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「犯人は分かったから時間はそうかからないよ。」東屋は事件現場に戻ると刑事のもとへ行ってある人を連れ来るように言った。
刑事は頷くと3人のうちの1人を東屋と樹の元へ連れてきた。
「刑事さんさ、確認だけど指紋は見つからなかったんだよね?」
「ああ、そうだな。屋根裏は重点的に探したが指紋はなかった。」
刑事は「自分も見に行ったから間違いない」とつけ足す。
「つまり今調査しても手袋痕しか見つからないんでしょ?」
彼女の目が光る。あの夕方に火事のことを当てた、獲物を狩るような目。
ふと樹の方を向くと彼女は淡々と話し始める。
「手袋痕って知ってる?まあ簡単に言えば指紋を隠すために着けた手袋も手袋としての痕が残っちゃうんだよ。
ところであの相談を受けた以上屋根裏にいた奴と同一犯の可能性が高い。
なのになんで屋根裏に指紋がないと思う?」
樹は彼女の言いたいことをやっとここで理解した。
「犯人も手袋をしていた…!」
「そして手袋痕も捜査対象なのに見つからない。これはつまり捜査官の手袋と同じで混ざっちゃってたってことじゃない?」
呼び出された者の額に汗が浮かぶ。
「ところで。」彼女が振り返りそいつと目を合わせる。
「捜査官が使ってた手袋ってさ、ニトリル手袋だよね。」
悪戯そうな微笑を浮かべて話し続ける。
「そういえばニトリル手袋を使う仕事をしてる人が3人の中にいたような気がするな。
どうだっけ?一条さん。」
一条の息が荒くなるのがわかる。
汗は異常なほどに出ていて動揺しているのは一目瞭然だった。
「ニトリル手袋は万能で現場検証で多く使われる。ちなみに害獣駆除の業者も使うことが多いんだよ。その手袋を簡単に入手できるのは誰だろうね。」
慌てて一条が弁明しようとする。
「ま、待ってくれ?そんなニトリル手袋なんて誰でも入手可能だろう?」
「その通りだ。」
場に居た全員が固まる。一条の表情が緩む。
助かったと言わんばかりの安堵の表情を浮かべる男に間を与えないように東屋が口を開く。
「だから2つ目。」
「は…?」思わず声を出す一条に東屋は一歩的に攻撃する。
「被害者は異変があったら『すぐに』業者に行ったが丁度その時不在だった。
そう言ってたんだけど、これ裏返せば『家に誰かいる時に君が不在』ってことでしょ。」
被害者が東屋達に相談していたのを初めて知ったのか、一条は一層顔を歪ませる。
「あ、そういえば勤務表見てきちゃった。」
「え、あ…?」
「君が居なかった時、君どこにも行ってないよね。」
東屋は虫をいじめるみたいに一条をじわじわと追い詰めていく。
「もういい、」
刑事の低い声が後ろから聞こえた。
「さすがに可哀想だ。」
一瞬目に光が宿った一条は顔を見上げる。が、
「そして一条、話は署で聞く。」と言われ膝から崩れ落ちた。
「ま、待ってくれ!やめろ、俺は…!ふざけるな、」
「それに、もう誰もお前を信じていない。」
一条がふと周りを見渡すと向けられていた目の先が自分だとわかった。
大人しくなった彼はパトカーに乗って運ばれていった。
刑事は東屋の方を見ると
「…お前らの遺伝はすごいな、」と苦笑した。
「そりゃあ名探偵の妹は名探偵じゃなきゃね。」
あっという間の解決であったため見とれていた樹は我に返る。
「すみません、何もできずに。ところで一条さんが犯人っていつ気づいたんですか?」
「職業の時点で察してたけど取り調べ中が決め手かな。
嘘をついてる人って信憑性つけようとして無駄なこと言っちゃうの。
あの人聞いてもないのにその日の背景とかべらべら言ってたじゃん。」
刑事は礼を言った後「また機会があれば頼む。」と言って帰ってしまった。
事件という大雨は名探偵の照らす陽で消え去った。
晴れて次の事件が舞い込んでくるまで火事を調査できる。
瞬足の解決もあって2時には帰れることになった。
何回な半完全犯罪は名探偵の力によって4時間で収束した。
しかし学校がほかの部活で開いている事もあって部室へ行って放火を調べることにする。
これで3度目である部室にまた足を踏み込んだ。
コメント
2件
美月ゆめか🌸だよ〜!第5話、最終話読んできたよ! 東屋ちゃんの推理が冴え渡ってて痺れた〜👏✨一条さんをじわじわ追い詰める展開がマジでエモかった!手袋痕のロジックと職業の矛盾、そこからニトリル手袋に気づく流れが完璧すぎて思考が追いつかんかった😭💕「名探偵の妹は名探偵じゃなきゃね」のセリフ、最高にかっこよすぎん?? 下町パラサイト編お疲れ様でした!次の事件も楽しみにしてるよ⋆♡
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