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〜 side 小柳 〜
いつの間にか今日も夕方になっている
ヘリの修理をして明日に備えようと、買っておいたダクトテープを手に持つ
今日はこのまま終われるかも
そう思った時またパレトの通知だ
“ロウさん!今何処ですか⁈”
“俺今ヘリポートにいるよ”
“行きます‼︎”
北見が物凄い勢いで屋上までやってきた
「ロウさん!行きましょう」
「行こう、乗って!」
急いでパレトへヘリで向かう
「これだけ早かったら今回はワンチャン‥‥」
「いると良いな。いつまでも取られっぱなしじゃやってられん」
今回はいつもと違いパレトの外に車が停まっていた
パレトの少し手前でホバリングして俺は考える
『コの字』と言われる建物の上に降ろすかどうか‥‥
「北見‥‥この建物の上にお前を降ろすから、パレトとこの建物の下‥‥お前狙える?」
「‥‥やってみます!」
ゆっくり建物の屋根に近き、北見を降ろす
俺はもう一つ建物を挟んだ向こう側にヘリを停めた
建物の陰に隠れながらパレトに近く
『コの字』の建物まで来て上を見ると、北見が屋根の飾りの裏に頭を出していた
裏から回られたら危ない
その時、北見を狙うキラリと光るものが目に入る
「北見っ‼︎伏せろ‼︎」
そう言いながら先程光った場所に銃口を向けた
だが、狙いを定めるものが無く俺は咄嗟に壁に背を付け辺りを見渡す
きっと敵に俺の場所はバレている
俺が動けないままいると、北見が屋根の上から2階のベランダにジャンプで降りているのが見えた
「アイツ‥‥そこは丸見えだっ‥‥」
北見が階段の方へ駆け出し、俺はその先に敵がいるのが確認できたので迷わず撃ち込む
しかし玉は外れ、狙っていた男はこちらに銃口を向け発砲する
「痛っ!‥‥くっ」
左腕を掠め血が滲む
「ロウさん‼︎」
北見が俺の心配をしながら相手を狙い引き金を引く
当たったのか分からず、北見はそのまま銃口を向け続ける
俺もそちらに向かおうとした時だった
「君が小柳ロウくん?」
カチャッ‥‥
銃口がモロに頭の中心に当たっている
終わった‥‥
0距離で、後は撃たれるだけ‥‥
俺は両手を低く上げ銃を手放した
「ねぇ、そのままこっち向いてくれる?」
額でも打ち抜きたいのか?
そう考えながら俺は言われるがまま振り向く
「やっぱり小柳ロウくんだっ!」
「‥‥誰だ?」
「教えないよ」
黒いロングのコート
付いているフードを被り、顔は目元だけのマスクを着けている
黒いマスクから覗く瞳はとても綺麗なスカイブルーだ
顔は下半分しか見えないが、幼い印象でまだ若い感じがする
こんな奴、街にいただろうか?
「‥‥何で俺の名前を知ってる?」
「俺は銃も、手先も、人の懐に入るのも得意なんだ」
「‥‥なるほど」
「ねぇ、今時の警察って顔で選んでるの?綺麗な顔だね」
「そんな事はっ‥‥」
俺に向けていた銃口が外さられ、代わりに両手に顔を挟まれ、上を向かされる
キラキラとした瞳と間近で見つめ合う
その時、正面から北見、裏からはコイツの仲間が同時に俺達に話しかけた
「ロウさん!ロウさんから離れろっ!」
「オイ!何してる⁈早くズラかろうぜ」
まだ見つめ合ったままの体勢で、俺は隙を見てテーザーを出そうと考えていた
「ロウくん、また会おうねっ」
「‥‥‥‥‼︎」
男は俺にキスをした
俺はテーザーの事も忘れ、口を手の甲で拭う
「ろ、ロウさん!‥‥大丈夫ですか⁈」
「‥‥‥‥あぁ、何でもない」
犯人達は車で逃亡
俺達は犯人をみすみす逃してしまった