皆げんき〜!?
いやぁね?何か前の話が1000♥いってて吃驚したんだけど(笑)
みんなありがと〜!
えーっと、今回の話しで最終話かな?
一寸口調迷子という危険事項が追加されるから、みんな気付けて!
あと長いよ!
という訳でドウゾ〜↓↓↓
「…ばか野郎」
絞り出すような中也の声が響く。
太宰の服が伸びてしまうのではないかと思う程、中也は太宰の服を強く握りしめた。
後悔と哀しみが中也を襲った。
太宰は最低であった。
中也にこれ程のイヤガラセを残したのだから。
中也が小さくうずくまる。
「…くそ、……っ…太宰___」
其の瞬間。
「長いし!!痛”いっ!!!」
太宰が叫び声を上げて勢い良く起き上がった。
ぜぇぜぇと息を荒くさせている。
中也は眼を丸くしながら、パチクリと瞬きをした。
「だっ…太宰?手前……生きてたのかよ………」
「いやぁ?普通に死にかけてたけどね」ふぅーっと汗を拭いながら、太宰は云った。
「薬、俺に飲ませたって……」
「全部じゃあないよ、流石に私も三分の一くらいは飲んだ」
「…………」
この時、中也は物凄く後悔をした。
いくら相手が死にかけていたとはいえ、あんな顔をしてしまったのだから。
「手前…俺が完治したらぶっ殺す」
「一寸、先刻の泣きそうな顔何処行ったのさw」
「泣きそうに何かなってねェ///!!」
中也が勢い良く太宰の胸ぐらを掴む。
「あー待って痛い、肋骨が痛い」
「俺だって痛ェわ糞が!!」
「はいはい、まだ敵が残ってるんだから行くよ」
太宰の言葉に、中也はきょとんとした顔をする。「まだ残ってるのか?」
「ネズミを数匹程ね。まァ態と逃してたから佳いけど…」
太宰は立ち上がって汚れた服を手で払った。
「今は芥川君と姐さんが向かってるよ」
「はァ?何で姐さんまで…」
中也の言葉に太宰はにやりと笑う。
「実は君が目覚める前に首領と連絡を取った。敵がウイルスを作っていた事、直ぐに抹消しなければ此の地が地獄と化す事、裏で手を引いている人間がいる事……」
強い風と共に、空気を割く音が鳴り響く。ヘリコプターだ。
「黒幕が居るって事か?」少し声を張りながら、中也は太宰に問う。
「嗚呼、だけど今はそっちに構っている暇はない」
ヘリコプターから降ろされた梯子に、太宰は掴む。
「ほら、帰るよ中也」
中也の方へと、太宰は手を伸ばした。中也は息を一つ吐く。
「おう」そう云って、中也は太宰の手を取った。
***
在るビルの屋上に、一つの影が見える。
月の光を反射して、影の瞳が輝いた。
何処か不気味な雰囲気を漂わせる影____フョードル・ドストエフスキーは、吸血鬼のような男だった。
ドストエフスキーは遠くに見える、太宰達が居る某組織の本拠地を見つめた。
「____…」
扉が勢い良く開き、荒い音を立てる。
「きっ…貴様ァっ!!」恐怖じみた、少し裏返った声が響いた。
その男はドストエフスキーが先程迄見ていた拠点の組織の長であった。
「お前が云った通り今迄隠し通してたウイルスまで使い、本拠地を捨てた!!なのに如何だ!?双黒は生きてるじゃねぇか!!!」
怒り声を上げ、男はドストエフスキー睨んだ。
怒り。
憎悪。
負の感情が、男の瞳に名一杯詰まっていた。
「全てはお前の所為だ!お前の責任だ!!」
「………」ドストエフスキーは静かにその言葉を聞く。
然し反省どころか無表情で、何も感じていないようだった。
「…殺せぇっ!!!」
男が指を指しながら、声を張り上げた。
沈黙。
何も起きない。
其の事に男は驚いた。そして横に視線を移した。
「____ヒュッ…!!!」男の表情が絶望に変わる。
一方、ドストエフスキーは薄い笑みを浮かべていた。
男が絶望し、ドストエフスキーが笑みを浮かべた理由。
それは____、
『此処でっ…!クイ~ズ!!』弾んだ声が月夜に響いた。
布が風になびく音が聞こえ、それと同時に二人に影ができた。
男が視線を向ける。
「君達の部下は何故居なくなったのでしょう!?」
そしてより一層恐怖の顔に変わった。
「なっ……何者だ…」
影を作ったのは、白いシルクハットに白いマント、右目部分にダイヤが描かれた仮面を付けた男だった。
見た目は正に道化師であった。
だが何かが違う。
男の魂がそう叫んだ。
「ヒントは___」
道化師が楽しそうに弾ませる声を、何かが遮る。
その音は、男に深く聞き覚えのある物だった。
『ザザッ____首領っ!!』男の腰につけてあった通信機から、先程消えた部下の声が響いた。
『_直ぐに____逃げ__』通信機から聞こえる男の声が、機械音にかき消されていく。
「おっ…おい!お前達っ…!!」
『其奴__は異能___力__者で……なっ…ヒッ!ゔわぁ!!』
部下の叫び声が、振動と共に通信機から聞こえた。
骨が砕ける音と、何か硬い物を貪り食うような咀嚼音が、残りの静けさを包み込みんで、やがてぶつんっと音を立てて通信が途切れた。
「君達にクイズは出してないけど、せいかーいっ!!」
道化師____ニコライ・ゴーゴリが外套をなびかせる。
外套の内布にニコライは手を“突っ込んだ”。
通り抜ける事もできない布に。
「彼等が居なくなったのは、私の異能によるものだ!」ニコライが笑みを浮かべながら云う。そして手を振り上げた。
挙げられたニコライの手は、何かを持っているようだった。
「……!!」男はその何かを見て、全身に汗を浮かび上がらせた。
ニコライの手には、先程迄自分と通話をしていた部下の、血に染まった腕が握られていた。
叫び声を上げたくなるほどの恐怖が、男の体を包み込んだ。
ドストエフスキーとニコライは、男の神経を徐々にすり減らしていく。
「___頃合いですか」静かにドストエフスキーが云う。
カツン…と、綺麗な靴音が響いた。
ドストエフスキーが一歩、また一歩、男に近付いて行く。
「っ…!」それに気付いた男は、反射的に腰の反対側に付けていた手銃を取出し、ドストエフスキーに向けた。
「……貴方は先程、僕の責任だと云いましたね?」
その言葉に、男は返事をしなかった。
銃を握り、ドストエフスキーに向ける。其れだけの行為に、立って要られなくなる程の恐怖を感じたからだ。
「そうですね、確かに僕の責任です」
薄い笑みを浮かべて口元に手を寄せた。
「彼等が生と死の境を歩む程度の策略にしましたので」
「なっ…!!?」驚きの声が、男から漏れた。
「貴方達は大まかな答えは中っていますが、少し間違いをしています」
ドストエフスキーが手を前に出した。
とても綺麗な動作だった。
「__僕も、彼と同じ異能力者です」男に触れる。
其の瞬間、男の体から血が勢い良く吹き出し、力が抜けたように倒れた。
『全てに平等な救済を____』
静かな空間に包まれる。
「ドス君〜!」
ニコライは弾む足取りで、機嫌良さそうにドストエフスキーに話しかけた。
「何です?」
「私も思ったんだけど、何故彼らを殺さなかったんだい?」
「……どれ程の実力なのか見る為です」
「でもドス君、手を抜いたんでしょう?それじゃあ意味がない」
「__…そうですね」ドストエフスキーは静かに言葉を放った。
そして、何処か遠くを眺めて云った。
「先程の発言は凡て嘘です。僕は確実に彼らを殺す策略を練り、実行しました」
「じゃあ、それって……」
「……僕の策に気付いた訳ではありません。“もしもの場合”を想定した範囲が、“彼”は広かったのです」
「ふ〜ん……其れにドス君」マントを口元に寄せながらニコライは云った。
『何か楽しそうな顔してるね!』
その言葉に、ドストエフスキーの眉が少し動く。
「…………そうですね」そして笑みを浮かべながら歩き出した。
「次会う時は、もっと厄介な敵になっていそうです」
その言葉に、ニコライも笑みを浮かべて歩き出す。
『__やァ、君が黒幕だね』
機械音が混じったその声は、地面に落ちていた通信機からだった。
ドストエフスキーの表情が驚きに変わる。
『いやぁ、流石の私も少し焦ってしまったよ。想像以上の黒幕だったからねぇ』
ニコライはきょとんっとした表情を浮かべながら、ドストエフスキーは薄い笑みを浮かべながら、通信機から聞こえる声____太宰の声を聞いていた。
『如何せもう敵の首領は殺してあるのだろう?』
太宰は凡てを見通していた。
『此れから逃げるなんて……君達は何とも思ってないかもしれないが、我々はポートマフィアだ。其れに私個人としても、この痛みを味わった分を倍にして返したいからねぇ』
ドストエフスキーが小さく笑みを零す。何かを愉しむように。
『____何時か、君に会えるのを少し愉しみにしているよ』太宰も微笑混じりの声だった。
「そうですね」ドストエフスキーは太宰が聞き取れない程の大きさで呟く。
「矢張り。次会った時、貴方達は厄介な敵になっていそうです」
ドストエフスキーとニコライは、其の場から立ち去った。
「オイ、其れ敵の通信機だろ。誰と話してたンだ?」
中也の言葉に太宰はせせ笑いながら「秘密〜」と答える。
「…………」溜め息混じりの息を、中也は吐く。
「あっ、そうだ中也」
「あ?ンだよ」
刹那、太宰が中也のチョーカーに指を通し、ぐいっと引っ張る。
「もう一つ云っておこう」
にやりと太宰が笑みを浮かべる。
「君は私の犬でもあると同時に、私の相棒だ」
「そんな君は例え私が君より先に死んでも、君はこの先私以外相棒は作らない」
まるで暗示をかけるように、太宰は中也に云う。
「絶対だよ?」
少しの沈黙が、中也に走った。
そして____
「……ッざけんな!俺は手前の犬になった覚えなンてねェぞ!糞鯖!!」
太宰がパッと、中也のチョーカーから手を放す。そしてヘリコプターを操縦する部下達に云った。
「さぁ皆!落下傘を用意し給え!中也を残しておりるよ!」
「いえっ…太宰幹部!首領からはお二人共無事に連れ戻せと____」
「疲労困憊している今の中也なら容易く殺せる!!」
「だからあの____」
「巫山戯ンな糞が!!こちとらマジで動けねェっつうのによ!」
すると、太宰が操縦席を掴んで云った。
「何ボサッとしてるんだい!?疾くしないと私が中也に「捕まえたぞ糞太宰っ…!」
ガシッと中也が太宰の襟を掴む。
「太宰幹____」
「放してよ中也!此れから落下傘で降りるのに!!」
「なら尚更放す訳ねェだろ糞が!!」
「幹部命令だよ!中也!!」
「聞いてくださ____」
「権力乱用してンじゃねェ社会不適合者がァ!!!」
「お二人共落ち着いてください!!ヘリコプターが普通に落下しますっ!!!」
***
或る日の出来事。
太宰は失態を犯した。
一つのミスをしてしまったのだ。
然しそれで得られるものもあった。
例えミスでも
互いの信頼と絆が深まった事には変わりない。
今日も今日とて、双黒は闇を生きる。
コメント
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いや、終わり方最高ッ 感動したわッ! 連載お疲れ様でした!