テラーノベル
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ユウトとの再会が終わった後、アカネは現実世界でも奇妙な感覚に襲われていた。レイヤーでの出来事が、現実の記憶と交錯し、現実と非現実が薄くなっているような気がしてならない。
「これって、どういうことなんだろう……」
アカネは自分の手をじっと見つめる。レイヤーで感じた温かさが、今もまだ指先に残っている気がして、現実世界の喧騒の中でもその感覚に囚われていた。
その時、スマホの画面に通知が表示された。
【新しいメッセージ:ユウト】
「……え?」
アカネは驚き、画面を開く。そこには、「ごめんね、アカネ。僕、まだ完全に戻れないけど、君が前に進んでくれたから、少しだけ自分を取り戻せた。」という内容が書かれていた。
──ユウトは消えたはずだ。
アカネは息を呑む。レイヤーで会ったユウトが、なぜ現実世界でもメッセージを送ってきたのだろうか。
「これは一体……」
そしてその時、アカリからもメッセージが届く。
【アカネ、気をつけて。最近、現実とレイヤーの境目が曖昧になってるみたい。私たちが経験していることが、きっと現実にも影響を与えているんだと思う。】
現実世界で何かが変わり始めていることを、アカリも感じ取っていたのだ。
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未来の自分を忘れてはいけない