テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
それは、ある夏の日の事だった。
──────ミーン、ミーン
「もうお母さん!なんで用意してくれなかったの!」
もう、お母さんってば…本当になんなの?
「ちょっと、蛍!待ちなさい」
蛍は家を飛び出して、近くの和菓子屋へ走った。
”風花堂”
風鈴の音が響いた中、蛍は息を切らしながら風花堂の中へ入った。
中はとても涼しく、キンキンに冷えていた。
「ふぅ、最高〜」
蛍はそう叫んだ。
「あら、蛍ちゃん!いらっしゃい! 実、蛍ちゃん来てるわよ〜」
そうおばさんが叫んだ。
「げっ、」
「早く来なさい!」
「わかったよ、今行く」
ドタドタと階段から音がした。
「蛍ちゃん久しぶりね〜」
「蛍、久しぶり」
そう言い、実が笑った。
「あっ蛍ちゃん!せっかくだしお茶でも飲んでって!」
私と実は幼馴染で小さい頃からこの風花堂でよく遊んでいた。
おばさんもお母さんと仲が良かったからよく話していた。
「おばさん、わざわざありがとうございます!」
「いいのよ〜佳子ちゃんとの仲だし!」
「なぁ蛍、ここに来たって事はなんかあったんだろ?w」
ニヤニヤしながら実が話しかけてくる。
「あんたには関係ないです〜」
そう言ってスイカを頬張った。
「てか蛍、今日お袋午後からいねぇーんだよ。」
「えっ、そうなの?いきなり来てごめんね!」
「ううん、むしろいいこと考えたんだ」
「それいいじゃん!」
実が考えたのは探検ごっこ。
この家兼和菓子屋を探検するって言うだけ。
でもふと、小学生の頃の気持ちをふわっと思い出してついやりたくなった。
「おっけ!決まりな!」
そんな時ちょうどおばさんが来た。
「実、蛍ちゃん!ごめんねぇ
今から用事があって帰るのが遅くなっちゃうの。だから留守番頼んでもいい? 」
「全然!てかお袋、俺から蛍にその事話したよ?w」
「あらほんと?なら良かったわ!」
「お母さん行ってくるからね!
気をつけてね」
「行ってらっしゃい! 」
「よし蛍、行こうぜ」
「うん!」
トコトコ
「わぁ懐かしい〜子供の時に戻ったみたい。」
「だな!」
「てか蛍、コショコショ…」
「ダメじゃないの?」
「いや、いいよいいよ!」
「ほんと〜何かあっても知らないからね。」
「大丈夫だって〜」
私も実も、絶対に開けちゃダメと言われた押し入れ。
今まで開けようなんて考えたこともなかったけれど…
「ここか、」
「本当に開けるの?」
「そうに決まってるだろ!男に二言は無い!」
「はぁ、まったくもう。」
「321で開けよう」
「わかった。」
3、2、1
「わぁぁぁ、!!!!」