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「リリアナー!」
朝からお義母さんの怒鳴り声が響く…
「はい…お義母様なんでしょうか?」
リリアナが継母のビーズの前に跪く…
「モスとビルデの服を洗濯するように言ってあったわよね?一体いつまでかかっているの!?」
「すみません…服が10着もあったので…今乾かしている所です」
「全くクズでノロマなんだから!それが終わったら食事の準備よ!さっさとしなさい!」
「はい…お義母様」
リリアナは立ち上がると外に向かった…
洗濯物の続きをしていると…黒い犬が近づいて来る。
【リリアナ…また怒られたのか?】
【あっブラッド!いつもの事だよ、大人しく返事してれば大丈夫、大丈夫!】
リリアナは明るく笑ってブラッドを撫でる。
【あんな奴ら…俺が噛み殺してやろうか?】
【ブラッド、そんな怖い事言ったら駄目だよ、私のお義母さんなんだよ…】
【血は繋がってないだろ】
【そうだけど…】
【リリアナの父親が死んだ途端手のひらを返すようにリリアナに辛く当たりやがって…】
ブラッドがグルグルゥと唸り声をあげる。
【そうやってブラッドが怒ってくれるから大丈夫…ありがとう】
ブラッドをギュッと抱きしめた。
「リリアナー!!いつまで洗濯してるんだ!」
家の中からまた怒鳴り声がすると、リリアナはビクッと体を震わせた…。
【ブラッド…遊んでいたいけどごめんね、ご飯の準備をしないと…】
リリアナはブラッドをもうひと撫ですると、大量の洗濯物を抱えて急いで家の中へと戻っていってしまった…。
チュンチュン!
にゃー!
1羽の小鳥と一匹の猫がブラッドの隣に来ると…
【あれ?リリアナは?】
【またお仕事?】
ブラッドがリリアナと居ないこと珍しく思い聞いてくる。
【ああ…またあいつらに呼ばれて行ってしまった】
【何なんだ!あの人間は!】
【リリアナとちっとも遊べないよ!】
【全く気に食わん】
【ブラッド!我慢しないでやっちゃおうよ!】
【…リリアナが望むならいつでもやってやる…だが…きっとそれをあの子は望まないんだ…】
【そうなんだよね…】
【僕らに助けを求めてくれれば…】
3匹はリリアナの家をじーぃと見つめていた…。
「リリアナー!このスープお代わり!」
「はいお姉様」
「リリアナーこのお肉もっと持ってきてー」
「はいビルデ」
「リリアナ…お酒が足りないわ!早く持ってきなさい!」
「はい…お義母様…」
リリアナが地下にお酒を取りに行くと…
「本当にリリアナの作る料理って美味しいわ!」
「いくらでも食べれるわ!あの子のせいで体重が増えちゃった…今度太らない料理を作ってもらおうかしら」
「それはいいわね!太ったらリリアナのせいね!」
「そんな事になったら…しっかりとお仕置をしないとね…ふふふ…」
「まぁ!お母様怖いわ!」
「きゃははは!リリアナが聞いてたらどうするの?」
「地下に行ってるのよ、聞こえるわけないわ!」
楽しそうに笑う三人を二匹のネズミが睨みつけていた…。
三人は美味しいご飯を食べ終えるとさっさと部屋を出ていく、去り際に…
「リリアナ!綺麗に片付けておきなさい!後…今日の料理は少し油っこかったわ!気をつけなさい、明日からは痩せる料理を作るのよ!」
「や、痩せる料理?」
「出来なかったら分かってるわね!」
「で、でも…そんな料理なんて…」
「口答えする気!」
ビーズが目を釣りあげてリリアナの側に来ると…持っていた扇子でリリアナの顔を叩く。
「キャッ!」
リリアナは床に倒れ込んでしまった…。
「一人になったあなたをここに置いて上げてるのは誰だと思ってるの!」
「…はい…お義母様です…」
「わかってるなら素直に返事をすればいいのよ!全く可愛くない子だわ…」
ビーズはふんと踵を返すと部屋を出ていった…
リリアナが床に手を付き下を向いている姿に…二匹のネズミが近づくと…リリアナの手にすりすりと顔を撫でつける。
「あっ…リードにナッツ…慰めてくれてるのかな?ありがとう…大丈夫だよ」
二匹を抱き上げるとテーブルにあげる…
「慰めてくれたお礼だよ…残り物で悪いけど余ったご飯を食べていいよ…後は片ずけるだけだから…」
二匹はチョロチョロとテーブルの上の料理を見るが…あの三人の残り物と思うと…食欲が失せる…二匹はリリアナの側に寄り添った…
「どうしたの?ご飯食べたくないの?」
二匹のお腹をつんつんと撫でるとくすぐったそうに悶えている。
「ふふふ…はぁ~!さぁ片付けて寝よう…また明日も早く起きないと…でもその前に…少しだけ…」
リリアナはテーブルに体を預けると…あっという間に寝息をたてる…。
(あーあ…寝ちまったぞ)
(片付けないと…またあのババアに叩かれてしまいます)
(くっそー!俺達が何か出来れば…)
(私達はいつもリリアナに助けてもらってばかりですね…)
(なんで…俺達はネズミなんだよ)
(人間だったら…リリアナをこんな所から連れ出してあげられるのに…)
二匹は気持ちよさそうに眠るリリアナを起こしてやることぐらいしか出来ないことを歯がゆく思っていた…。