TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた

一覧ページ

「スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた」のメインビジュアル

スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた

11 - 第11話 最速の絶望行と、門前の番人

♥

24

2026年01月21日

シェアするシェアする
報告する

「目を開けてろ! 里が見えるぜ!」

魔理沙の怒鳴り声に、俺は涙を拭って下界を覗き込んだ。 一瞬だけ霧の切れ間から見えた人里は、活気を失い、どんよりとした赤茶色の闇に沈んでいた。昨日まで俺に材木や和紙を売ってくれた人たちが、あの霧の中で怯えているのかと思うと、胸の奥がギュッとなる。

「……里が、あんなに真っ赤に……」 「感傷に浸ってる暇はないわよ! 次はあれを見なさい!」

霊夢が指差す先。湖のほとりに、霧を吸い寄せるかのようにそびえ立つ、巨大な紅い洋館が見えてきた。 あれが異変の元凶、紅魔館。

「う、浮いてる……!? じゃなくて、デカすぎるだろ!」 「突っ込むぜ! 舌噛まないように気をつけな!」

魔理沙が急降下を開始した。 視界が上下に揺れ、胃袋がせり上がる。 「ぎゃああああ! 止まれ! 止まってくれぇぇ!!」

ドォォォォン!!

轟音と共に、俺たちは紅魔館の巨大な正門の前に着地(というか墜落に近い)した。 あまりの衝撃に、俺は箒から転げ落ちて、新調したばかりのズボンの膝を泥だらけにする。

「い、痛たた……。ここが、霧の主の家か……?」

見上げれば、鉄製の厳かな門が立ちはだかっていた。 そして、その門の前に悠然と立ちふさがる、一人の影。

「……あら。こんな霧の中、賑やかなお客様ですね」

鮮やかな緑色の中国風の服を纏い、背中まである長い赤髪をなびかせた女性――門番の紅美鈴が、不敵な笑みを浮かべて拳を構えていた。

「ここは私、紅美鈴が守る紅魔館の門。これ以上、霧の中に人間を通すわけにはいきません」

霊夢が御札を構え、一歩前に出る。 「ちょうどいいわ。あんたを倒して、さっさとその主を引きずり出してやるから」

「待て、待て待て待て!」

俺は必死に二人の間に割って入った。 膝はガタガタと震え、肺は「腐るかもしれない」という恐怖で悲鳴を上げている。だが、門番の腹の虫が――ぐぅぅ、と、確かに鳴ったのを俺の耳は逃さなかった。

「……美鈴さん、でしたっけ。あなた、お腹空いてるでしょ?」

美鈴の眉がピクリと動く。

「……な、何のことでしょう。私は門番、空腹などという雑念は……」 「嘘だ! 今、鳴った! 門番なんて重労働だ、この霧の中でずっと立ってたら腹も減るし力も出ないはずだ!」

俺はリュックから、お守り代わりに抱えていた「究極の白だし」を取り出し、美鈴の目の前に突き出した。

「これを見ろ! 俺が作った最高の出汁だ! これで今すぐ、アンタを満足させる料理を作ってやるから、そこを通してくれ!!」

霧の中、黄金色の瓶が不気味な赤を跳ね返して輝いた。

スーパー帰りの参拝は幻想郷に繋がっていた

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

24

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚