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見守っていたモラクスは少し驚いた様だったが、その上で落ち着き払った様子でコユキに語り掛けた。


「流石のセンスでございます、コユキ様…… では、次の段階に移るとしましょう」


それからモラクスは、今まで両手同時に打ち出していた突きを片手づつ、右手を引くのに合わせて左手を出すように、所謂(いわゆる)ラッシュパンチの要領で打つように指示を出し、最後にこう付け加えた。


「パンチを打ち続ける間は足元は一切動かさないで下さい、その上で体、特に腹部の肉の動きに集中して、その動きを覚えてください」


コクリ、頷いてコユキは言われた通りに始めてみる。


ブボボボボボボボボボボボボンッ!


「モラクス君…… あんまりお腹の辺りは動かないわよ、むしろ肩とか胸、背中の方が動いている様な? 感じかな」


「なるほど、それは得難き瑞兆(ずいちょう)、程無くお望みの結果、新スキルの獲得も叶う事でしょう」


「まじで?」


「ええ、それでは続いて……」


その後も、一つ一つ段階毎(ごと)に丁寧に与えられるモラクスからの指示に従って、鍛錬を続けたコユキは、昼食前に当初の目的を達成したのである。

小さな手で惜しみなく拍手を送りながらモラクスが賞賛の声をあげた。


「お見事です! これでコユキ様の望まれた、面に対する一斉攻撃を手に入れられたと言えるでしょう! スキル名はそうですな…… 『散弾(ショット)』等如何でしょうか? この技と昨日までの二日で手に入れられたスキルを合わせれば、新たに二つの『強襲』技を得られた、流石はコユキ様です」


「えっへん! でもモラクス君教えるのめちゃくちゃ上手ね~、どっかの行き詰ると直ぐ精神論に逃げちゃうポンコツ先生とは大違いだネェ」


「ポンコツで悪かったのでござるな!」


コユキの言葉はタイミング悪く境内に姿を見せた善悪に聞かれてしまったようだ。

拗ねた様に唇を尖らせている善悪の姿は、思いの外(ほか)可愛らしかった。


「ありゃりゃ、聞かれちゃったか、てへへ、でも善悪も見たらそう思うわよ~♪」


コユキは悪びれる事も無く、益々ご機嫌な様子で自信たっぷりに胸を張っている。

これには善悪も興味を惹かれたようで、


「どんな技を覚えたのでござるか?」


コユキとモラクス二人の顔を交互にチラチラやっている。

聞かれたコユキはと言うと、三重顎に片手を当てて暫く(しばらく)考え込んでから、


「そうね! じゃ、善悪、そこらの砂利を目一杯持って、それをアタシ目掛けて投げつけてみて頂戴」


と言った。

善悪は足元の砂利に目を落としてから確認の為に再び聞いた。


「砂利を、でござるか? 大丈夫? あ、まぁアヴォイダンスで避けられるでござるな」


「避けないわよ」


善悪の質問に即答で返したコユキの顔は自信に満ち溢れる笑顔であった。


「え? よ、避けない? の?」


「うん、大丈夫だから思い切り投げて来て頂戴! もう獣○巨人、ジ○ク張りにやっちゃって!」


自信満々の言葉も併せた事で、漸く(ようやく)善悪は足元の砂利を両手に持って構えを取った。


「行くでござるよ?」


コクリ


「うおりゃあぁっ!」


掛け声と共に投げ出された砂利は、総数三十発弱だろうか、ここ暫く(しばらく)ピンポン球の投球で鍛えられていただけあって、中々の速度でコユキへと迫った。

宣言通り、回避技を発動する事もせず、棒立ち状態のコユキの頭、胸、肩、どでかい腹目掛けて、凶悪な礫(つぶて)が着弾すると見えた瞬間。


「散弾(ショット)」


ボッ!


コユキの半身を襲うと見られた砂利の礫(つぶて)は、全て同時に見えない壁か何かによって着弾を阻まれ、あまつさえ投げた善悪に向かって、速度を増し唸りを上げて向かって行く。


「アクセル! ショット!」


瞬間、善悪の前に姿を現したコユキが、自ら弾き飛ばした礫(つぶて)を、再び不思議な壁(?)によって弾き返したようだ。

砂利達は更に速度を増して、二十メートル程離れた幸福寺の、最近修繕したのだろう、真新しい漆喰(しっくい)が美しい白い外壁を打ち抜いて、その先の山肌に食い込んだ様であった。

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