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2人が願うのは「明日」

─────────────

1.でぽん視点

今日は4月6日。

2024年になったら、毒状態と打ち上げにいつか行こうよ。

という約束が今果たされそうだ。

いつもよりキマってる毒状態が、

俺の方を向いて言う。

毒状態「あなたがいるから、今日もいい一日になりそうですね。

でぽん「えへへ。自分もそう思うよ。

…本当に照れる。毒状態に言われるとどんな言葉でも頬が赤くなる。いつも楽しそうで、賑やかで、そんな君が大好き。

毒状態「何考えてるんです?言いたいならはっきり言ってくださいよぉ〜!

そう言うと俺をせかすように風が吹き、その風と一緒に花びらが乗ってくる。

──春の匂いだ。

でぽん「秘密。

毒状態「秘密ぅ!?まったく…w

君について考えてた。君のことが好き、なんて言えないから。俺はそんなの無理だ。

…最近、言われてないな。

好きだよって、伝えられてないや。

毒状態「あ、あそこ、中華料理ですってよ!食べに行きます?

でぽん「行きたい。

毒状態「りょーかいです!じゃ、渡っちゃいましょ!

青色に光っているのを確認して渡った。楽しみだな。中華料理。

キッキ──!!

音に気づき俺は横をみた。

ライトに垂らされている俺が車に反射して映っていた。

─────────────

1.5

ここはどこだろう。

軽い体をあげて、当たりを見渡す。

心地よい春風。暖かい。

辺りを見渡すと、毒状態がいた。

でぽん「毒状態…?

聞こえてないのか分からないが。無反応だ。

毒状態はじっと辺りを見渡してて、何だか悲しそうだった。

どうしたんだろう。話しかけてみたい。でも、、

なんでだか前に踏み出せない。

どうして……?声、出せば聞こえる?大きな声で言えば、聞こえる?

でぽん「毒状態!!!

こんな大声を出したのは久しぶり。俺は全力で叫んだ。

でも、無情に聞こえてないようだ。

でぽん「毒状態…。

俺、こんだけ無力なんだ。

そう思うと本当に虚しくなる。

でぽん「何か、悩んでるの?どうしたの…!

やっぱり聞こえてない。

でぽん「俺、ここにいるのになんで聞こえてないの…?

俺、生きてるよ。だから…」

本当に、生きてる?

……

───俺は、死んだのかな。

思い悩んでるのは、死なせた後悔なのかな。

でも、俺は今ここにいて、毒状態が目の前に…

毒状態「でぽんさん、あなたが居ない日々はつまらないですよ。

その言葉に気付かされる。

……俺、死んだんだね。

じゃあ俺、二度と毒状態に伝えることが出来ないんだ。

好きって。

…俺の事についてはわかった。でも、なんで毒状態はここに?

まさか、俺はひとつの可能性を思い浮かぶ。人が死ぬ、高台…

死のうとしてるのかな。

毒状態「あなたがもし目覚めても。私はもうこの世界に居ない。

あなたが目覚めても…

俺、まだ生きてるの?…それは、

今の状況じゃ何も言えない。分からないし。

もし生きてたとしても、目覚めてもってなんだよ。

なんで、そんなこと言うの。

死なないでよ。

でぽん「馬鹿だね…生きててよ。

俺は死んでるかもしれないし、生きてるかもしれない。

明日なんてもう無いかもしれない。不確定な明日をみてる。

でも貴方は、あるのに、

でぽん「死なないでよ…!!

そう言った瞬間、暖かい風が吹く。

でぽん「うわっ……!?

俺は目をつぶる。

次開けた時、毒状態は目の前にいなかった。

間に合わなかったのかな…

俺は、そっとその場にくずれた。

─────────────

体が…痛くて重い……

ここは…どこ……?

でぽん「…ん?

看護師「目が覚めましたか!?直ぐに医者を呼んできます!!

看護師……?じゃあここは病院…!

生きてる。俺、生きてる。

生きてるけど、まってよ。医者呼ぶ前に聞きたいの。

でぽん「毒状態は─。

看護師「ああ。生きてますよ!

その言葉に肩がおちる。

生きてるの…?もしかして、何とか助かった?

じゃあ、伝えなきゃだね。

看護師「医者を呼んできました。もうすぐ来ますよ、

でぽん「はい。

俺はふと気になって外を見る

…まだ、春だった。

よかった。そんなに眠っていなかったみたい。

風がなびき、春の匂いがする。

なびかれた方を見ると、カレンダーがあった。

でぽん「今何日…?

そう思いみると、4月1日。

俺が轢かれる数日前だった。

「え、」そう思い年号を見る。

2026年。。?俺は立ち上がった。

─────────────

3.毒状態視点

2025年。4月6日───。

毒状態「でぽんさんは。まだ目を覚まさないんですか…、

看護師「…ええ。本当に。

俺があの時、中華料理を食べようって言わなければ。

俺が外に連れ出さなければこうはなりませんでしたよね

そう毎日自分を責めていた。

最近。好きって伝えたのはいつ。

いえずにでぽんは死んでしまうかもしれない。

そんな恐怖も心のどこかにあった。

でぽんの意識が無くなってから1年。俺はずっとこの後悔を背負うのだろうか。

いつ、目を覚ますのだろうか。

俺のせいで。俺のせいで──。

看護師「大丈夫です?毒状態さん。

毒状態「ええ、大丈夫です。

目の下のクマも増え。

疲れも増し、どんどん苦しくなる。

ごめんなさい…。ごめんなさい。

本当に、後悔しかない。俺はどうすればいい。。

ずっと涙を流して、

あなたがいる明日を願って。

でも、いつになったら来るの…?

毒状態「あはは…w

笑っちゃいますね。ほんと。

不確定な明日を待つなんて、

もしも、でぽんが目を覚まさかなったら──。

来年までに目を覚まさなかったら、死のうかな。なんてね。

冗談のはずなのに、反射して映る俺の顔は笑っていた

─────────────

1.5

2026年、3月28日───。

まさか、1年前の冗談を本当にするとは思いませんでしたよ。w

私は今、春の穏やかな風を感じ、

街を見おろせる高台にいる。

そんな風にのって、幻聴が聞こえてくる。

俺の名前を呼ぶ声や、生きてるみたいなことを叫ぶ声。

俺ってホント、疲れてるんだな。

俺はその声を聞かないようにして、街を見下ろす。

毒状態「ここで、一緒にでぽんさんと景色を見たかったですね。

でぽんさんと一緒にいたらきっと、暖かく、心地よくて、ずっとここに───。

そんなの、ある訳ないですが。

いつ、目を覚ますのだろう。このままの状態だったら、いつか死んでしいますよね。

もし生きていても、目を覚ます時はいつになるのでしょう、

私は、「いつ来るか分からない明日」を待つことになってしまう。

毒状態「でぽんさん、あなたがいない日々はつまらないですよ。

俺は独り言をつぶやく。

でぽんさんがいない俺の時計は。4月6日で止まったまま。

あの日の俺は、本当に俺は無力だった。あの時助けられなかった。俺が変わりになればよかったんじゃないか。

後悔という言葉しか出てこない俺の頭に、誰か水をさして正気に戻してくれ。

でもそんな想いも。

ここで飛べば、終わり──。

これで、開放される。

毒状態「あなたがもし目覚めても。私はこの世界に居ない。

ごめんなさい。ごめんなさい。

俺はもう、いつ来るか分からない「明日」を待ちたくない。

さようなら。

そう飛ぼうとした時、風がなびく。

『馬鹿だね…生きてよ。』

……え、?

風に乗って聞こえたのは幻聴じゃない。今の、気のせいですか?でぽんさん、ですよね、?

でも、気のせいですよね。

だって、周りにはいない。

俺は、あなたがいない世界を生きたくないんです。。

『死なないでよ…!!』

その言葉が俺の胸へ投げ込まれる。

俺が死んだあと、もし目を覚ましたら、彼は「もう来ない明日」を持って生きる。

でぽんの言葉に、俺は何かを気付かされた気がする。

風が吹き、俺の体を押そうとする。

毒状態「まだ、生かさせてください。

そう呟いて俺は駆け足で屋上から飛び出した。

─────────────

あの時、俺は言われて気づいた。

こんなの、勝手に死のうとしてるだけじゃないですか。

俺が死んだあと、彼が目覚めたら…1人なんだ。1人ぼっちなんだよ。

今俺は、1人でいるから分かる。

こんなの、でぽんに味合わせたくないですね。

彼が、目を覚ますまで俺は、、

生きていたい。

生きていなくちゃいけない。

また、話すためにも。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

突然の病院の連絡に体を飛びあがらせて病院へ行く。

階段を登り、バンとドアを開ける。

毒状態「でぽんさん!!!

少し、やつれた彼が言う。

でぽん「生きてた…。生きたよ。

毒状態「ごめんなさい、、あの時俺が、あそこに行こうって言わなければ。。

でぽん「いいの。大丈夫。

そう笑うでぽんをみると、胸が熱くなる。

嗚呼、やっぱ俺ってこいつが好きなんだなって改めて思う。

言わなきゃですね。彼が寝てから2年、俺はあなたに愛を伝えられなかった。

毒状態「あの、でぽんさん…!

でぽん「毒状態のこと、好きだよ。

毒状態「…俺もですよ。生きててよかった。

あなたから言うなんて、反則ですよ。。

俺は、涙を流しながら満面の笑みを見せやった。

でぽんも、優しい笑顔で返してくれた───。

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