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そんな事を考えて中華を見送った次の日。
まるで炎露が自ら出てくる事を待っていたかのように炎露の主、ロシア連邦の化身、ロシアが生まれた。
炎露と同じ、薄い青と赤のグラデーションの瞳を持った、炎露の主。
俺や主、炎露を見ていたからか、これは、なかなかの酒豪になる気配がある。
それから立て続けに、ウクライナやベラルーシ、エストニア、ウズベクのドールと化身。その他諸々。
俺と、炎露と、ロシアの妹弟が増えた。
一気に増えたようなもんだから、世話がなかなかに大変だった。
「おい、主炎。主の欲しいって言ってた本は買ったのか?」
東ドイツのドールは、最近やっと普通に話してくれるようになった。ただ、生意気である。
「書庫の机に置いてるぞ。独華」
名前を呼んで、返事をすると、独華は怪訝そうな表情でこちらを見返す。
「おりゃ本体じゃなくて分身其の一だっつってんだろ?それに、俺は主から“ルビー”って言う最高の名前を貰ってんだ。そっちで呼べ」
生意気だ!
紅い瞳を持つこのドールは、ギザ歯を見せつけるようにニカニカと笑っている。
一応、性別は女のようだが、いつも男口調で男のような行動をとる。理由を聞けば、「うっせぇ。んな事言うなら本体の兄貴を解放しやがれ」って言ってくるので、もう聞くのは諦めた。
ちなみにこいつの本体、独華の兄は、津炎だ。「解放しやがれ」なんて言われても、津炎が自分の意志でここに居るのだから俺にはどうにもできん。
「分かった。ルビー、明日からお前と東ドイツには自国に行ってもらうが、荷物はまとめたのか?」
俺が話しかける度に怪訝そうな表情を向けてくるこいつは、明日、この家を出る。
「へいへい、準備してきますよ〜。それに、もう少しで死ぬ事がわかっているようなやつなんて気にすんなよ」
ルビーは、軽い感じで適当そうに返事をしたかと思えば、どこか悲しそうな、そんな雰囲気を醸し出す。
俺はどうにもこいつの雰囲気や感情の上下のする状況などが掴め無い。
この感情の起伏は、本体の感じている感情を、無意識下の不安をそのまま、分身であるこいつに伝わっているからこうなっているのだろう。
「主炎にぃ!雪合戦しよ〜!」
そんな微妙な静寂の流れるこの場所に、ウクライナのドール、宇炎が駆けてきた。
「今は雪積もってないよ」
そんな宇炎の後ろから、ベラルーシのドール、で宇炎の姉の白華が顔をのぞかせる。
白華は、生まれた時から耳が聞こえにくい。だからみんな、白華のいる時は少し大きめの声で話す。
「そっかぁ。じゃあ!僕の能力で作った雷ボールでも使う?」
宇炎は少し、おバカだ。ただ、憎めない愛嬌がある。
「怪我人が出るから辞めろ」
呆れたように、でも、愉しそうに奥の部屋から出てきた炎露が宇炎にツッコミを入れた。
「なに馬鹿な事話してるんですか?兄さん達」
眉間にシワを寄せたまま、エストニアのドールで、白華や宇炎の妹の共華が溜息をつきながら話す。
相変わらず共華は少し気難しい。
「炎露、ウォッカもらってくな」
ウォッカの入った瓶を片手に、兄さんの弟で、フィンランドのドールである炎雰が堂々と不法侵入してた。
あいつとは、兄弟のようなものなんだが、血筋が違うみたいな……。
まぁ、言うなれば従兄弟のような関係だ。