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#溺愛
オレンジ
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#役者パロ
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弱体化した太宰♀が大好き。(屑)
芥太♀です。
渇望だよ渇愛だよ・・・最高だよ・・・・。
いつも飄々としてるお姉さんがちょっとバカになるのほんと好き。(性癖歪んでる)
⚠︎:坐薬。
真冬の外套を抜ける風は、刃物のように冷たかった。
肺の腑まで凍てつかせるような空気の中、芥川は黒い外套の襟を立て、無機質なコンクリートの廊下を足早に進む。
手元にあるのは、先ほど受け取ったばかりの携帯電話だ。画面に表示された文字を、彼は移動中も何度も反芻していた。
『かぜひいちゃった。
たいくつだからかんびょおしにきてよ、
あくたがわくん』
ひらがなばかりの、ひどく間の抜けた文面だった。
いつもの気まぐれ。いつものからかい。そう判断して切り捨てることもできたはずだ。しかし、付き合っているという関係性があろうとなかろうと、彼女からの呼び出しを拒むという選択肢は、芥川の辞書には存在しない。
ただの暇つぶしの玩具にされるのだろうと、そう思いながらも、胸の奥にある渇望が彼の足を急がせていた。太宰が自分を求めている。その事実だけで、彼の身体を突き動かすには十分すぎる理由だった。
太宰の家の扉は、鍵がかかっていなかった。
不用心だ、と咎める言葉を口にしながら足を踏み入れる。しかし、静まり返った室内の空気に、芥川は即座に違和感を覚えた。
いつもなら、扉が開く音と同時に、軽薄で、けれど酷く耳に心地よい声が飛んでくるはずなのだ。
それがない。ただ、しん、とした冷気と、微かな、しかし確実に異常を知らせる呼吸の音だけが、奥の部屋から聞こえてくる。
「太宰、さん……?」
外套を脱ぎ捨て、芥川は寝室へと急いだ。
薄暗い部屋のベッドの中央で、小さな膨らみが不自然なほど身を縮めている。近づくにつれて、それが激しく上下しているのが分かった。
枕元に寄った芥川は、息を呑む。
そこにいたのは、いつも余裕に満ちた笑みを浮かべて自分を翻弄する恋人の姿ではなかった。
焦茶色の、普段なら艶やかに波打っているはずのゆるふわなロングヘアが、寝汗で額や頬にべっとりと張り付いている。白い肌は恐ろしいほどに赤く火照り、薄い唇は乾いてひび割れそうだった。
「はー、はー、……っ、げほ」
苦しげな呼吸。芥川は迷わず、彼女の額に手を伸ばした。
触れた瞬間に、手のひらから飛び上がらんばかりの熱が伝わってくる。
思わず指先を震わせるほどの熱量だ。これほどの熱を、芥川はかつて貧民街で生きるか死ぬかの瀬戸際にあった者たちでしか見たことがない。
「……このような状態でありながら、あの文面を?」
芥川はすぐさま枕元にあった体温計を拾い上げ、彼女の脇に差し込もうとした。しかし、衣服の隙間から覗く肌に触れた瞬間、彼の思考は凍りついた。
冷たい。
熱を帯びているはずの皮膚の奥が、芯から冷え切っている。そして何より、彼女が身に纏っている寝間着の襟元が、じっとりと湿っていた。汗ではない。これは、川の水だ。
「太宰さん、まさか……また入水を?」
問いかけても、まともな返答は期待できなかった。
太宰はうっすらと、焦点の合わない瞳を開いただけで、その瞳は芥川の姿を捉えているのかさえ怪しい。
真冬の、凍りつくような川に飛び込み、あろうことか着替えもせずに数時間も放置していたのだ。その結果が、この暴挙のような高熱だった。
ぴぴぴぴ、と電子音が室内に虚しく響く。
引き抜いた体温計の液晶に表示された数字は、39.5。
常人であれば意識を失っていてもおかしくない数字だった。正しい思考など、とうにできるはずもない。
「……あ、くたがわ、くん……?」
熱で濁った声が、掠れた音となって太宰の唇から零れ落ちた。
いつもなら自信と企みに満ちている「私」という一人称は、今はどこにもない。
「わたし、あつい、の。おみず、のなかに、いたのに……なんで、こんなに、あついの」
「当たり前です。このような愚行、自身の身体を何だと思っているのですか」
怒りで声が震えた。同時に、胸を締め付けるのは、彼女を失うかもしれないという根源的な恐怖だ。
芥川にとって、太宰は絶対の存在であり、同時に、か細い糸一本でこの世に繋ぎ止められているような、危うい恋人でもあった。自分がどれほど彼女を渇望し、そのすべてを欲したとしても、彼女はいつだって、死という安息の地へ片足を突っ込んでいる。
その事実が、芥川の心を狂わせる。
「お洋服、かえます。それから、身体を拭わねば」
「いや……うごか、ないで。あくたがわくん……」
太宰の手が、弱々しく芥川の袖を掴んだ。驚くほどに力が無い。いつもなら、羅生門を繰り出す間もなく自分の異能を無効化し、冷徹に、あるいは優しく自分を支配するその手が、今はただの、熱に浮かされた哀れな一人の女の手だった。
「動かねば、熱が下がりませぬ」
「あくたがわくんが、ふいて……? わたし、もう、ちからが、入らないの」
ぽやぽやとした、締まりのない口調。熱のせいで完全に幼児退行したかのような彼女の態度に、芥川の心臓がどくん、と大きく跳ねた。
付き合っているとはいえ、二人の関係は常に太宰が主導権を握っていた。芥川がどれほど彼女を求めても、太宰は一枚上手で、彼の渇望をいなすか、あるいは巧みに飼い慣らしていたのだ。
それなのに、今の彼女は完全に無防備で、自分に全てを委ねようとしている。
芥川は深く息を吸い、荒ぶる感情を抑え込んだ。
洗面所へ向かい、清潔なタオルと、ぬるま湯を張った洗面器を用意する。
寝室に戻り、ベッドの脇に腰を下ろすと、太宰はすでに半分意識を飛ばしかけていた。
「太宰さん。失礼します」
断りを入れ、彼女の寝間着のボタンに手をかける。
指先が震えた。いくら看病のためとはいえ、相思相愛の恋人であり、自分が狂おしいほどに焦がれる女性の肌を露わにするのだ。
ボタンを一つ、また一つと外していく。
はだけた襟元から、白い細い鎖骨が露わになった。入水のせいで湿り、熱のせいで赤みを帯びた肌が、薄暗い部屋の中で妖しく光っているように見えた。
いつも巻かれている包帯は、濡れたせいで外されたのか、それとも最初から巻いていなかったのか、今は彼女の素肌が剥き出しになっていた。
「……う、ん……つめたい……」
温かいタオルを肌に当てた瞬間、太宰の身体がびくりと跳ねた。
芥川は、自分の心臓の音が彼女に聞こえてしまうのではないかと思うほど、激しい鼓動を感じていた。
細い首筋から、鎖骨、そしてふくよかな胸元へと、慎重に、しかし手早く汗と川の水分を拭き取っていく。
触れるたびに、彼女の熱が伝わってくる。それは彼女が生きている証拠であると同時に、今にも燃え尽きてしまいそうな危うさを孕んでいた。
「あくたがわ、くん……」
「……何でしょうか」
「わたしを、おいて……いかない、で」
熱に浮かされた太宰の瞳から、一筋の涙が溢れ、焦茶色の髪に吸い込まれていった。
その涙を見た瞬間、芥川の胸の中で、何かが決壊した。
彼女はいつも、自分を置いて逝こうとする。死の側へと歩み寄ろうとする。それなのに、熱で理性を失った今、彼女が口にしたのは「置いていかないで」という、生への、あるいは自分への執着だった。
「行くわけが、ないでしょう」
芥川はタオルを置き、太宰の火照った身体を、布団ごと強く抱きしめた。
壊してしまいそうなほどに細い身体。生まれながらに女性である彼女の、柔らかく、けれど今にも消えてしまいそうな儚い熱が、芥川の外套を通して伝わってくる。
「僕はここにいます。貴方が、僕を不要だと、邪魔だと切り捨てない限り……いや、たとえ切り捨てられたとしても、僕は貴方の側を離れない」
それは看病の域を超えた、ただの執念であり、歪んだ渇望だった。
太宰のすべてが欲しい。彼女の冷徹な思考も、美しい容姿も、そして今、自分に向けられている弱さのすべてを、自分のものにしたかった。
太宰は、芥川の首に弱々しく腕を回した。
「あくたがわくん……あったかい……」
「貴方が冷たすぎるのです。なぜ、僕を呼びながら、このような身体になるまで放っておいたのですか」
「からかおうと……おもったの。でも、あくたがわくんの、かお、みたら……あんしん、しちゃった……」
そう言って、太宰はふにゃりと、本当に幼子のような笑みを浮かべた。
その笑顔に、芥川は完全に毒気を抜かれてしまう。
付き合ってから、これほど素直に、これほど無防備に甘えられたことはなかった。熱がもたらした奇跡のような瞬間に、芥川はただ、彼女の背中を優しく擦るしかなかった。
「……もう、どこへも行きませぬ。ですから、早く熱を下げてください」
「うん……おやすみ、あくたがわくん……」
しばらくすると、太宰の呼吸は規則正しいものへと変わっていった。
完全に眠りに落ちた彼女の顔は、先ほどよりも少しだけ穏やかだった。
芥川は彼女の腕をそっと外し、新しい乾いた寝間着を着せると、布団を首元まで掛け直した。
そして、彼女の枕元に座り込み、その細い手を両手で包み込む。
まだ熱い。けれど、その熱は確かに、彼女が今、ここで呼吸をしているという証拠だった。
静寂に包まれた部屋の中で、芥川はただひたすらに、恋人の寝顔を見つめ続けた。
彼女の熱が下がるまで。彼女が、いつもの意地悪で、けれど愛おしい「太宰さん」に戻るまで、彼はその手を決して離さなかった。
翌朝、カーテンの隙間から差し込む冬の光は、部屋の冷たい空気を白く浮き上がらせていた。
芥川は一睡もしていなかった。太宰の細い手を握りしめたまま、その呼吸が乱れるたびに、濡れたタオルを替え、額の熱を確かめ続けていた。
夜が明けてすぐ、芥川は半ば強引に手配した闇医者を呼び、この隠れ家へと引き摺り込んできた。ポートマフィアの専属医ではないが、口の堅い腕のいい医者だ。
太宰は朦朧とした意識の中で、酷く嫌そうな顔をして、あくたがわくんの裏切り者、と小さく ぶつぶつ 呟いていたが、芥川がそれを聞き入れるはずもなかった。
「酷い肺炎の一歩手前だ。よくこれで意識を保っていられる」
医者は呆れたようにそう言い、いくつかの薬を処方して去っていった。
病院へ連れて行くことも考えたが、彼女の立場や、現在の状態を鑑みると、この隠れ家で療養させるのが最善という判断だった。
しかし、医者が帰った後も、太宰の熱は容易には下がらなかった。
体温計が告げる数字は、未だに39度を上回っている。
はー、はー、と苦しげな呼吸が寝室に響くたび、芥川の胸は ぎゅ、と締め付けられるようだった。
「太宰さん。お薬の時間です。これを飲んでください」
芥川は医者から受け取った薬と、水の入ったコップを手に、ベッドの脇に腰掛けた。
太宰は寝返りを打ち、焦茶色のゆるふわなロングヘアをごわごわと枕に擦り付けながら、薄く目を開けた。その瞳は完全に潤んでおり、やはり正しい思考はできていない。
「……いや。おくしゅり、にがいから、いらない」
「子供のようなことを言わないでください。飲まねば治りませぬ」
「あくたがわくんの、いじわる……わたし、もう、なにも、のめない……」
本当に限界なのだろう。お湯を飲む気にすらなれないらしく、彼女は小さな頭を布団の奥へと潜らせてしまった。
これほど衰弱している彼女に、無理やり錠剤を 飲み込ませる わけにはいかない。喉に詰まらせでもしたら、それこそ命に関わる。
芥川は、医者が残していったもう一つの薬の袋に目を落とした。
そこには、白い、小さな弾丸のような形をした薬が入っていた。
「……坐薬、か」
ぽつり、と呟いたその言葉に、芥川の喉が くん、と鳴った。
胃を介さず、直腸の粘膜から直接成分を吸収させるため、高熱に対して非常に即効性がある。今の太宰には、間違いなくこれが最も効果的だった。
しかし、そのためには。
「太宰さん」
「……なあに……?」
「……坐薬を、使います。衣服を、緩めます」
その言葉の意味を、熱で融けた太宰の頭がどれほど理解できたかは分からない。
ただ、芥川の張り詰めた声のトーンに、彼女は ぽや、とした表情のまま、わずかに身を震わせた。
「……ざやく……? それ、おしりに、いれる、やつ……?」
「そうです。恥じる必要はありません。これは医療行為です」
自分に言い聞かせるように、芥川は冷徹な声を意識した。
しかし、指先は昨日以上に震えていた。
付き合っているとはいえ、相思相愛の恋人である彼女の、最も秘められた場所に触れるのだ。それも、自身のこの手で。
芥川は布団をめくり、太宰の身体を横向きに寝かせた。
彼女は抵抗する力もなく、ただ、あくたがわくん、あくたがわくん、と 弱々しく その名を呼び続けている。
「すこし、冷たいですよ」
細い腰を包む寝間着の布地に手をかけ、ゆっくりとそれを引き下げる。
露わになったのは、驚くほどに白く、そして熱を孕んで ほんのり、と赤みを帯びた太宰の肌だった。女性特有の、なだらかな美しい曲線が、薄暗い部屋の中で 艶めかしく 浮かび上がる。
芥川の呼吸が、 どくん、と激しく跳ね上がった。
渇望、という言葉が、彼の脳裏を支配する。
いつもなら自分を冷たく、あるいは 慈しむ ように見下ろす絶対的な存在が、今は自分の手のひらの中で、ただ熱い息を吐きながら 震えている。
その気になれば、このまま彼女のすべてを奪うことさえできるのではないか。そんな、どす黒い衝動が頭をもたげそうになる。
「……ん、ぅ……あくたがわ、くん……おねがい……はゃく、して……」
太宰が くん、と身を縮め、 涙ぐんだ 瞳で振り返った。
その無防備な、自分を完全に信頼しきっている恋人の姿に、芥川は自身のなかの醜い獣を ぐ、と抑え込んだ。
彼女を 害したい わけではない。自分は、この最愛の女性に、生きていてほしいのだ。
「……失礼します」
薬に少量の潤滑剤をつけ、芥川は躊躇いを捨てて指先を動かした。
指が 柔らかな 皮膚に触れた瞬間、太宰の身体が びくん、と大きく 跳ねた。
「ひゃ、あ……っ! つめ、たい……いや……っ!」
「動かないでください。すぐに終わります」
熱い粘膜の奥へと、滑り込ませるように薬を 押し込んで いく。
太宰は 枕に 顔を 埋め、 はー、はー、と 激しく 息を荒らげながら、シーツを ぎゅ、と 強く 掴んでいた。
指先から伝わる、彼女の身体の奥の熱さは、外側の比ではなかった。あまりの熱量に、芥川自身が 融かされて しまいそうだった。
「……おわりました。よく耐えました」
薬が 戻って こないよう、しばらくの間、芥川は 自身の 指で そこを 軽く 押さえ続けた。
その数分間は、彼にとって 永遠 のようにも感じられる、 酷く センシティブ で、 濃密な 時間だった。
太宰の 口からは、 苦しげな、けれど どこか 艶っぽい 吐息が 漏れ続けていた。
ようやく手を離し、衣服を整え、布団を掛け直したときには、芥川の額にも じっとりと 汗がにじんでいた。
「あくたがわ、くん……の、ばか……」
布団の中から、太宰が 恨めしそうな、けれど 完全に 蕩けた 瞳で 芥川を見上げていた。
その頬は、熱のせいだけではない 赤みに 染まっている。
「……なんと 言われようと 構いません。これで、熱は 下がります」
芥川は 枕元に 腰掛け、 彼女の ゆるふわな 髪を 優しく 撫でた。
太宰は 満足した ように 瞳を閉じ、 彼の 手のひらに 頬を 寄せた。
「……あくたがわくんが、かんびょぉしてくれて、うれしい……」
微かな 呟き。
付き合っていても、滅多に聴けない 彼女の本音。
芥川は、その 言葉だけで、 自身の 渇望が 満たされていくのを 感じていた。相思相愛という 確かな 繋がりが、 冬の 冷たい 部屋を、 ほんのりと 温かく 満たしていった。
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コメント
7件
普段は師弟関係の2人が立場逆転なんて最高すぎました!! 普段は芥川を揶揄ったり煽る行動が多い太宰さんが、体調不良で弱って甘える姿がカァイイ!!
私初めて芥太見たんですけど尊いですね!いつもなら叱られるであろうことをしているのに素直に甘えてるだざさん可愛すぎる
うわっ…芥川が看病してる…って思ったらまさかの坐薬シーン!? でもめちゃくちゃ雰囲気あるし、普段飄々としてる太宰が熱でポヤポヤになって芥川に甘えてるの最高だわ…。「置いていかないで」って涙ながらに言うとことか、芥川の「行くわけがないでしょう」の執着と渇望がダダ漏れなところが刺さりすぎる。風邪で崩れる関係性、好き🔥