少し開いてるカーテンから
朝日が枕元を照らし眩しさで目が覚める。
『ん。まぶし~。』
頭だけ動かしてふと時計を見ると
朝6時過ぎを指していた。
身体を反転させようとすると左側に
重みを感じて抱き締められて
寝ていたことに気づく。
『あ……』
昨日一緒に寝てたの?あの後
潜り込んできてたんだ꒰ঌ( ⸝⸝⸝ ̳ ̫ ̳ ⸝⸝⸝)໒ボン
急に顔が熱を帯びていることに気づく…。
どうにか起こさないようにとそっと
腕を触り身動ぎすると
蓮の腕が絡まりついてくる。
「どこ行くの?」
寝起きの蓮も変わらずセクシーで
身がもたないくらいカッコイイ。
『あ、朝ご飯作ろうと思って…』
紫苑が半身起き上がろうとすると、
身体が反転し、組み仕切られ、
近い距離で見つめあう。
「ダ~メッ。オレ 昨日 お預け
食らってんだけど?!まだ時間あるし…。
ここで二人の時間を過ごしたい…。」
顔が近付いて唇を唼む。
ーチュッー
『ちょ、……ちょっと蓮?!
もう朝…だよ。……あッ……』
間髪入れず長い長いキスを落とされ、
息が出来ずに瞳が潤む。
ハァ…ハァ…。
恥ずかしさと照れから顔を背けると
額から順番に下にキスが降りてくる。
身体を捩り逃げようと
胸を手で押し返そうとすると
手を絡まされ両腕を拘束される。
ンッ…///。
はだけた胸元へのキスで
刺激に敏感になり身体が跳ねる。
ア…ッ…。
『れ…ん…アッ……やッ…めッ…』
肌と頬は紅潮し瞳は潤んだ目で蓮を睨む。
息が上がりながらも紫苑の熱い視線に
「その視線…ヤバっ!紫苑…煽るの……
上手だね…。本当カワイイ。」
さっと寝間着を脱いで整った身体が
あらわになり上半身裸の状態。
既にしっとりと
身体は汗ばんでいて艶っぽい。
瞳は紫苑を離そうとしないし、
愛しいと蓮の身体全体で
心に訴えかけてくる。
愛しい蓮の誰にも見せないその顔は、
拒めないその先を自覚させるだけの
熱視線だった。
それから身体のあらゆる部分にキスを落とし
愛を伝えられたところで紫苑が
蓮を抱き締める。
艶を帯びた視線が絡み合い
熱いキスを沢山した後、
お互いの身体を重ね合う。
繋がった身体はどちらも熱を帯びて
まるでひとつに溶け合うようで
不思議な感覚になる。
お互い今まで感じたことない位の
幸福感で、気が付けば
涙が頬を濡らしている。
「ハァ…ハァ…し…お…ん…愛…して…る。
もう…離さ…ない…から…。」
身体は繋がったまま抱きしめ合う。
『ハァハァ…ッれっんっ…愛してる……。』
こんな気持ち…知らなかった。
互いの全てを貪り求め合ってしまう二人。
優しく愛するつもりだったが
今まで感じたことの無い気持ち良さと
紫苑の愛しい啼き声に煽られ、
果てるまで何度も愛し合った。
・ ・ ・
ー初めての愛の交わりを終え、
静かな寝息で
眠りについた紫苑の寝顔を
愛おしく眺めながら
少し開いているカーテンを締め切り
光を遮断し
部屋に灯る明かりを消し
シャワーを浴びに部屋を出る。
引き締まった身体へ頭から
温かいシャワーを当てると
先程の情事を思い返してしまう。
やっと紫苑の全てを手に入れたかの感覚。
満たされた幸せに浸っていた。
身体を洗い終え、紫苑のために、
浴槽を洗い直し浴槽にお湯を貯めていく。
まだ起きてこないだろうと軽く身体を拭いて
下だけ履き、バスタオルを肩からかけ
Tシャツを片手にキッチンへ向かう。
ポットにお湯を入れ、
豆をひいて珈琲を作りながら、
少し遅めの朝食の下ごしらえを始める。
トーストにサラダ、スクランブルエッグ、
ベーコン、ソーセージを炒めて添える。
Tシャツを被りベットルームに戻り
ベットの端に座ると思ったより
ベットが沈んで紫苑に振動が伝わっていく。
『あ……。蓮。』
少し髪が濡れてる。シャワー浴びたんだ。
まだ頭が回っていない中でも蓮の仕草や
様子を端的に見てしまう自分が
どれだけ蓮を愛しているか、
そして蓮に愛されているかに気付かされ
笑みがこぼれる。
「おはよ。( ◜ᴗ◝ )ニコ。起きれる?
…先にお風呂入っておいで。
朝食用意しておくよ。」
『……うん。』
支えてもらいながらゆっくり身体を起こす。
着替えを持って蓮の横を通り過ぎ
部屋を出ていこうとする
紫苑にキスのご挨拶。
チュッ
あれだけ愛し合ったのにまだ足りないの?と
言いたげな顔にニタニタ笑いが止まらない。
歩いていく背中に聞こえないように
「まだ足りないねえ。
ずっと繋がっていたい。(笑)」と呟く蓮。
ベットを片付け布団を整えた後
キッチンに戻り珈琲を飲みながら、
先に下ごしらえを終えた朝食の最終仕上げに
入ると紫苑が着替えを整えキッチンに
戻ってくる。
「あ、もうメイクしたの?カワイ♡」
『……….。』
それどんな顔?蓮は笑いながら
紫苑を抱き締める。
『……蓮ってそんな感じだった?』
蓮は質問の意図が分からない様子で
紫苑を椅子へ座らせる。
「…….どういうこと?」
朝食を前に置き、カトラリーセットを渡す。
『そんなに甘々な蓮、今まで見たこと
無かったし、聞いた事ない。
ホント目の前に居る
あなた 誰?って感じ』
「メディアに映る俺だけが俺じゃないよ。
今の俺は素のまんまのオレだから。
今のオレは紫苑にしか見せない顔だよ。」
特別扱いされていることに
恥ずかしさと嬉しさで心に満ちていく。
甘々な時間はゆっくりと流れていく。
そして午後からいよいよ打ち合わせと
レコーディングに入っていく。
楽曲は全部で5曲。3曲は紫苑のソロ曲。
2曲が蓮とのコラボ曲となる。
スローテンポの愛の歌メインで
紫苑の声を生かしたミニアルバム。
蓮のハイトーンボイスが色を添える。
西園寺と蓮の意見も取り入れながら
曖昧なものから目に見える形になっていく。
歌詞の確認作業と歌準備をしている紫苑と
並行して蓮のレコーディングを行っていく。
ブースに入った蓮を卓後ろのソファから
何気なく眺めている紫苑。
マイクに向かう蓮はさっきまでと違う顔。
プロアイドル目黒蓮の顔になる。
【それじゃ始めていきます。】
「お願いします。」
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬
歌っている蓮はやっぱり素敵だった。
実際に歌う蓮を見るのは初めて。
こんな人と一緒とか、私大丈夫なの?と
不安になる位完璧にこなしてる。
「ごめんなさい。もう1回いいですか?」
【……そう?今の良かったけどねぇ。】
エンジニアと会話する蓮は
納得出来ていない様子。
《緊張してる?》
西園寺が紫苑の隣に座り、珈琲を手渡す。
『あ、……はい。かなり。』
《目黒くんも気合い入ってるね。
愛の力ってやつ?》
一見冷やかしに聞こえるが
嫌味に聞こえない大人の対応に余計に
緊張が高まる。
『蓮もプロなんだな、って。私なんかとで
大丈夫なのかなって不安になります。』
珈琲に口をつけながらため息を漏らす。
《紫苑ちゃんの歌声は俺が保証するから
安心して。紫苑ちゃん、目黒くんの声に
引けは取らないから。》
ニコニコしながら頭を軽く撫で
卓前に座り直す。
【はい。お疲れ様!】
「ありがとうございました。」
軽く会釈をしてブースから出てくる。
『お疲れ様。』紫苑が笑顔で挨拶する。
持ってる珈琲を奪い飲む。
『あ、それ私の…。』
「西園寺さんに頭ポンポン
されてた…。しかもそれも満更じゃ
無さそうな顔して。(怒)」
『もう!レコーディングに集中してよ。
西園寺さんは私の緊張をただ
ほぐそうとしてただけ』
「知ってる。でも…ちょっと嫉妬した。」
あれれ?拗ねてる。
…へぇ。こんな顔するんだ。
紫苑はくすっと笑ってしまう。
「笑って。それがいい。その顔でいて。」
自分を犠牲にして
私を笑わそうとする人。
幸せを与えられた後だからこそ
この幸せがいつまで続くか
いつまで今の自分でいられるのかに
不安の渦が胸を支配していく。
【紫苑ちゃんお願いします!】
その声により一層緊張が高まる。
「発声練習は朝で十分出来てるから、
心配しないで
安心して歌っておいで(っ ‘-´(( ‘-’ * )♡」
蓮はニヤリとし紫苑の首元に手を回し
耳元で艶っぽいセリフを囁く。
一瞬で赤面する紫苑。変に反応してしまう。
(Σ∑(O_O;)ビクッ) 蓮!!
ケラケラ笑って手を振り紫苑を送り出す。
もう!と怒りを覚えるものの、
先程まで感じていた身体を震わせる
緊張も胸を締め付ける
不安な思いも消えて
不思議とリラックス出来ていた。
ブースに入り、スタッフさんに
『お願いします』と挨拶を交わす。
スタッフの人がブースの中を
簡単に説明をしてくれる。
ヘッドホンをつけると西園寺の声が
耳元から聞こえてくる。
《取り敢えず、前貰ったあの曲、
音源作ったから
仮歌で歌ってみてもらえる?》
あの歌?なんの歌ですか?
《ん~とりあえず流すよ~聞いて。》
耳に流れてきたのはギターで弾き語りで
歌っていた私のオリジナルソング。
シンセサイザーとオーケストラで
アレンジされ豪華な曲になって流れてくる。
🎼.•*¨*•.•*¨*•.¸¸🎶🎼.•*¨*•.•*¨*•.¸¸🎶
♪約束を忘れたあの日
愛した想いを残して
1人歩いていったあの人を
引き止めるには 勇気がなくて
ただ別れを受け入れる
目に止まったその影に 彼への面影を映して
まるで止まった時間に
咲いた花のよう………♪
蓮はスタッフと次の曲の
打ち合わせをしながら
レコーディングを見学していた。
(あ…あの歌だ…。)
「ちょっとごめんなさい…。」
蓮が紫苑の方に顔を向ける。
〘……やっぱり気になりますよね?
続きはまた後でやりましょうか?〙
事情を知っているスタッフで、ありがたい。
「すみません。」
席を立ちブースの近くのソファに座る。
伸びのある艶やかな声、
リズムも安定してる
声は調子良さそう。
前に公園で聞いた時はもっと
シンプルだったけど
このバージョンもいいなぁ。
さすが西園寺さんだ。
初合わせとは思えないくらい
自分の歌として堂々としてる紫苑に
尊敬の念を抱き、その姿に嬉しくなる。
これ、コーラスに入りたいな……。
聞き入る蓮の横に座り
西園寺が声をかける。
《目黒くんこれ、コーラス入んない?》
「僕も今聞いてて思いました。
サビ前からサビですよね?
いいと思います。」
《じゃ、オケなしだけど、いける?》
「大丈夫です。あ、これ、
紫苑に内緒で出来ませんか?
あとで出来上がりでラストで
知って欲しいんですけど。」
《なんか面白いかも。笑…いいねぇ。
分かったじゃ、別日にしよう。
このオケあげるから
考えてきて。あとさ……》
しばらくして、ちょっと
休憩を挟むことになり、
紫苑と共に近くに散歩に出る。
「寒くない?」
ううん。大丈夫。紫苑は笑う。
ーん。ー蓮が手を差し出す。
紫苑はそっと手を握る。
『ファンの子達に見つからないかな?』
「誰もいないよ。ここは私有地だから。」
『凄いとこだね。西園寺さんって何者?』
「さぁ?でも凄い人で
あることは間違いない(笑)」
『確かに(笑)』二人で微笑み合う。
ーこうやって二人で笑い合える時間は
後どのくらい残っているんだろう?ー
痛みや苦しむ時間が少ないことを
願うしかない。
むしろ治療できたりしないんだろうか?
こんなに元気なのに…。
やっと想いを伝えられたのに…
悩み苦しむのは1人の時。
悲しい顔は紫苑には決して
見せないと決めている。
「紫苑、偏頭痛出てない?…痛くない?
我慢しないで言っていいからね。」
『そういえばないかも。
言われるまで気にしてなかった。
緊張してるからかな?
これも蓮のおかげかも(笑)』
「オレ、なんもしてないよ(笑)」
『傍にいてくれてるじゃん。
蓮の手を離す決断しなくて良かった。
寂しい想いしなくて済んでる。
ありがとう♡』
「こちらこそ。傍にいてくれて
ありがとう。大好きだよ。紫苑。…
そろそろ戻ろうか。」
『うん…そうだね。』
2人は手を取り歩き出した。
ー次回最終回ー
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いよいよ最終回か……気になる(っ ॑꒳ ॑c)