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『この胸の高鳴り』
tg視点
放課後。
屋敷に帰って手当をしてもらった。
窓の外、夕焼けが滲んでる。
「……あっとくん、ちゃんと帰れたかな」
ぽつり。
返事はない。
代わりに、背後から聞こえる足音。
「――ちぐ様」
振り返る前にわかる。
その声だけで、胸がほどける。
「……ぷりちゃん」
気づいたら、笑ってた。
(なんで俺、こんな安心してんの……)
さっきまで、あっとくんのことでざわざわしてたのに。
今は、全部どうでもよくなる。
「本日は、お疲れさまです」
「うん……」
近づく。
理由なんてない。
ただ――
「……なんかさ」
ぷりちゃんの前に立つ。
「今日、ずっと変なんだよね」
視線がぶつかる。
逃げない。
逃げたくない。
「落ち着かないし……」
一歩。
「でも」
もう一歩。
「ぷりちゃん見ると、平気になる」
――近い。
自分でもわかる。
近すぎる距離。
なのに、離れたくない。
ぷりっつの喉が、わずかに動いた。
「……それは、執事として――」
「ちがう」
かぶせるみたいに言った。
自分でもびっくりするくらい、強く。
「それじゃ、説明つかないの」
沈黙。
夕焼けの色が、二人の間に落ちる。
心臓の音がうるさい。
(……なんで俺、こんな必死なの)
でも、止まらない。
「……ねえ、ぷりちゃん」
「……はい」
声、ちょっと低い。
「今日だけでいいからさ」
少しだけ、服の袖をつまむ。
「……そば、いて」
その瞬間、
ぷりっつの呼吸が完全に止まった。
(これ以上はだめ)
頭ではわかってる。
(これ以上は、)
でも――
「……承知、いたしました」
断れなかった。
一歩、近づく。
距離が、なくなる。
触れてはいない。
なのに、
体温がわかるくらい近い。
「……ぷりちゃん」
「……はい」
声がかすれる。
ちぐさは、無意識に額を少しだけ寄せた。
コツン、って。
軽く触れる。
「っちぐ様……!」
初めて、はっきり動揺した声。
でも――離れない。
離さない。
「……この距離、落ち着く」
小さく呟く。
(やばい、なんか……)
胸がぎゅってなる。
苦しいのに、気持ちいい。
「……俺さ」
目を閉じる。
「ぷりちゃんのこと……」
言いかけて、止まる。
怖い。
言ったら、戻れなくなる気がして。
でも――
ぷりっつの手が、ゆっくり動いた。
触れないギリギリで止まる。
「……それ以上は」
低い声。
震えてる。
「……言わんといてください」
拒否じゃない。
お願いみたいな声。
その一言で、全部わかった。
(あ……)
心臓が、大きく鳴る。
「……ぷりちゃんも、同じ顔してる」
かすれた声で言う。
「……俺と同じ」
ぷりっつの瞳が揺れる。
完全に、崩れる寸前。
それでも――
踏み込まない。
踏み込めない。
その距離が、余計に苦しくて。
でも――
「……今日だけ」
ちぐさが小さく笑う。
「このままでいよ」
夕焼けの中、
触れないまま、
触れてるみたいな距離で。
二人は動けなくなった。
更新遅くなってごめんなさい😭💦
♡⇒3500
💬⇒5
多くてごめんなさい🙏🙏
続きが思いつかなすぎて笑笑笑笑笑笑笑
コメント
4件
甘えるtgちゃんと動揺するprくんかわいい🤭 prくんの敬語×関西弁何度読んでも大好き
大好きな作品更新嬉しいです!!🫶 夕日とprtgえもえも過ぎて好きです!!