テラーノベル
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暗黒の城、最深部。
玉座の間よりもさらに奥。
光も、風も、音すら拒絶する空間。
そこに――
**“黒幕”**は、初めて姿を現した。
長い外套。
顔は半分、仮面で覆われている。
だが、その声だけは異様なほど澄んでいた。
「……なるほど」
低く、よく通る声。
「闇堕ちした者たちを、
“対話”で取り戻すとは」
闇から、拍手の音が響く。
「実に……声優らしい」
20人の声優たちが、身構える。
瑠璃子は一歩前に出た。
「……あなたが、すべての元凶?」
黒幕は、ゆっくりと仮面に手をかける。
「そうだ」
仮面が外れる。
そこにあったのは――
かつて、声を持っていた者の顔だった。
「私の名は――
《サイレン=ノクス》」
その名を聞いた瞬間、
土岐隼一が息を呑む。
「……その名……
“声を失った存在”の古文献に……」
サイレン=ノクスは、薄く笑った。
「よく知っているな、博士」
⸻
■ 黒幕の正体
サイレン=ノクスは、
かつて“声で生きる世界”に選ばれなかった存在だった。
才能があった。
想いもあった。
だが――
「私の声は、誰にも届かなかった」
「評価されなかった」
「忘れられた」
拳を、強く握りしめる。
「だから、悟ったのだ」
「声など……希望ではない」
「声は、持つ者だけを救い、
持たない者を……必ず切り捨てる」
⸻
■ 黒幕の目的
サイレン=ノクスは、玉座から立ち上がる。
「私は、この世界を――
沈黙の世界にする」
「声を、奪う」
「記憶を、奪う」
「感情を、奪う」
「そうすれば……
誰も、傷つかない」
闇が、空間全体を覆う。
「お前たちは、異物だ」
「声を使い、笑い、繋がる存在」
「だから私は――
お前たちを試した」
闇堕ち。
洗脳。
絶望。
「だが……」
黒幕は、瑠璃子を真っ直ぐに見る。
「それでも、立ち上がった」
「勇者・野口瑠璃子」
瑠璃子は、怯まなかった。
「……あなたは、間違ってる」
はっきりと、言う。
「声は、確かに人を傷つける」
「でも……」
一歌、ともり、みのり、
仲間たちが、背後に並ぶ。
「声があったから、
私たちは――取り戻せた」
「笑えた」
「生きたいって、思えた」
サイレン=ノクスの瞳が、わずかに揺れる。
「……綺麗事だ」
「だが……面白い」
外套が、闇に溶ける。
「最終実験を始めよう」
「声を持つ者20人」
「そして――
沈黙を選ぶ世界」
「どちらが、正しいか」
闇が、爆発的に広がる。
「次が……最後だ」
姿が、消える。
⸻
沈黙。
誰かが、呟く。
「……やっと……敵の顔が見えた」
瑠璃子は、剣を握りしめる。
「……行こう」
「声を……否定された世界に」
「私たちは――
声で、終わらせる」
これは、
最終決戦の宣言。
黒幕の正体、完全公開。
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