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びゃ
「ようこそ当店レストランへ
お席へご案内いたします。
お足元滑りやすいのでお気を付けください」
どこかわからないレストランに迷い込んだ
冷ややかな目でポーカーフェイスの男性について行く
床には赤い絵の具のようなものがところどころ…
「お足元をお気を付けくださいとは言いましたが…
そんなに下を見られてはお恥ずかしいです」
「画家さんか誰かがいらっしゃったんですか?」
そのまま歩き続ける
「…そうですね、画家の方が転ばれたようで散らかっておりまして」
とある個室に案内される
「こちらのお席でお待ちください」
案内されたのは大きなボックス席のような席で周りはレース状のカーテンで仕切られている
「ここは…あなた1人でお仕事をされているんですか?」
「少し前までシェフがいたのですが…今はわたくし1人になります」
にこっと微笑んで答えてくれた
「…もし迷惑でなければ私働きましょうか?」
「………!?」
だいぶ驚かれてしまった…
迷惑だったかな
「…いいんですか?」
まさかの返答が返ってきた
「こんなに広いお店を1人だなんて…わたしでよければ!」
「それでは、よろしくお願いします」
綺麗な90度のお辞儀をされた
「そ、そんな…!顔を上げてください、困った時はお互い様ですから」
「…ありがとうございます
ですが最初に当レストランの料理を食べてみませんか?」
「い、いえ!そんな申し訳ない」
その時お腹の音が鳴った
私のお腹からだった
「あ、ごめんなs」
「……っ、……ふ、」
漏れ出たのは、微かな吐息のような音だった
彼は慌てて口元を掌で覆ったが、指の隙間からこぼれる震えまでは隠せなかった
「……はは、ははははは!」
喉の奥を鳴らし、彼は身をよじるようにして笑った
あんなに冷ややかだった瞳からは涙が滲み、端正な顔はくしゃくしゃに歪んでいる
「え、と…あのー…」
「あぁ、すいません
そんなに素直にご返事をされると思っておらず…」
涙を指でふき取る
私はこの姿を見て何か不思議な感覚になった
最初はあんなに冷静でポーカーフェイスだったのがこんなにも無邪気に笑うなんて
しばらく笑っている男性を見つめ落ち着くのを待つ
「それでは料理をお持ちしますのでお待ちください」
「はーい」
あの男性が作る料理だ
どんな美味しい料理が来るのか楽しみだ
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