事にしない娘も悪いから、指の怪我は正直自業自得だと思う。
その後も娘を呼び戻して断捨離を再開し、ひたすら細かいオモチャの仕分け作業をした。
気にする程度でもないような弱い霊魂が宿った物も全て告げて処分し、再度必要な物の確認も行った。
ここまで大掛かりな娘の部屋の断捨離は初めてだった。
コメント
1件
わあ、面白かった…!霊感断捨離、めっちゃリアルでゾクゾクしたよ。特に人形から霊が飛び出して娘さんの首狙うとこ、一瞬で鳥肌立った😳 娘さんが「捨てたら呪われそう」って放置してたのもわかるなあ…でも最後はちゃんと片付いてホッとした。雪さん、ホラーと日常の塩梅が絶妙で、めっちゃ引き込まれた!続きも楽しみにしてるね🌙