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ぷち
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MAKO
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番外編88『目の前で主様が……。』後編
『ぅ……っ。』
バタンッ。
私はその場に倒れ込む。
地面に広がる血が私に現実を突きつける。
『百合菜……?』
『おや、残念。姉を庇うなんて、妹の方を殺すべきだったかな先に。』
『……っ!!』
怒りが込み上げてくる。止められない怒りが。
私は剣を抜いてケルビムに斬りかかる。
『うあぁぁぁっ!!』
ブンッ!!
ザシュッ!!パラッ。
『おっと、ふふ、掠っただけか。あぁ、いいね。その怒りの感情。セラフィムにも見せてあげたいな。』
『フーッ。フーッ』
全身の血が吹き上がりそうだ。怒りで…全てを壊してしまいそう。
『ふざけるな…降りてきなさい、…やる、殺してやる!!羽を切り落として…絶対に……っ!!』
バサッ。バサッ。
『主様!無駄です、あそこまで飛ばれたら何も……。』
『ふふ、またね、悪魔執事の主。』
『離しなさいハウレス!!絶対許さない……っ。』
『おねえ、ちゃ…。』
『…!』
ガシャンっ。
武器を落として百合菜を優しく起こす。
『私のことは、もういい…お姉ちゃん、怪我は……?して、ない?』
『私の心配なんて、しなくていい……どうして、なんで私なんて庇ったの……なんで!!』
『お姉ちゃんと同じことをした…それだけだよ…もし仮に私が殺されそうになったら…お姉ちゃんだって私を庇うよね……?』
『そんなの、当たり前じゃない…私は何よりあなたが大切なのよ…?』
『げほ、げほっ!』
百合菜は私の服に赤黒い血を吐く。
『はーっはーっ。』
『百合菜……もういい、喋らないで…。
ルカス、今すぐ百合菜を屋敷に…いや、治療して、今すぐここで。』
『……。』
『なに、してるのよ…早く、百合菜が死んじゃう、早く治療してよ!ねぇってば!!』
『――主様。分かってるはずです。貴方も。
百合菜様の受けた傷は致命傷です。治療しても…助かりません。』
『…嫌よ、死なせない。絶対に……。』
グイッ!
ルカスのバックを奪い取り治療薬を地面に広げる。
『出血が多い、まずは輸血…。』
私は輸血する為に、自分の腕の脈に針を刺そうとする。
『主様!!』
パシッと私の手を止める。
『はう、れす……?』
『ルカスさんの言う通りです…悔しいですが、主様は、もう……。』
『まだ、生きてるじゃない…脈だってまだある。嫌よ、私、百合菜がいないと何も出来ない…貴方がいないと、私、私は――!』
私は頭を掻き毟る。
『主様…。』
『おね、ちゃ…。』
血の着いた手で私の腕を掴む。
『私にもわかる…私はもう助からない。死ぬんだよ、私…。はは…死ぬのってやっぱり、怖いね…でも、お姉ちゃんの腕の中で死ねるなら…悪くないかも…』
『何言ってるのよ…馬鹿…。』
『お姉ちゃん…私のお姉ちゃんでいてくれて、ありがとう…大好きだよ。お姉ちゃん……。ずっと私のそばにいてくれてありがとう…。』
『何、言ってるの、そんなの、ずっと、これからもそうでしょ……?ずっと、ずっと……。』
私は涙を流しながら百合菜に語りかける。
『お姉ちゃん……。』
震えた手で私の頬に触れようとする。
とさっ……。
だけど、力尽きたのか、その手は地面に落ちる。
『百合菜……?』
静かに百合菜の涙は頬を伝う。
『嫌、嫌よ、目を開けて、お願い……っ。私、貴方がいないと何も出来ないの。お願い、百合菜、あぁ、いや、いやぁぁぁぁぁぁ!!!!』
エスポワールに響き渡る主様の叫び声。
そして、静かに落ちる雫。
我々はただその姿を黙ってみることしか出来なかった。
数年後――。
『……。』
百合菜様のいない屋敷は静まり返っている。まるで 蝋燭の火が消えたように。
『ベリアン…。主様は?』
『…お庭にいらっしゃいます。今日は百合菜様の命日ですから。』
『…1人にさせてあげようか。』
『はい……。』
『百合菜…。私達は天使を倒したわ。もう、天使に怯える世界は終わったのよ。貴方の仇も、ちゃんとこの手で討ったわ。ねぇ、だから……戻ってきてよ……。』
百合菜の眠る庭に花を添えて地面に崩れ落ちる。
『私は、貴方の為に今までこの剣を振ってきたのに…あなたがいないなら私は―――。』
私は武器を手にする。
『……あなたの居ない平和な世界なんて、意味はないの。私もそっちに……。』
「生きて、お姉ちゃん。」
『っ……!』
百合菜の声が聞こえた気がした。
「私は…ずっと傍にいる。お姉ちゃんの傍に。」
『っ……。』
私は瞳に雫を浮かべる。
『百合、菜…百合菜ぁ……っ。ぐすっ。』
私は静かに泣いた。百合菜の墓石に私の涙が滴り落ちる。背中に温もりを感じた。泣いてる私を慰める…百合菜の手が…そこにはいたのだ。
[END]
コメント
1件
うわっ…これは心臓にくるわ…。百合菜がお姉ちゃんを庇って致命傷負うところから、数年後の墓前で「生きて」って声が聞こえるラストまで、涙腺崩壊しそうになった。特に「お姉ちゃんの腕の中で♡♡♡るなら悪くない」って台詞がもう…。背中に感じた温もりで泣いてる読者もいると思う。ぷちさん、今回も刺さる話をありがとう…😢