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この世界で、自分はいつか死ねるだろうか。

〜 第3話 〜

《 幻覚 》 


暗い暗い路地から逃げる様に出て来た。

路地から出ると世界は一転し、ガヤガヤとうるさい街になっていた。俺は辺りを見渡し、何事も無かったかのように人の波に入った。

人の視線が怖い。それは前からもそうだったけど。今はなんと言うか…ゆっくりと確実に道が塞がれているような気がした。

そんなんだから俺はずっと自分の足元を見て歩いていた。俺なんかが顔を上げる権利など無いと思ったからだ。だって……おれは…さっき……人、殺しに…。と考えると吐き気がしてくる。

「 ゔ、ぉ”え……ァ”あ…。 」

小さくそう声を漏らした。

だって、仕方ないだろう。実の親友を撃ち殺したんだ。止まることは許されないから口に手を抑え、苦しそうに歩いていく。

俺は少しづつ疲れてきたと同時にスマホで時間を見た。朝でた時が確か7:00だったような気がする。今は8:00。1時間は歩いていたようだ。俺はそのことを確認すると空を見上げた。生ぬるい風を感じた。今は夏。暑くて、暑くて仕方ない。

「 、ァ〜…お腹、減っ…た 」

呟いた後に右左、となにか飲食店がないか探した。マ○ク…いや俺は店員にすら話しかけられないのだ。無理だ、やめよう。ス○ロー……今普通に寿司って気分でも無いし。等と自問自答を繰り返した後に近くにあったおっきめのスーパーに入った。

7分後、俺は店を出た。とりあえず今日分のものを買い、少しつまみ食いをしながらまた歩き出した。

「 …っあ、国境……だ。」

つまみ食いをしながら歩いていると、やっとこの国から出られるであろう場所にたどり着いた。先にはロボットがおり、そのロボットがこの国から出ることを許してくれる。俺はそこにすぐさま走り寄り、審査を済ませようと思った。

『 スミマセン。アナタ、ナマエハ。 』

「 あ、ぇ、えーと……《              》です… 」

『 ……アナタハ、コノクニカラ。デラレマセン。 』

「 は、? 」

俺は、思いもしないうちに声を出していた。

ちゃんと本名も伝えたし、必要なものは全て揃えたと言うのに、何故無理なのか。俺は理解ができなかった。

『 《    》サマカラ。7分前二ゼッタイニ、ニガスナト。 』

「 …?それっ、て…… 」

そこには塩の名前が出ていた。嘘だろう?またここでも邪魔をするというのか、?と、言うか塩は生きているのか?7分前って、俺が買い物してた時に、?俺は恐ろしくなって、急いでその場から逃げた。ガシャガシャと後ろのバッグからは鳴っているが、そんなことはどうでもいい。早くこの国から離れないと行けないと思ったんだ。

「 ハァッ、ハァッ、ハァッ!! 」

呼吸が浅くなっていくのがわかった。

俺は、昔の時、塩と一緒に見つけた秘密の抜け道に向かって全力で足を動かしていた。そこからは、綺麗な。この国では見られない世界が広がっていた覚えがある。

ずっと走り続けて、やっとたどり着いた。俺はそこから逃げようとすると、またあの忌々しい音が聞こえた。

ドォンッ。

俺は後ろをゆっくりと向いた。そこには……俺が、撃ち殺した塩が立っていた。直ぐにそれが幻覚だと、わかった。塩はそんな風に笑わないし、塩はそんな立ち方をしない。きっと、俺の中出作り出した塩。そう分かって、俺は直ぐに目を背けた。

「 俺を殺したのに、お前だけ、逃げるんか。 」

「 痛かったのに、 」

「 苦しい。助けてや…… 」

親友やろ……?

後ろから塩の声が聞こえてきた。嫌だ、やめろ。やめろ。と汗で滲む手を握っていた。そんな手をソッ、と俺の幻覚で作り出した塩が触ってきたんだ。心臓の音が酷い。もう塩の声が聞こえないようにしたかったけど、手が動かせない。この場から、国から、早く逃げたかったのに。足が動かない。

「 や、めろ……塩はッそんな、こと… 」

「 ァアあぁあァ…痛い……なァ、痛……い 」

「 ゔァ、あぁあぁ……、!やめろ、!やめろやめろやめろやめろ……! 」

そう繰り返しているといきなり解放された様な、不思議な感じになっていた。そう思っていたら手足が動かせることに気づき、すぐさま秘密の抜け道からこの国を離れた。


もう二度と、この国に戻る気はない。塩のことも、もう。二度と思い出す気は無い。だから……もう俺の目の前に立たないで欲しい。そう願う、。

いつまでも、いつまでも。


「 行かれちゃった。 」

「 そぉ〜……やなぁ…… 」

「 ……ナイショにしておくよ。ただし、飯奢れ。 」

「 んん……ありがとさん。 」


この世界で、自分はいつか死ねるだろうか。

〜 第3話 〜

《 幻覚 》

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